ユニット・SURFACEとして、そしてソロとしても活動する椎名慶治。2011年にフルアルバム『RABBIT-MAN』でソロ活動を本格始動してから12年の時を経て、2023年12月27日(水)にアルバム『RABBIT-MANⅡ』をリリースした。アルバムリリースを記念したアクリルスタンドが数量限定で販売される。このアクリルスタンドはレコチョクが新しく提供を開始する“スマホをかざすと音色が流れる”アプリ『P!TNE』(ピトネ)を活用している。

本アイテムの販売を記念して「レコログ」ではインタビューを行い、アルバムやアイテムに込めた想いから2024年の抱負まで、様々な話を聞いた。

 

今年はたくさん種を撒いていくつもりで、いろいろとやっていけたらいいなと思っています

 

──アルバム『RABBIT-MAN Ⅱ』リリースを記念した、“スマホをかざすと音色が流れるアクリルスタンド”を販売されます。まずは、6枚目のフルアルバム『RABBIT-MAN Ⅱ』についてお話をお聞きしたいのですが、今作はどんなアルバムになりましたか?

 

ちゃんと自分の延長線上にいる作品になったなというのが、素直な感想です。これまで4thアルバム『-ing』、5thアルバム『and』と出してきたんですけど、その流れで『RABBIT-MANⅡ』を聴くと全てが合致するというか、辻褄が合うというか。ちゃんと自分の時代を感じられるアルバムになったなと、改めて聴いて思いました。

 

──ソロ1stアルバムとなる『RABBIT-MAN』の発売が12年前。12年前と比べた時、変わったことと変わらないことを教えて下さい。

 

大きく変わったことは、12年前はSURFACEを解散したからこそ、ソロをやっていたということ。ソロをやりたかったから解散したわけでなく、ソロをやらざるを得なくてやっていたのが12年前。気付いたらそこから8年後、SURFACEが再始動して。ユニットに戻るのはいいんですけど、逆にソロで知ってくれた方たちに「どう応えていけばいいのか?」ということは考えました。ありがたいことに、ソロの椎名慶治を好きになってファンになってくれた方もけっこういて、そういう方がSURFACEを知らないという声も届いていたので。

 

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──ソロ活動を始めてから13年も経つわけですからね。

 

そうなんです。だから、二足のわらじを同時進行で進めるしかなくなった時は「本当にいいんだろうか?」と悩みました。ただ、相方(永谷喬夫)の想いもあったので、その辺のバランスはうまく取ろうと決心しました。再始動する数年前には、JET SET BOYSも始めていて。JET SET BOYSはコロナ禍でライブが出来ないという状況で、活動が止まってしまったんですが、SURFACEが動き出して、作品を出したりしていて。アルバム『and』もコロナ禍で出した作品だったんですが、そんな時期に出したアルバムだったので、サウンドメイクやリリックも葛藤しているような、もがいているような、迷っているような気持ちが出ていたかもしれないなと、改めて振り返ると思います。

 

──そんな作品も経て、コロナ禍も明けて。今作はグッと前に進めている感がありますし、すごく自由な作風になりましたよね。

 

すいません、自由にやらせてもらいました(笑)。

 

──だからこそ、12年前と比べた時、作品に対する心持ちみたいなところは全然違いますよね。

 

そうですね。12年前はすごく言葉悪いけど、「売れるしかなかった」というか。SURFACEを辞めてソロになって、「これで売れなかったら次はない」と思っていたので、妙なプレッシャーを感じながら作ったアルバムだったなと思っていて。今はそれがなくなっちゃって、自由にやっちゃいましたけど。それがいいのか悪いのかは、分かんないです(笑)。

 

──でも12年経ってみたら、「1stアルバムに負けられない」という、良いプレッシャーも生まれて。

 

確かに。「あの頃の自分に負けたくない」っていうね。勝ち負けは僕が決めることじゃないですけど、僕の中では新しいものができたと思っているし。あの頃とは違う良さもあるんじゃないか?と思っているので、あとは聴いてくれる人がどう応えてくれるかな?ということで。しばらく離れていた人も『RABBIT-MAN』のタイトルに反応して、聴いてもらえたら嬉しいなと思っています。

 

──椎名さんの根幹にあるロックってところは変わらないと思うので。久々に聴いた方から「変わらずロックだな」という感想もあるかもしれないですね。

 

