レコチョクのアーティストピックアップ企画「Breakthrough」の11月度に選ばれたKroi(クロイ)。彼らのクリエイティブ力や創り上げる世界観は独創的であり、かつ、唯一無二な存在として、今音楽業界のみならず、各クリエイティブ集団が注目している存在であろう。

12月3日(木)には待望のシングル「Page」をリリース。そんな彼らにインタビューを行い、本作についてはもちろん、アーティスト・Kroiの考え方や想いに迫った。最後には彼らにセレクトしてもらったプレイリストに対する想いについても答えてもらっているので、最後までチェックしてほしい。

 

 

 

新しいことをしている時って「違和感がある」と思っています

 

 

 

――ブラックミュージックに影響を受けており、アーティスト名にも反映されているとのことですが、あらゆる楽曲からルーツを感じられているとのことで、具体的に皆さんそれぞれのルーツになっているアーティスト・楽曲と、それに関するエピソードを教えて下さい。

 

関将典(Ba.):大学の頃、Rage Against The Machineにどハマりして、ラップを取り入れたミクスチャー感に魅了されました。その頃ベースを始めて、MetallicaやSlipknotなどを聴いていたのですが、ある日バイト先の楽器屋でCheryl Lynnの「Got to Be Real」をメンテ後の試奏の時に弾いていたら、上司から「そういうの好きなのか!」と言われ、段ボールいっぱいのファンクやディスコのCDを貸してもらい、いわゆるブラックミュージックというジャンルにハマりました。その世界を知ってからは、それまで聴いていたMichael Jacksonやjamiroquaiなども聴こえ方が全く変わって、楽しくてしょうがなかったです。

 

内田怜央(Vo.):自分は完全にRed Hot Chili Peppers始まりです。レッチリが主題歌をやっていた「デスノート」2作目の映画に友達が出てたりして、以前から存在は知っていたんですが、中2の時にドラムの先生から「By The Way」を課題曲で出されて「ヤバすぎっ」ってなりました。そこからディグり始めて、Stevie WonderとかP-Funkとかも聴くようになりました。

 

長谷部悠生(Gt.):僕は高校生の時にブルーノートに見に行ったKool & the Gangのライブですね。「Jungle Boogie」や「Too Hot」、「Celebration」などの往年の名曲達を目の前で聴いた感動は、今でも心に残ってます。

 

千葉大樹(Key.):物心ついた時から親のカーステレオで洋楽が流れていたので、それが一番大きいルーツになっています。Michael Jackson 、Earth, Wind & Fire 、POLOCE、Stevie Wonderなど王道なものは大体カーステレオから流れていたので、自然と聴いていた気がします。

あと、大学生の初め頃からはエレクトロも聴いていたので、僕が加入してからはそういった打ち込みやサンプリングっぽいエッセンスも楽曲に入れられるようになったかなと思います。

キーボーディストとしてはオルガンプレーヤーのRonnie FosterやJoey defransescoとかを最近はよく聴いています。あとずっとFour Playが好きです。おじさんなので(笑)。

 

益田英知(Dr.):Johnny Winterの「Key to the HighWay」ですね。大学時代にYouTubeのおすすめで流れてきたのがきっかけで、Bluesの持つ感情表現の自由さに魅力を感じました。地域によってBluesの色がそれぞれ異なるところも面白いなと思います。

 

――楽曲制作時に「吸収した音楽のエッセンスを中途半端に入れていない」と関さんがインタビュー内でお話されていましたが、内田さんはじめ、普段、作詞作曲をする上で大事にされていることはなんですか?

