私の曲を聴く時に「ましのみが自分のことを歌いたくて歌ってる曲なんだ」、っていうよりは、聴いている方に自分の曲って思って欲しい
――作詞作曲にデザイン性を感じます。ましのみさん自身、デビューされてから1年強ですが、心境の変化などはありましたか?
サウンド面に関してで言うと、あまり音楽を聴いてこなかったので、エレクトロと向き合うのもデビューに向けての制作が初めてだったんです。ディレクターさんと話している中で、「こういう曲がやりたい」とか、「耳に引っかかる音を作りたい」とか、「歌詞も引っかかるものにしたい」とか、「声と生の音を軸にしたい」とか、根底の想いは変わらないんですけど、どう届けるか、という伝え方の部分を今もずっと考え続けています。
あと、デビューまでは「曲は突き刺してなんぼだ」と思っていたところがあって。メジャーデビューまで全国流通をしたこともなかったので、リスナーの方が具体的に見えなかったんです。サウンドとか、ビジュアルとか、歌詞とか曲とか、そういった部分でいかに刺激を与えるか、突き刺すか、引っ掛かりを作るか、ってところばかりを考えていたんです。でもやっていく中で「棘がありすぎると邪魔になって、本当に見せたい部分が届かないことがあるんだな」って気づいて。サウンドを詰めすぎたり縦ノリしすぎると心地よくノレなかったり、歌詞もこだわりすぎると届かないとか。MVも意味合いをつけすぎると、本来聴いてほしいところまであまりたどり着いてくれない‥とか。
あと私がMVに出ると私のキャラクターにこんなにフォーカスされることがあるのか、って思って。個人的には曲を聴いてほしいけど、”ましのみっていうコンテンツ“にたどり着くまでが長いので、キャラクターが邪魔になっている部分があるなって思ったんです。
そういった部分をなるべく削いで、「こういう風に聴いてほしいんだよ」っていう提示だけして、日々ノッている時に聴いてね~っていうメッセージだけ伝わればいいや、ってことで今回はアートワークやMVに自分を出さないことで、聴く人それぞれの客観的な視点で見てくれればいいなって思っています。自分が出てるとどうしても客観的に見づらいんですけど、今回の「エスパーとスケルトン」は周りの人達に頼らせてもらいながら、それを実現することができたかなと思います。
そして、私の曲を聴く時に「ましのみが自分のことを歌いたくて歌ってる曲なんだ」、っていうよりは、聴いている方に自分の曲って思って欲しくって。それをどうやったらできるかな、って考えたりとかしたので、前と少し変わったかもしれないですね。
――ご自身の方向性を”断捨離”されたからこそ、この曲にたどり着いた印象を受けました。
そうなんです。やりたいことは今までと変わらないけど、どう届けるかいう部分を精査してって、ここから新しくいきたいなと、いう想いが強い1曲ですね。
――ましのみさんの中で逆に変わっていない部分は?
軸の部分はずっと変わってないです。聴いている人が私の曲とかライブとか、存在でもいいんですけど、私が届けているもので、日々の生活が少しでも上昇すればいいなって思ってます。ちょっと楽しくなったり、ちょっと気分が良くなったり、落ち込んでいたのがちょっと楽になったりとかすればいいなっていうのを届けたいというのは変わらないです。あとは曲を一番聴いてほしい、っていうのも変わらないですね。
そして声とピアノとっていうのを軸にやっていきたいというのも変わらずやっていて。あとは生活から離れすぎないところで歌詞とか曲を書いてたりするんですけど、私自身が大人になっていっているのもあって、やりたいことは変わらないけど歌詞感がちょっと変わっているのはあると思います。
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