「いい意味で変わらない」っていうのはあると思います。僕はそれでいいなと思うし、変わりたくてやっているわけじゃない、変わりたくないところもいっぱいあって。『RABBIT-MAN』を出した時に36歳だったヤツが48歳になって、「12年経っても、この人元気だな。相変わらずロックやってんな」って言ってほしいですからね。抗いたいです(笑)。

 

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──では、今作『RABBIT-MAN Ⅱ』のレコーディング時のエピソードを聞かせて下さい。

 

一番最初は2022年8月26日に原宿RUIDOで「どうやって君を奪い去ろう」の作りかけのデモを披露しました。となると1年以上かけて制作していることになるのですが、ずっと制作をしていたかというと、そうではなくて。SURFACE 25周年という括りもあったんで、一夜限りのスペシャルライブやツアーなど、SURFACEの活動の隙間をぬいながら作っていったので、どうしても時間がかかってしまいました。ただ、そこで頭の切り替えは、あまりしないようにしていたんです。下手に切り替えて、「ここはSURFACE、ここはソロ」って考えちゃうとパンクしちゃうんじゃないか?と思って。

 

──それは結果的に吉と出たんですか?

 

どうでしょう? 出来上がったアルバムを聴いていても、SURFACEらしさみたいなものを感じることもないので。吉と出たんじゃないかな?と思います。

 

──そこも面白いところで、『and』の時はSURFACEとのすみ分けを意識して、あえてギターサウンドを後ろに下げたりしていましたけど。今回、「自分の好きなことをやろう!」と開き直ったけれど、SURFACEらしさは全然出ていないという。

 

面白いですよね。今回はギターを前面に出してロックしているのに、それほどSURFACEを感じさせないということは、ギターの問題じゃなかったんだということで(笑)。結果としてですけど、あまり気にしなくていいんだなっていうことが分かりましたね。やっぱり、永谷が持っているアクがあってこそのSURFACEのサウンドなんだという答えが出たので。もし今回のアルバムに永谷が加わっていたらSURFACEになっていたでしょうし、永谷にそれだけオリジナリティがあるってことなんだと確認出来たし。

 

──椎名さんと永谷さんが揃った時に生まれる化学反応、SURFACEという名の魔法がかかることも分かりましたしね。

 

ありますね、悔しいけど(笑)。そこに改めて気付けたことも大きかったし、それは今後も大きな武器になっていくと思います。

 

──では、『RABBIT-MANⅡ』の聴きどころや推し曲も教えて下さい。

 

やっぱりアルバムタイトルが『RABBIT-MANⅡ』で、それを冠した「RABBIT-MANⅡ」というタイトルの曲があるので、それを推さないわけにはいかないと思っていますし、ぜひ聴いてほしいです。聴いてもらえるチャンスはどうすれば出来るだろう?というところで、MVも作らせてもらいました。アルバムの取っ掛かりとして「RABBIT-MANⅡ」を聴いていただいて、その世界観に没入してもらって。「前とはちょっと違うけど、なんか良さげだな」と思って、アルバムに手を伸ばしてもらいたいので。推し曲は「RABBIT-MANⅡ」だと言わせて下さい。

 

──「RABBIT-MANⅡ」のMVを拝見して、白バックのバンド演奏で、シンプルに歌と演奏を魅せる映像作品になっているからこそ、歌や歌詞もダイレクトに伝わってくるMVだなと思いました。

 

ありがとうございます。12年前の「RABBIT-MAN」をオマージュした部分もあるんですが、「RABBIT-MAN」のMVもYouTubeにあるので。前作と見比べていただければ、より面白さも伝わると思います。

 

♪椎名慶治/RABBIT-MAN II

 

 

♪椎名慶治/RABBIT-MAN

 

 

──あとアルバムを聴いたりMVを見たりして思ったのは、椎名さんの歌にある説得力の秘密は何なんだろう?と。昔の作品と比べた時、圧倒的に歌の説得力があって、グッと胸に迫るものがあります。

 

自分にもはっきりした答えはないですけど、伝えたい思いがちゃんと伝えられるようになったという感じなんですかね。

 

──小手先だけでない、心に訴えかける術が分かってきた?

 

うん、そうだったら嬉しいんですけど。自分では確信的なものがないまま、伝わればいいなと思って作っているので。「説得力あるな」と思っていただけたなら、すごく嬉しいですね。

 

──歳を重ねることによって、素直になれている部分もある?

