SNSを駆使すれば簡単に受け手と送り手が相互にアクセス出来るようになった

 

 

 

──LIVE NATION本社からの日本のアーティストに対する期待度はいかがですか?

 

90年代、2000年初頭は日本で有名になったアーティストが、「海外進出」を掲げて飛び込んでいっても本当の意味合いでの「海外進出」には、遠く及ばなかったケースが非常に多かった。今は、その頃とはかなり違ってきているように感じます。

 

──かなり違ってきたと感じる理由は?

 

一つはK-POPの影響ですね。BIGBANGが本格的に海外進出を始めた時、LIVE NATION本社はさほど興味を示さずKOREA本社がほぼ独自で展開をしていました。しかし蓋を開けてみたら、コンサートが全てソールドアウトになるほどの勢いがあり、ビジネスとしても成り立つことが判明されたわけです。以降の代表的なK-POPアーティスト、例えばBTSなどは、SNSを駆使しながら本当の意味での「海外進出」を成功させることができました。それもあって、アジアのアーティストに対する海外からの評価もかなり変わったと思います。

以降、日本でもONE OK ROCKやBABYMETAL、またアジアではSEKAI NO OWARIといったアーティストなどが成功を収めていますので、海外からの期待度もかなり高まってきていると思います。

 LIVE NATION×Eggs 竹下フランク氏

 

──日本のアーティストが、海外進出出来るようになったのは、やはりインターネットやSNSの力も大きかったのでしょうか?

 

そこが一番だと思います。以前は海外へ出ていくためには音を知ってもらわなければならない。そのためには現地のラジオなどで知ってもらう必用があったので、その国のレコード会社に頼らざるを得なかったのが現状でしたが、今はアーティストとオーディエンスの距離が非常に近くなり、SNSを駆使すれば簡単に受け手と送り手が相互にアクセス出来るようになったわけです。

例えばLIVE NATION JAPANにいた時はPerfumeの海外進出のお手伝いをさせてもらったのですが、当時はまだ海外リリースのための地盤も全く固まっていなかったのにも関わらず、全ての公演をソールドアウトさせることが出来ました。その時も「SNSによる情報発信」はかなり大きな力を発揮したと感じています。

 

──以前だと、海外進出といえば「英語で歌わなければならない」といった風潮がありました。今はそこもかなり変化している気がします。

 

SEKAI NO OWARIの海外進出をお手伝いした時、彼らの持つ魅力の一つは「日本語による表現」だと思っていました。それを無理に英語にしてしまったら、その大事な部分が失われてしまうのではないかという危惧があったのです。最終的には曲が持つフィーリングやエモーションは、それでも十分伝わるのではないかとアーティスト側も考え、「そこはもう、日本語でいきましょう!」という話になりました。

ただもちろん、ケースバイケースですが、例えば一度“最も世界で聴かれている日本人アーティスト”となったAmPmは、Spotifyのプレイリストなどを駆使しつつ、Michael Kanekoをフィーチャーした英語詞の楽曲を発進するなどの展開を試みています。海外進出をする上で、英語で歌うことの大切さについても公言していました。従って今は、LIVE NATION で手掛けているアーティストは、その辺りのことも踏まえた上での展開を考えています。

 

 

 

次ページ:フランスでのショーケースライブについて

※各記事に記載されている内容は公開時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。​

2 / 3