Ran5

 

 

 

年齢を重ねることで生まれる言葉や歌詞も変わってくるから、変わっていく自分を受け入れたいし、変わりたくないなって思うんです

 

 

 

――そして、年末から4か月連続配信リリースと、積極的な音楽活動が始まります。まずは「行方」について聞かせてください。この曲はものすごく言葉にこだわりが詰まっていますよね。

 

はい。実はこの曲は8月にリリースした『無垢』というアルバムに入っている「環」という曲の続きのような感じなんです。いつもは細かい設定などをせずに書き始めることが多いんですが、この曲は実際にモデルとなる女の子がいるので、そのことを考えながら書きました。…というよりも、いつのまにか書いていた感覚に近いんです。最初に無意識のうちに他愛のない話をしていたというフレーズが生まれたときに、その子のことになっちゃったんですよね。

 

――それはその子に伝えましたか?

 

まだ伝えていないんです。「環」のときはモデルになっていることを伝えたんですけどね。「マジか」って言っていました(笑)。

 

――あはは。でも、なぜその子を題材にしたのでしょうか。

 

私の大切な友達なんです。ほかに友達と呼べるような子がいないくらい、大切な友達なんですよ。サビに“あやふやな矛盾に気づいた日には君に届くまで泣いてしまいたい”という歌詞があるんですが、まさにその子のことを言っていて。自分が上手くいかなかったときや、気分が落ち込んだときは、その子に会いたくなるし、その子の声を聴きたくなるんです。

 

――すごく大切な存在なんですね。

 

はい。

 

Ran4

 

――最初にこの曲を聴いたときは、友情よりも、愛情に聴こえたので、今のお話はすごく興味深かったです。

 

私はいつも歌詞を書く時に、その人の感情、気分、いろんな観点から見れる曲にしたいと思っているんです。恋愛の曲も友情としてとらえられるし、家族愛や、まわりにいてくれる仲間など、すべてが聴いてくれる人にあてはまるような曲を作りたいと思って書いているので、そう思ってもらえるのはすごく嬉しいです。

 

――だから共感できるんですね。そしてサウンド部分もちょっとした遊び心が詰まっていますよね。

 

はい。自分で曲を作り、アレンジをお願いして帰ってきたときに、イントロとAメロのギャップにすごくビックリしたんです。最初にお願いしたときに、右から左に流れるのではなく、エッセンスが欲しいとお願いしていたので、まさにその通りになっていてビックリしました。アレンジャーさんのプロの技を感じましたね。

 

――これまでとは違ったRanさんの楽曲が楽しめますよね。そうですね。あとは、歌詞にあった私らしくないというフレーズが気になったんですが、Ranさんが想う私らしさとはどんなところにあると思いますか?

 

私、たぶん人に興味がないんですよ(笑)。

 

――え!?(笑)

 

あはは。でもそれがいいところでもあり、悪いところでもあるんです。ただ、人とのかかわりの中から生まれていくものに興味があるんです。それが悩みや嬉しさ、悲しさになるって面白くないですか?なので、人とコミュニケーションを取ることはやめたくないんですよね。

 

――たぶんそれは、特定の人、大切な人には興味があって、第三者のことが気にならないんでしょうね。

 

そうかもしれないですね。他人にどう思われるかは興味がないんです。

 

――でも、今の時代はそれくらいの方がいいのかもしれないですね。そして、そんなコミュニケーションから生まれた「おれんじfeat.Kei iwasaki」は、セカイイチの岩﨑慧さんとのコラボになるんですね。

 

はい。すごく楽しいコラボでした。もともとギターでデモを作ったものを岩﨑さんにお願いしてアレンジをしてもらったんです。コーラスにも参加してもらっているんですよ。

 

――歌詞の物語もすごく独特で素敵でした。

 

ありがとうございます。この曲はSNSで好きなインフルエンサーを見つけてフォローして、髪型をまねたりすることからヒントをもらって作った曲なんです。でも、そこで感じる羨望をオシャレに曲にできないかなと思ったんです。

 

――でも、キラキラというよりも、どこか陰がありますよね。

 

まさに、そこなんです。私のおばあちゃんの家には、ダンボールにみかんが詰め込まれてあったんですよ。でも時間が経ったり、湿気が多かったりすると、真ん中からカビてくるんですよね。しかも、接触した部分から…。そういうのを思い出して書いたんです。人との関わりで自分の黒い部分って見え隠れするし、そこが腐るとどんどん広がっていくなと思って。

 

――わかります、すごくわかります(笑)。

 

よかった。これはきっと今を生きる人ならわかってもらえると思ったんですよね。

 

Ran3

 

――この2曲だけでもすごく素敵ですが、さらに2曲、続々と配信されるんですね。楽しみにしていますね。さて、Ranさんは今年20歳を迎えられましたが、どんな変化がありましたか?

 

14歳でボーカルスクールに通って音楽を始める中で、ずっと若いねって声をかけられて生きてきたんです。それが19歳になり、あまり言われなくなって、どこか価値がなくなってしまったように感じたんです。でも、20歳を迎えるにあたって、そのコンプレックスから少し放たれて、いろんなことを考えるけど、生きているし、偉いって思えるようになって(笑)。

 

――いや、本当にそう!

 

でも、年齢を重ねることで生まれる言葉や歌詞も変わってくるから、変わっていく自分を受け入れたいし、変わりたくないなって思うんです。

 

――柔軟でありたい。

 

そうです! これからは柔軟でありつづけ、自分らしさをなくさずに音楽を続けていきたいですね。

 

 

Ran6

 

文:レコログ編集部

写真:平野哲郎

 

 

 

 

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  • Ran

    Ran

    幼少期より音楽と触れ合うことや歌うことが何より好きで、中学3年生の時にある映画を見たことをきっかけに本格的にボーカルスクールに通うようになり、同時にギターとソングライティングを始める。
    2019年9月にデビュー前にも関わらず、欅坂46、池田エライザのイラストで話題のデジタルアーティストwatabku氏がTシャツ、Mカードのデザインを担当し、バンドル商品として、ヴィレッジヴァンガードで販売展開し、話題を集める。また、東京・福岡を中心に7大学からオファーを受け、学園祭に出演。
    2000年2月より音楽配信アプリ「Eggs」にて楽曲をアップロード。現在までにEggsでは14万回以上の再生回数を記録している。2020年8月にデビューミニアルバム「無垢」をタワーレコード内のEggsレーベルよりリリース。

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