 

それは絶対にありますね。カッコつけてしまう部分ってあるんですけど、それがもっと抜けてきましたよね。

 

──でなければ、「醜態成」みたいな曲も生まれないかと。

 

そうだと思うし、カッコつけないことのカッコよさってあるじゃないですか?それは昔よりも今の方が理解しているかもしれないですね。素直になれた一枚だと思います。

 

──そして、そんな『RABBIT-MANⅡ』の完成を記念して作られた、“スマホをかざすと音色が流れるアクリルスタンド”。スマホをかざすだけで音色が流れるアプリ『P!TNE』を活用して、ボイスやサウンドが流れるアクリルスタンドを販売するのは椎名さんが初めてです。

 

レコチョクさんで『P!TNE』を立ち上げて、第一弾として椎名で試して。ズッコケたら、やめようという話だと思うんですが。

 

──そんなことないです(笑)。もともと、この企画はどういった形で進んでいったのでしょうか?

 

レコチョクさんからお話をいただいたんですが、アーティストって新しいことが好きだと思うんです。具体的な話を聞いていたら、アクリルスタンド自体は別に新しくない。音声が流れるのも別に新しくない。だけど、その2つを組み合わせたものは、新しい。

しかもスマホを近づけるだけで、ワンタッチで聴けてしまうということに、面白さを感じて。「タイマーにしてみませんか?」とか「歌が聴けるようにしてみませんか?」というアイデアもいただいて、「それは面白いな」と乗っかったのが最初でした。で、いざやらせてもらって、20分のタイマーを録り始めたんですけど、ぶっちゃけ喋ることないんですよ(笑)。20分間垂れ流しで、僕も20分喋っているんですけど。カップラーメンの3分、5分を過ぎると、ゆで卵くらいしかない。あとは女の子だと、パックとか?

“タイマーとして使えるボイス”の使い方としてひとつ思ったのは、「あと20分で家を出なきゃいけない」って時にスタートさせて。会社や学校に行くまでの20分を僕のボイスを聞きながら、出かける準備をするという使い方をしてもらえたらベストなんじゃないか?と思って。

 

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──なるほど。20分って、家を出るまでにちょうどいい時間ですね。

 

で、もう1種類のアクリルスタンドは「優しさなんかじゃないんだってば」がアカペラで聴けます。これはどう使って良いか分からないし、ちょっと恥ずかしいんですけど。新しいアルバムの曲がアカペラで聴けて、バラードだし、切ない曲なので。俺の声だけでも、もしかしたら伝わるものがあるかもしれないので。試しにぜひ聴いて欲しいですが、僕はタイマー推しです(笑)。

 

──ボイスの方のアクリルスタンドは手に取りやすいようにリビングに置いて、アカペラのアクリルスタンドの方は寝る前に聴けるように枕元に置いて…とかどうですか?

 

いいですね。寝る時に子守唄代わりに聴いてもらって……ちょっと切なくなるかもしれないですけど。

 

──そしたら、玄関に置く「いってらっしゃい」のアクスタも欲しくなりますね。

 

じゃあ、それは第2弾で(笑)。使用用途が違うアクスタを各部屋に一個ずつ置けたら良いですね。

 

──アクスタって、推しと常に一緒にいたいから持っているものだと思っていて。その場その場に合ったボイスがあったら、なおのこと良いですね。

 

一緒に食事に連れてってもらって、食事に行った時のセリフや、「今日はなに食べようか?」とかを言うアクリルスタンド。“推しといつまでも”って感じでいいですね、面白い!ぜひ、いろんなところに連れてっていただけると嬉しいです。

 

──「優しさなんかじゃないんだってば」のここでしか聴けないアカペラver.が聴けるだけでも貴重だと思います。

 

これはアルバム用にレコーディングしたもののオケを全部抜いたものなので、CDの音源のままなのですが、「歌だけにするとこうなるんだ」というのを聴いて楽しんでもらいたいですね。よく聴くと僕の息遣いや、ヘッドホンから漏れるオケの音まで聴こえるかもしれない。

 

──それはかなり貴重ですね!実物のアクリルスタンドを手にとってみていかがですか?

 

アイテム自体がすごくしっかりしているから、アクスタとして置くだけでも可愛いと思います。あと、スマホをかざしたらタイマーがスタートしたり、曲が流れたりっていうのを体験して、すごく面白いと思ったので、ぜひ、みなさんのそばに置いておいて欲しいです。無理して2個買う必要はないと思うんですけど、どっちか片方だけでも手に取っていただけたら嬉しいです。

 

──今回、評判が良ければ第2弾、第3弾もあるかもしれないですし…!