 

内田:「違和感」ですね。新しいことをしている時って「違和感がある」と思っていて、中和させすぎないということは心がけています。あとは作っている時に「どれだけ自分が楽しくなれるか」を研究していて、「ここのセクションは真面目に作ったから、次のセクションふざけよう」とか、楽器屋のセール品かジャンクかわからないような棚をあさって「これ誰も使いたくないだろうな」って思うような、汚くて珍しい打楽器とかを買って曲に使ったりしています。進化をやめたくないバンドです。

 

:あと「それっぽいもの」があまり好きじゃない面々なので、やれるならとことん作り込むほうが面白いし、新しいし、格好いいという思いがあります。その感覚が音楽においては「中途半端にしない」ということだと思ってます。

 

千葉:自分達が好きな音楽のサウンドやアレンジをしっかり踏襲しつつ、真似ごとにはならないように、しっかり新しいものとして聴こえるような制作を意識しています。

具体的には曲のセクション毎に雰囲気を変えたり、楽曲のパート毎に違うサウンドやルーツの音を鳴らしたりなど、方法は色々あるのですが、色々やっている分上手くまとめるのが難しくなります。丁度いい塩梅のアレンジができるよう、日々頑張っております!

 

――「HORN」の作詞時も「ハッピーエンドで終わりたくない」とのコメントがありましたが、音に深みを感じてほしいと思ったきっかけはなんですか?実際に音によって、何かを感じた原体験があったからなのでしょうか?

 

内田:音楽っていつの時代も、何か大きなモノへの怒りとか不満とかをストレートに歌ったり、隠喩したりして名曲ができていると思ってるんですけど、今の世の中って、大して不満がないというか、不満があっても昔の曲の歌詞の不満の大きさには敵わないんです。

そう考えたときに、もっと独特な深みを生み出したいなと思うようになりました。聴く人によってや、聴く時期によって違う受け取り方ができる曲を目指しています。でも、まだ昔から残る不満のなかに、歌で主張していかないといけないトピックもあると思っているので、そういったものも研究していきたいです。

 

――さて、今回11月の【Breakthroughアーティスト】にピックアップされましたが、今のお気持ちをお聞かせ下さい。

 

内田:あざざざっす!!嬉しい!!

 

:数多いアーティストの皆さんの中から選んでいただけた嬉しさが何よりです。ありがとうございます!今後とも何卒!(笑)

 

長谷部:プレイリストもあり、インタビューもあり、盛りだくさんで楽しいです。来月も選んでください(笑)。

 

千葉:やっとブレイクスルーできました!!!

 

益田:恐縮な気持ちでいっぱいです。感謝の気持ちを忘れず引き続き頑張っていきたいです。

 

――結成当時から音楽をするだけではない、「Kroiという存在でありたい」との想いがあったとのことですが、直近で挑戦してみたいことがあれば教えてください。

 

:「アーティスト」というカテゴリーに限らず、あらゆる業種や業界とのコラボレーションや共作などをしていきたいですし、お互いのクリエイティブやキャリアを高め合う相乗効果が生まれた時は純粋に楽しいですし、刺激的だなと思います。

 

内田:益田さんがフルマラソン走りたいとか言ってました。なんでかは分からないですけど(笑)。あとはゲームアプリとか作りたいですね。

 

長谷部:カメラマンだったり、ミュージシャンだったり、映像監督だったり、デザイナーだったり、Kroiが今まで関わってきた人達とのボーダレスな複合カルチャーパーティーをやりたいです。

 

千葉:音楽以外になってしまうのですが、外ロケや大食いなどのバラエティ動画を作ってYouTubeにたくさんアップしたいです!

 

益田:今までのものももちろん素晴らしいんですが、それ以上にこだわったアートワークを作ってみたいです!

 

――音楽以外のクリエイティブも内製していらっしゃいますが、こだわりや工夫している点はありますか?

