ライブが出来るようになった時に爆発してもらえるような、そんな心構えをしてもらえたら嬉しい
──3曲目の「是が非でも」は、「三大欲求」とセットで聴きたいなと思うくらい、背中を押してくれる力強さがありますね。
田口:「三大欲求」がメジャーになって僕らが開いた新しい扉だとしたら、「是が非でも」は今まで育ててきたロックの部分だと思っています。昔のことも忘れてないし、積み重ねてきたものがあるよ、というところを見せたかったので。
4年前に1stシングルを出したんですけど、その一番最初に入っている曲の「夏の終わり」と同じ構成でロックに作ったんです。なんならわざとマネしたぐらい。マネしたものをメジャーでやるとしたら、もっとレベルアップしているはずじゃないですか。そのレベルまで自分たちが頑張ってきたかどうかを試したかったんです。
歌詞は、今まで何をやっても否定されるような、要するに誰もやってないような少数派を取ってきて、誰になんと言われようと是が非でも進まないと、ここまでこれなかったということを表現しています。だから、この歌詞は一番ぴったりだと思っています。
──田口さんのそういう想いは、お二人に伝えるんですか?
田口:一回も伝えたことがないです。
矢野:そういうことを汲み取って歌ってます。で、取材で答え合わせをする(笑)。
太我:自分は汲み取ったかどうかわからないけど、この曲は4曲の中で一番ロックに、気合いを入れて頑張りました。プロデューサーの鈴木Daichi秀行さんも「太我、カッコいいよ」って言ってくれて。俺も「わかってるよ!」って言いました。
──そうでしたか。さて、4曲目の「推しが尊いわ」ですが、まず、なぜこういうテーマで曲を作ろうと思われたのか教えてください。
田口:僕らは今、音楽とYouTubeをやっているので、音楽だけじゃない文化をもったファンの方が入ってきてくれているんです。そうなると、違う文化の人同士、お互いの文化を認めない風習というのを感じる時があって。その一つが“推し”なんです。「“推し”ってアイドル界隈の言葉だよね」っていう固定概念をもった根っからのバンドファンと、YouTubeから入ってきてくれて、その流れでノンラビの音楽も好きになったから「“推し”は“推し”だよね」っていうファンとの、ちょっとした論争みたいなものがあったんですよ。そういうものに対して、バンドマンは今まで誰も何も明言してこなかったんです。入り口は広い方がいいのに、ファン同士で起きた論争を無視したままにするのは何か違うんじゃないかなと思って。僕らにとっては、どんなスタンスでも僕らのファンであるならみんな同じなんですよ。だから、「どんなスタンスでもよくね?」っていうことを思いっきり明言するために、僕ら自身が“ぴえん。かわいい”って言ってる人になろうと思って。僕らがここまで振り切ったら誰も何も言えんだろう、と。
♪Non Stop Rabbit 『推しが尊いわ』 official music video 【ノンラビ】
──それをキャッチーに聴かせて伝えているところが素晴らしいですね。
田口:そうですね。もしかしたらファンの中にも「なんでこんな歌を歌ったの?」って思っている人もいると思うんですけど、たぶんライブでわかってくれると思うんです。僕らはこの曲をロックに仕上げるから、それでみんなが楽しんでくれたら、その時点で「ほら、2つの文化が混ざってるじゃん」って言えるんじゃないかなと思っています。
──そういう思いを持って、MVでは女装をされたんですね。
田口:そうです、そうです。
矢野:いや、(田口が)したかったんです。どうしても女装に付き合ってくれって。
田口:違う違う(笑)。
──撮影前に何か準備をされたんですか?
田口:自分たちで原宿のお店に買い物に行ったんですよ。
矢野:“ザ・ぴえん”が買うブランドがあるんですよ。そのお店に3人で行って。
田口:店舗がそんなに大きくないので、僕ら男3人がそのお店にいることが、他の女の子たちを寄せ付けない結界みたいになっちゃって(笑)。「なんで男がいるの?」みたいな視線も感じましたし、僕たちのせいで入店出来ない女の子がいたので、ちょっとかわいそうなことをしました。
──女装姿のメンバーの中で、推せる人はいましたか?
田口:本当はハル(矢野)が一番女の子っぽい顔をしてるから、女装しても可愛いんだろうなと周りのみんなは思っていたんですけど、それを自分で気づいてるのがめちゃくちゃ気持ち悪くて(笑)。自撮りとかをしなかったら「お前が一番かわいいよ」って言ってあげたかったんですけど、まんざらでもない顔が鼻につきすぎて。
矢野:しょうがないですよね、可愛いんだから。
太我:アハハハハハ。
田口:こういうところですよ。
矢野:可愛いと言われたい、じゃないんです。俺は自分が可愛いと思ったから、それをみんなに提供しただけなんです。でも、二人もノリノリで写真撮ってましたからね。
太我:楽しかったです。忘れられないです(笑)。
──女装を体験することで、女の子って大変だなと思うこともありました?
