岸田 繁
5番手で登場したのは、地元京都にて主催するフェス〈京都音楽博覧会〉を終えたばかりとなるくるりの岸田 繁。アコギを抱えて、「キャメル」「男の子と女の子」「宿はなし」「Baby I Love You」と聴かせていくが、心温まる歌声が高い空に溶けていく様子がとても心地よく、そっと秋の気配を連れてきてくれた気がした。MCでは「あんな美味しいブドウまで食べさせてくれて」と語っていた彼だが、実は、藤巻が自らの実家で採れたブドウを各出演者に差し入れていて、このブドウに対する高い評価は、ほとんどのアーティストの口から聞かれたものだったことを記しておきたい。
トータス松本
そして6番手にして、ゲスト・アーティストのトリを飾ったのが、ウルフルズのトータス松本だ。上下白のスーツという衣装が他の出演者とはまた違う空気をまとっていたが、実際のところパフォーマンスでも会場の空気を一変させてくれた彼。<イエ~イ!!>という威勢のいい掛け声とともにオープニングの「ガッツだぜ!!」が高らかに鳴り響くと、さっきまで流れていた微睡みムードが一気に吹き飛んでしまい、まったりしていた観客たちも勢いよくステージ近くへと駆け出していく。とにかくこの日のトータスは快調そのもの、といった様子で、口もめっぽう滑らか。「Mt.FUJIMAKIバンド」を「コナユキファイヴ」と勝手に命名して笑いもかっさらってみせるなど終始ノリノリ(「髪切ったね」とタモリさながらのトークで藤巻をいじるシーンも)。藤巻のリクエストによってデュエットで披露された「バカヤロー」も実にソウルフルでアツアツだったし、弾き語りで歌われた「笑えれば」や、あちこちで<バンザイ>コールがこだました「バンザイ~好きでよかった~」も、本公演のハイライトと言いたくなるほどの名演だった。
藤巻亮太
ステージうしろの富士山も雲ですっぽりと覆われた頃、本フェスの主役である藤巻亮太のライヴがスタート。まず語られたのは、実家のブドウが出演者たちに大好評だったことの喜び。そして40歳を目前として自分のルーツである山梨に何か恩返しができないかという思いからこのフェスの企画を立案したということ。続いて山中湖の思い出、若き日のエピソード・トークに続き、オープニングを飾る「粉雪」へ。ゆっくりと色合いを変えてゆく会場。このままトワイライトタイムに相応しいラインナップになっていくかと思いきや、予想は裏切られた。「もっと遠くへ」から「南風」「スタンドバイミー」「雨上がり」と曲が進むにつれて、タガが外れたかのように疾走感に満ちたパフォーマンスを展開。藤巻の歌声は終始高揚感に溢れており、最後には俺が決める!といった気概のようなものが強く感じられた。そこには無事に晴れてくれたという安堵、それぞれの参加アーティストが感動的なステージを繰り広げてくれたことの嬉しさ、そしてこうして2回目が迎えられたという感激といったものが入り混じっていたように思う。他のアーティストのバックでも素晴らしい演奏を披露した「Mt.FUJIMAKIバンド」(Gt/真壁陽平、B/御供信弘、Dr/河村吉宏(よっち)、Key/皆川真人、Pf/桑原あい、Vn/志村葉月)との一体感も絶品で、暮れなずむ会場をまばゆい光で満たしていく。そんなホットなライヴ・ステージのクロージング・ナンバーに選ばれたのは、母校・笛吹高校の生徒たちとの交流から誕生した新曲「オウエン歌」だ。歌詞に並んだ言葉のひとつひとつには笛吹高校の生徒たちへの感謝の言葉とエールが込められていたが、それらひとつひとつを噛みしめるように聴き入っていた観客たちの顔がとても印象的だった。
別のイヴェント出演のために一足早く会場を出た曽我部を除く全員がステージに登場し、アンコールで「3月9日」を演奏。来るべき第3回に向けての想いがこもった大合唱が、すっかりと暗くなった空へと吸い込まれていった。
文:桑原シロー
写真:RYO HIGUCHI(フリースペース・ステージ出演者写真を除く)
【「Mt.FUJIMAKI2019」について】
出演者:藤巻亮太with the BAND(Gt真壁陽平、Ba御供信弘、Dr河村吉宏(よっち)、Key皆川真人、Pf桑原あい、Vn志村葉月)/トータス松本(ウルフルズ)/曽我部恵一(サニーデイ・サービス)/岸田 繁(くるり)/ORANGE RANGE/大塚 愛/teto
主催:藤巻亮太、山中湖村、(株)テレビ山梨、FM FUJI、レコチョク
特別協賛:サントリー「南アルプスの天然水」
協賛:桔梗屋、帝人フロンティア(株)
後援:山中湖観光協会、J-WAVE、TBSラジオ、K-mix、tvk、スペースシャワーTV
協力:富士急行
企画制作:(有)FRM、(株)サンライズプロモーション東京
開催日:9月29日(日)
会場:山中湖交流プラザ きらら
時間:開場12:00 開演13:00 終演17:00(予定)
オフィシャルサイト http://www.mtfujimaki.com/
■レコチョク・ストア「Mt.FUJIMAKI 2019」特設サイト(キャンペーンは終了しました)
https://recochoku.jp/special/100819/
■「Mt.FUJIMAKI 2019予習プレイリスト selected by 藤巻 亮太」
dヒッツ:https://dhits.docomo.ne.jp/program/10019616
■「Mt.FUJIMAKI 2019」フリースペース・ステージオーディション出演者
https://eggs.mu/music/project/mtfujimaki
■藤巻亮太 オフィシャルサイト
https://www.fujimakiryota.com/
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