 

:Key.のバーチー(千葉)はアートワーク周りや音源のミックスなど様々な部分を担当してくれていたり、マネージャーのアンディ(安藤)もプロモーション動画などの編集や多方面へのアプローチを考えてくれていて、Kroiにおいてかなりの強みです。最近ではありがたいことにカメラマンや映像作家の方々との繋がりも増えてきたので、表現の幅も広がっています。こだわりとしてはやはり「新しいことをする」という点が大きいですね。

 

千葉:こだわりというと、真面目にカッコいいを突き詰めすぎると、整い過ぎてしまい逆にインパクトに欠けることがあるので、そこのコントロールは常々気をつけています。

また、他のアーティストの方々や、流行りのデザインなどの動向は日々チェックして、なるべく被らないようなクリエイティブを意識しています。

アーティストブランディングをする上で既視感のあるクリエイティブをしてしまうと、安っぽく見えたり、オリジナリティに欠けてしまうので気をつけて制作しています。

 

 

培った価値観を押し付けるんじゃなく、「提案する」ようなアートを作っていきます

 

 

――寛容性や多様性を音楽に反映できるということは、私生活で何か気づきやインプットがあると思うのですが、私生活から意識されていることや、インスピレーションを受けていることなどがありましたら教えてください。

 

内田:ずっと考え事をしてます。外のモノに頼ってしまうと自分の中にあるモノの見方を忘れてしまうので「無理にインプットしない」ってことは意識してます。でも逆にインプットしなすぎると、偏った価値観になっちゃうのでバランスですね。映画、YouTube、ゲーム、子供番組、新書など、いろんなとこにインスピレーションはあるので、見逃さないようにしたいです。培った価値観を押し付けるんじゃなく、「提案する」ようなアートを作っていきます。

 

:個人的には、Kroiというバンドの見せ方やプロモーション方法などについて意見する場面が多いのですが、生活の中で思いついた活動のアイデアなどはその時にしっかり考え込んで、すぐにグループチャットに箇条書きで投げたり、リファレンスを探したりするようにしてます。それを元に常日頃からチームのみんなとディスカッションしています。

 

長谷部:洋服好きな人とか、カメラマンとか、音楽以外の事をやっている人と話していると刺激を受けますね。

 

千葉:全てがそうというわけではないのですが、音楽でもそれ以外のクリエイティブでも、気合をいれてちゃんと作ったであろうものを見ると興醒めしてしまうときがあるというか、かっこよすぎて逆に面白みがない、と思うことが多くて、その度に何事も塩梅が大事だな、本当にみんな違ってみんないいんだな、というふうに思います。

 

益田:僕は読書をよくするので、そういったところからいろいろな価値観に触れることは多いと思いますね。

 

――10月にリリースされた「HORN」のMVもカメラワーク、構成、背景含め印象的です。MV制作時のエピソードや見どころ、裏話などがあれば教えてください。

 

 

 

Kroi – HORN [Official Video]

 

 

 

:今回初めて新保拓人監督とご一緒して、自分たちも最高に満足のいく作品になりました。提案して頂いたMVの世界観やストーリーなどのアイデアが圧倒的に素敵でしたし、信頼できる方々が携わってくれていたので不安は全く無かったです。

 

内田:もともと「BOX」っていうタイトルで提案された企画だったんですが、「箱の中」という狭い視野から見たら自分たちは自由かもしれないけど、「箱の外」の広い世界から見るとそれはまやかしなんだ、という意味で僕は捉えてます。

この曲のイメージを「ホテル」って監督に伝えたんですけど、より視覚的なニュアンスをプラスしてくれて、古いラブホテルをイメージした箱のセットを作ってくれたり、新保さんとの化学反応で視覚的にも「HORN」の世界観が伝わりやすい作品になったと思いました。

 

益田:床をくりぬいてアクリル板をはって、その下からカメラマンさんが入って撮影したりと、いろんな手法で撮影しましたね。

 

長谷部:他にも色々ありますが、この間配信した「Talk about HORN」というYouTubeの生配信番組でいろいろ話しているので是非見てみてください。俺が好きなシーンは千葉さんが何もしていないシーンです。

 

 

 

Kroi Live : TALK ABOUT “HORN”

 

 

 

千葉:集合時間が朝早く、前日ほとんど寝られずだった為、あのような鋭い目付きで出演してしまいました。次はもう少しパッチリおめめで撮影に臨みたいです!

 

 

 

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