田口:ありましたよ。つけまつげとか初めてつけたんですけど、意外と重たいんですね。あと、髪の毛があると首の後ろも暑い。そういうことも全然知らなかった。
矢野:もっとやさしくしようと思いました。
太我:多めに水をあげようと思いました。
矢野:どういうこと?観葉植物なの?
──あはは(笑)。このシングルはバリエーション豊かな4曲が1枚に収まりましたね。
田口:なんかインディーズからメジャーにいって、“上京した”みたいな感じだと思うんですよ。たとえば、上京してすぐに二郎系のラーメンを食べないじゃないですか。最初はきっとコンビニですよ。そんな感じで、このシングルはラフに手に取っていただきたいですね。だけど中身はアルバムの勢いで、自己紹介の一枚として凝縮した内容になっていると思います。その中で、好きな曲を見つけてもらえたら嬉しいです。
──これから挑戦してみたいことはどんなことですか?
田口:僕はヒット曲を出したいなとずっと思っていて。国民的なヒット曲を輩出したいです。CDを何枚も出せることや、ファンのみんなが喜んでくれることはすごく嬉しいんですけど、“この年の顔だったよね”って言われるような曲を作りたい。この仕事をしている上では、やっぱりそれを目指したいです。
矢野:僕は人としての魅力をもっとアップしたいです。「どんな人なんだろう?」とみんなが気になるような人になれたらいいなと思ってます。YouTubeのフォロワーは60万人弱なんですけど、Twitter ではまだまだ全然そこに至ってないんですよ。それが自分の中の違和感というか。それはたぶん、魅力が足りないんだろうなって。普段の様子を見てみたいとか、興味を持って頂けるような要素を作っていけたらいいなと思ってます。
太我:僕は、以前の取材でも言ったことなんですけど、僕らのことを知らない人を減らしていきたいです。ご飯を食べに行った時とかにも「応援してます」って言われたいです。
田口:え、それ嫌じゃない?ご飯食べてる時に。
太我:それが成功の象徴だと思っているんで。そうやって声を掛けてくれた人に奢りたいと思います、僕は。
矢野:これ、まじで書いてくださいね(笑)。
──しっかり書いておきます(笑)。
太我:本当に奢りますよ。
──あはは。では、最後に新譜を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
田口:昔から聴いてくれているファンの方は、このシングルを買ってくれれば昔の僕らを思い出しつつも、新しい挑戦をしていることが伝わると思うし、初めて買ってくれた人は、こんなことが出来るんだっていうことがわかってもらえると思うので、僕らのことを大好きだという人たちはぜひ、周りの人たちに勧めてほしいです。聴いてもらったら、ちょっと肩の力が抜けるような、背負っていた重荷が軽くなるような気持ちになってもらえると思います。
太我:今はCDで聴かないという人も多いと思うんですけど、それでもCDも買ってくれるって、それだけでも嬉しいことなんですよ。だからぜひ街を歩く時にも持ち歩いてほしいんです。で、僕に偶然あった時にCDを見せてくれたらお小遣いをあげますので。
矢野:またお金?
田口:そんなことするんだったら、お前が宣伝部長になって買ったCDを配れ(笑)。
矢野:今はライブが出来ない状況ですが、この4曲を聴いてライブに対する欲求をもっともっと溜めておいてもらって、ライブが出来るようになった時に爆発してもらえるような、そんな心構えをしてもらえたら嬉しいなと思います。
文:大窪由香
写真:平野哲郎
▼メジャー1stシングル「三大欲求」はこちらから
レコチョク:https://recochoku.jp/artist/2001050533
dヒッツ:https://dhits.docomo.ne.jp/artist/2001050533
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Non Stop Rabbit
2016年11月1日、埼玉にて結成した3ピースロックバンド。
活動初期は路上ライブをメインに活動していたが、音量制限の問題などで自粛を余儀なくされ、YouTubeやTwitterに活躍の場を広げる。
SNS上では 音ネタ動画を中心にBuzz動画を複数発信している一方で、音源のリリースもハイペースでおこなっている。
Vo.晴人の甘く高い声とGt.達也が作り出す疾走感溢れるメロディーに、サウンドプロデューサー・鈴木Daichi秀行がアレンジを加える楽曲は、多くの人に愛されている。
なお、ライブには必ずYouTuberとしての活動で培ったトーク力を活かすお笑いコーナーがあり、こちらも必見の内容になっている。
2020年12月9日、ポニーキャニオンより待望のメジャーデビュー。