 

そうですね。どんどん増えてきたら、コレクションとしていただいても楽しいと思いますし。具体的な使い方に関しては、動画で説明させてもらっているので、そちらもぜひご覧下さい!

 

【P!TNE】第一弾:椎名慶治さん紹介動画

 

 

──そして、改めてになるのですが。2023年は椎名さんにとってどんな年になったでしょうか?

 

まずはSURFACEを25年やってこられたことが一番大きいです。音楽活動を25周年やってこられたこと、ソロとしては『RABBIT-MAN』シリーズを12年ぶりに出せたことというのが、特に印象深い出来事でした。ただ、個人的には体調を崩しやすくなったので、2024年は体調にも気をつけていきたいなと思います。

 

──2024年はアルバム『RABBIT-MANⅡ』を引っ提げてのツアーも予定されています。

 

3月からアコースティックライブ、4月にはバンドライブを予定して、どちらも『RABBIT-MANⅡ』を引っ提げてという形です。アコースティックライブはアコースティックとしてのアレンジを楽しんでいただいて、バンドライブの方は『RABBIT-MAN』ライブ時の再現性を重視して。それぞれ、違った楽しみ方をしていただければと思っています。

 

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──今作の新曲たちをライブで演奏するのも楽しみですね。

 

それと同時に、難しいだろうなっていうのも付きまとっていますけどね。打ち込みのドラムだったり、ベースもシンセベースが多かったり、生楽器の音っていう形じゃないものが多いので。ベーシストのレフティ(宮田’レフティ’リョウ)は、「ベース弾くのやめようかな?」とか言っていて。いつものライブとは違ったパフォーマンスが出来るんじゃないかと思っていて、どうなるのかが楽しみでもあり、ちょっとソワソワしていますが。ぜひ、みなさんにはアルバムをしっかり聴き込んで、ライブも遊びに来て欲しいです。

 

──そしてツアーが終わる頃には、また次にやりたいことが見えてくると思いますが?

 

ややこしいんですけど再来年、僕が50歳になる年にSURFACEが27年目、ソロとして15年目を迎えます。そこは大事にしたいなと思っているので、今年はたくさん種を撒いていくつもりで、いろいろとやっていけたらいいなと思っています。

 

──では最後に、ファンのみなさんへのメッセージをお願いします。

 

まず、本当に応援してくれている人がいたからこその25年だったので、2023年がみなさんのおかげですごく楽しい年になったっていうのは間違いないです。本当に感謝していますし、これからもよろしくお願いします。

あと、グッズに関しては、まず普通にアクスタのカッコいい俺をぜひ近くに置いておいて欲しいなということと。寂しくなった時、無駄にタイマーを流しておくっていうのもオススメですね。「ちょっと寂しいけど、歌を聴く気分じゃない」って時って絶対にあると思うんですよ。特に「優しさなんかじゃないんだってば」は失恋ソングなので。「失恋した時に聴きたくない、でも一人でいたくない」っていう時、タイマーを流して無駄にバカみたいに喋っている僕の声を流してもらえれば、話し相手になりますから。寂しい夜のお供に、ぜひ手に取っていただけたら嬉しいです!

 

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文:フジジュン

写真:平野哲郎

 

▼『RABBIT-MANⅡ』発売記念アクリルスタンドはこちらから(数量限定販売)

https://store.murket.jp/special/yoshiharushiina_acrylicstand

  • 椎名慶治

    椎名慶治

    1975年12月30日生まれ。
    1998年SURFACEのボーカリストとして「それじゃあバイバイ」でデビュー。人気ドラマ「ショムニ」「お水の花道」や、人気アニメ「守って守護月天!」「D.Gray-man」や「NARUTO」等、幅広いジャンルのテーマソングを歌う。2010年6月13日、東京国際フォーラム・ホールA公演にてSURFACEは解散。2010年11月10日、ミニアルバム「I」でソロデビュー。2011年6月8日の1stフルアルバム「RABBIT-MAN」にてソロ本格始動。
    ソロ活動と平行してAstronauts(May’n & 椎名慶治)では、仮面ライダーフォーゼのエンディングテーマを歌い、さらにタッキー&翼への作詞提供、高橋まこと(ex:BOØWY)氏率いるバンド「JET SET BOYS」のボーカルとしても活動、など、活動の幅は多岐にわたる。
    デビュー20周年を迎えた2018年5月27日に東京・豊洲PITにてSURFACEは再始動。