3/18(水)にミニアルバム『つらなってODORIVA』をリリースしたましのみ。収録されている「7」(ナナ)はMBS/TBS系ドラマ「死にたい夜にかぎって」オープニング主題歌としても話題となった。そんな彼女に、ミニアルバムについてや「7」のMVについての想い、プライベートで楽しんでいることなどを聞いた。最後にはファンへの想いがたっぷり詰まったコメントも。最後までチェックしてほしい。
“こういう音作りがしたい”という想いが自分の中にどんどん出てきて、もっとトータルプロデュースをしたいと思うように
――ミニアルバム『つらなってODORIVA』が発売されましたが、どんな作品になったと思いますか?
2019年「エスパーとスケルトン」という曲を作ることで、自分がこだわりの強いタイプだということにあらためて気づいたんです。それまでは、作詞作曲を自分でしていたとしても、アレンジはプロフェッショナルな方にお願いしていたんですよね。ジャケットなどのアートワークも、客観的な意見を取り入れたほうがいいものができると思っていたんです。でも、制作を重ねていくうちに、“こういう音作りがしたい”という想いが自分の中にどんどん出てきて、もっとトータルプロデュースをしたいと思うようになったんです。
――新たなステップアップをした1曲になったんですね。
はい。物を作るということに対しても、常に“突き刺す”ということばかり考えていたんですが、心地よいけど面白い、エレクトロの軽やかな音楽という“違和感”のなかに、生活感を出すような音楽をやりたいと思い始めたのも、この曲を制作した後からだったんです。私はこれまで、いいと思った方向に思考回路が変わり続けている人なんですが、全く違うことを選んでいるわけではなくて、新しいことをしていくうちに、そのなかで新たなことに気づいて、それをまた突き詰めるタイプなんです。このアルバムは、その第一歩が表現できた1枚になったのかなと思っています。
――サウンド面でそういった変化があったからこそ、言葉選びにも変化があったと思うのですが、いかがでしょうか。
大きな変化があったと思います。「7」という曲は、ドラマ『死にたい夜にかぎって』というドラマのタイアップのお話を頂いて、原作を読み込んで作りました。2019年に発売したセカンドアルバムは、自分のネガティブなところを掘り下げて歌詞を書いて、先ほど言っていたように、世間に突き刺すことばかり考えていたんですが、それから人にたくさん会うようになって、いろんな音楽を聴くようになっていくうちに、この主人公がどんなにつらい目にあったとしても「まぁいいか」と思うような思考回路を魅力的だと思えるようになったんです。その要素をちゃんと取り入れることができたのが、この「7」だったので、新しい価値観が披露できたのかなと思っています。
――そこで取り込んだポジティブな気持ちは、今も生きていますか?
そうですね。それまでは、人の言葉や、意見を聞いて自分の感性が壊れるのが怖かったので閉じこもっていたんですが、意図的に人と出会うようになってから、プライベートの自分と、音楽を作る時の自分がどんどん近づいている感覚があったんです。もちろん、完全に、この主人公のように“まぁいいか”とすべてに対して思える思考になったかと言われたら、そうではないですが、そういう思考を自分の中に取り入れられるようにはなりました。
――その変化は、本当に大きなことだからこそ、ましのみさんにとって、今作はターニングポイントとなる1枚になるのかもしれないですね。
本当に、そう思います。
曲を作るときも生活感あふれるものに対して、違和感を感じさせたり、ドラマチックになったり、ロマンチックになったりすることが好きなんです
――「7」のMVも観させていただきましたが、感情があふれ出た、とても素敵なものだと感じました。これぞ、“エモ”!
あはは。すごくいいですよね。私、自分の顔は100%客観視できないんです。だからこそ、このMVの世界観に私がいたら、絶対に客観視できないと思ったんですよ。そもそも、私は、“私の曲です”として聴いてもらいたいという想いがなくて、それよりも聴いている人が自分のこととしてとらえてもらえるものにしたいなと思って作っているんです。なので、今回の「7」は、「タイムリー」という作品でご一緒している女性のチームにお願いしました。彼女たちは、私が思っている“エモ”の感覚が同じなんですよ。それがわかっていたからこそ、お任せして作っていただきました。出演していただいた役者さんも、そのチームのみなさんと一緒にインスタで探してお願いしたんです。
――選んだポイントは何だったんですか?
ドラマチックであり、生活感もある、エモにあう顔!
――あはは。でも、なんとなくわかる気がします。リアルですよね、すごく。
そうなんですよ。私は曲を作るときも生活感あふれるものに対して、違和感を感じさせたり、ドラマチックになったり、ロマンチックになったりすることが好きなんです。このMVも、その雰囲気をちゃんと汲んでくれたのがすごく嬉しかったですね。
♪ましのみ / 7
たくさん勉強して、音楽に対する技量をあげていきたいなと思っています
――さて、今後ファンの方と一緒にやってみたいことはありますか?
う~ん…。音源やMVが一番いいのかなと思うんですよね。今回、この『つらなってODORIVA』が私の制作意欲が溢れてできたものなので、今後もバンバンリリースをしていきたいです。ただ、パッケージの方法がCDだけじゃなくてもいいかもしれないですね。たとえば…天然石?
