彩冷えるのドラマーKENZOのソロプロジェクトとして2013年10月に始動したBVCCI HAYNESが2020年11月に前作から5年ぶりとなる待望の2ndアルバム『Hiraeth』をリリースする。WIZYでは、限定生産盤としてLP盤(アナログレコード)の制作を行う。その他にも様々なアイテムを用意しているが、そんな彼にインタビューを行った。アルバム『Hiraeth』の仕上がりや込めた想いについてはもちろん、彼の素顔にも迫っているので、最後までチェックしてほしい。
今回は自身の体験談や経験してきたこと、思い出などもテーマにしています
――今回、ニューアルバムをアナログでリリースするということにファンの方々は喜んでいると思うのですが、アナログに対してどんなこだわりがあったのでしょうか。
いまは、新曲をリリースしたらサブスクリプションサービスやYouTubeなどで音源が聴けるので、昔に比べて音楽がより手軽になっていますよね。CDなどもそうですけど、昔に比べて今は手に取るアイテムのあり方が変わっていると思うんです。
その中でも手で触れて、よりこだわり深く楽しめるのは、世界的にも一周回ってアナログレコードになっているので、今回はこの形を選びました。
――デモ音源を聴かせていただいたのですが、今までの楽曲とはまた違うものになっていますよね。
そうですね。作品自体は前回同様同じアレンジャーと作っていますが、今回はMIXを自身で手掛けていることが大きな違いですね。
これまでエンジニアに任せてやっていたことも、個人でできるところはなるべく自身で作業したので、より思い入れのある作品になりました。
――前回、彩冷えるのバンドインタビューでは、“協調性が出てきたからこそすごく楽しい”とみなさんでおっしゃっていましたが、ソロであれば、より自分の個性を爆発させる場所になると思うんです。
バンドでは自分が曲を作る場合、それをみんなで体現することがおもしろいんですが、ソロは制作の段階から濃いイメージがすでにあって、その情景を頭の中からどうアウトプットするかという作業になってくるんです。そこがバンドとは違うんですよね。もちろん、一人で体現するからこそ、より深く伝えられる分、精密に、精巧に作ろうと心掛けています。
――より世界観が色濃くでますよね。
はい。今までは物語が多かったんですが、今回は自身の体験談や経験してきたこと、思い出などもテーマにしています。
なので、よりリアルな自分も表現できたように感じていますね。
――その自分らしさって、年々鋭くなっていく部分と、穏やかになっていく部分があると思うんですよね。
ありますね。良くも悪くも尖っていく部分もあると思います。ただ、昔のような言動や表現ではないですけどね。
世界観で言えば年齢を重ねていくにつれ、より深くなっていっている気がしています。
リリース後のみなさんの反応が楽しみです
――今回アナログで作るからこその楽曲になっていると思うのですが、いかがでしょうか。
アナログを特に意識して作ってはいませんが、僕の楽曲はどちらかというとイメージと違って、柔らかくて暖色をイメージするようなものが多いと思います。今回も特にその部分が強く現れていると思いますし、昔より自身の観せたいものが表現しやすくなっています。
なので、今回もその世界観を味わってもらえたら嬉しいですね。
――そのような曲が生まれてきたのは、どのような心境の変化があったのでしょうか。
前作までは、物語性がすごく強かったんです。フィクションや自身の経験でも、別の物語に置き換えてみたり。
今回は、いつもより自分のバックボーンを反映させて作ってみようというのがアイデアの始まりでした。ただ、前作から5年(ミニアルバムからは2年半)間が空いてしまったので、新作を作る上でかなりのプレッシャーはありました。その間に大きな心境の変化もあったからこそ、これまでのBVCCI HAYNESとはサウンドが別物になっています。なので楽しみにしていてくれている方々には、同じ名前だけど、同じ人物の作品なのかなって思われてしまうのかもしれませんね(笑)。
――でも、聴いている人たちも5年間で変化しますしね。
KENZOとして知っていただいている人には、その変化はあまり驚かれないと思うんですが、いい意味でも悪い意味でも別物としてとらえてもらえた方がいいのかなと思っています。なので、リリース後のみなさんの反応が楽しみですよ。
――今回は様々なゲストの方も迎えていますね。
今回は彩冷えるのメンバーであるタケヒトの他に、YOUSAYと圭(BAROQUE)に参加してもらいました。
YOUSAYは違うプロジェクトでも色々と一緒にやっていますし、圭は、BAROQUEのドラマーとして僕が参加させてもらっているので、その縁があって参加してもらいました。実は最初、全編ギターを入れない方向で考えていたんですが、この3人がそれぞれギターで入ってくれた3曲は、世界観的にこのプレイヤーとの関係性ありきで入れた方がいいなと思ったので、声をかけさせてもらったんです。
――同じギターでも全然違いますよね。
そうですね。3人とも、プレイスタイルと音が全然違うんですよ。それぞれの音がしっかりと僕の頭の中にあったので、お願いしました。実際に曲を作る時に、僕はギターを基本的にあまり使わないんですよ。でも、アレンジをしたときに、ギターが必要というよりも、この人の音が必要だと思ったので入れたんです。
――それは絶対的な信頼関係があるからできたことですね。
そうですね。本当に感謝してます。
――タイトル『Hiraeth』にはどのような意味が込められているのでしょうか。
今作は、あまりにも自分らしい曲が並んだので、最初は自分の本名をつけようかと思ったんですよ。でも、僕のソロ名義としてBVCCI HAYNESがあるのに、本名をつけるのって、インパクトはあるけど、ちょっと違うのかなと思って、「望郷」や「郷愁」という、失ってしまった様々な思いを表現した意味を持つ『Hireath』にしたんです。
05-SANDSCAPE / Desert planet feat.圭
――すごくおもしろいアイデアですけどね。いざその本名の作品ができるのを楽しみにしていますね(笑)。
はい(笑)。
――そしてMVも作成予定だとお聞きしました。
自身の会社に、映像やCGができるメンバーがいるので、それなら制作してみようかという話になったんです。こういう作品って信頼できる仲間や友達と作れたら、すごくいいと思うんですよね。ちなみに作りたいと思っているのが「Iridescent clouds」「SANDSCAPE / Desert planet」「City of God」の3曲です。3曲とも全くタイプの違うものになるので、形にできたら絶対に面白いと思うんですよね。特に「SANDSCAPE / Desert planet」は、SFっぽい曲なので、その展開をCGで作り上げていきたいなと思っているんです。
ただ、全編は時間と予算的に無理でしょうけど(笑)。
――楽しみが増えました!
大変だと思いますが、頑張ります(笑)。