――天然石!?
パッと思い浮かんだのがそれだっただけで(笑)、あとは、古着とか、なにか他のものと一緒に曲を聴けるというのは楽しそうですよね。
――あはは。楽しみにしていますね。さて、プライベートのましのみさんについてもお聞きしたいのですが、最近一番楽しんでいることはどんなことでしょうか。
私自身、“音楽を聴いていない”というのが、強みでもあり、弱みでもあったんです。だからこそ、自分の感性を壊さないように、あえていろんな曲を聴かないようにしていたんです。でも、そうすると知識がまず足りなくなるんです。さらに、音作りをしたくても技量が無くなっちゃうんですよね。なので、自分がどんな音が作りたいかということがわかってきたからこそ、たくさん勉強して、音楽に対する技量をあげていきたいなと思っています。あと、この前、大学の友達と会った時に、みんながそれぞれ今の生活を充実させていて、今後昔のダラダラした時間は一生過ごせないのかなって寂しくなったんです。
――あぁ、なんとなくわかる気がします。
その時に、その人がどう成長していくか、どんな心境の変化をしていくのかということが分かったほうが良いんじゃないかと思ったんですよね。それからは、週1のペースで1時間に3つお題をもらって、どれだけ曲を作ることができるのかということを配信でやり始めたんです。毎週私がちょっとずつ進化していくのをみんなで共有できたら、プラスの部分も増えるのかなと思ったんですよね。ただ、初めて配信した回では、配信も曲作りもひとつのパソコンでやろうとしたら容量が重すぎたみたいで、全然上手くいかなかったんです。音がでない、どうしようというバタバタから始まって、しまいには大学時代の恩師から「そんな軽装備ならそうなるに決まってる」ってアドバイスまでいただいてしまって(笑)。
――あはは。そんな基本的なところから配信しているとなれば、今後がみなさんすごく楽しみでしょうね。
そう捉えてくれたら嬉しいですね。
音楽ってライブだけではないということをあらためて感じさせてくれる期間
――さらに、歌詞の言葉選びを見ていると、すごく一つのジャンルを突き詰めているような気がしたんですが、好きな作家さんが一人いるんじゃないですか?
そうですね…そうかも! 江國香織さんが好きです。
――あぁ、その感じ、すごくわかります。抽象的で、でもすごく芯が強い女の子が多いですよね。
「うすっぺらじゃないキスをして」は、『冷静と情熱のあいだ』を読んで、危うくて凛とした女性像が好きだなと思って書いたんです。儚くて強いって、少し狂気的なんですが、美しいですよね。その女の子を表現したくて作りました。
――リアルなOLさんとはまた違う世界観だからこそ、憧れるんでしょうね。
ちょっとだけファンタジーが載っているんですよ。もちろん、リアルなOLさんがそこに投影できる幅はあるけど、自分の生活すらドラマチックに思えるようなものが好きなので、そこは大事にしているところですね。
――では最後に、いまはあまり音楽を生で届ける機会が減ってしまいましたが、だからこそリスナーの皆さんに届けたいメッセージを教えてください。
どうしても落ち込んでしまうことが多いですが、音楽ってライブだけではないということをあらためて感じさせてくれる期間だと思うんです。私自身も普段、あまり時間がないからこそそこまで音楽を聴きこめないからこそ、じっくり音楽にあてる時間を大切にしてもらいたいですね。それに、この自粛期間が明けたら、アーティスト側としてはライブを爆発的に楽しむ時間が待っていると思うので、その時間を楽しみにしていてもらえたら嬉しいです!
文章:吉田可奈
写真:平野哲郎
ましのみ『つらなってODORIVA』はこちらから
レコチョク:https://recochoku.jp/artist/2000901858/
dヒッツ:https://dhits.docomo.ne.jp/artist/2000901858
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音楽に関する質問に、たくさん答えていただきました。
https://rectv.jp/channel/rectvonequestion
ましのみ前回インタビューはこちらから
※各記事に記載されている内容は公開時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。
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ましのみ
キーボード弾き語りスタイルで活動している女性シンガーソングライター。
1997年2月12日生まれ。現在、都内で精力的にライブ活動中。
また、LINE LIVEや短い動画(ラップ<通称:ましらっぷ>や小芝居)の活動なども行っている。
2017年10月14日フリーワンマンライヴ@Shibuya WWWを開催し、そこで2018年にポニーキャニオンよりメジャーデビューすることが発表された。
2018年2月7日メジャーデビューアルバム『ぺっとぼとリテラシー』をリリース。3月11日にはShibuya WWW Xにてワンマンライヴ「ぺっとぼとリテラシー~別途ほとばしるショータイムへようこそ~vol.1」を開催。
2018年8月1日1stシングル「どうせ夏ならバテてみない?」をリリース。
9月8日に代官山UNITでワンマンライブを開催。
2019年2月20日に2nd AL「ぺっとぼとレセプション」をリリース。
2019年3月には東京 渋谷ストリームホール・大阪 アメリカ村BEYONDにてそれぞれリリース記念ワンマンライブを開催した。
2020年3月18日、ドラマ「死にたい夜にかぎって」のオープニング主題歌「7」を収録したミニアルバムをリリース。