フェス以降、楽曲制作の仕方もグッと変わりました
――その後、今年は夏フェスにも多く出演したと思うのですが、いかがでしたか?
本当に楽しかったです!みなさん、アーティストさんたちが「超気持ち良かった!ありがとう!」って言うじゃないですか。それの意味が本当に分かったんですよ。
――フェスはどちらかというとアウェイですよね。それでも、そう思えたんですね。
そうなんです!私、初めて私のことを観た人が、ポカンとした顔を見るのが大好きなんですよ(笑)。あれ、本当にいい顔なんです!
――あはは。
さらにビックリしたのは、この曲で盛り上がるんだという新たな発見があったんですよ。それを経てから、これからの制作する曲を考えようと思って、私もみんなも楽しめる曲を作ろうとして作ったのが「Fine Line」なんです。フェス以降、楽曲制作の仕方もグッと変わりました。
任されたからには、頑張りたくなっちゃうんですよね(笑)
――いま、4thEPの収録曲の話が出ましたが、他の曲についても聞かせて下さい。「Drown」は、アニメ『ヴィンランド・サガ』の書き下ろしになるんですね。
はい。原作を読みながら作りました。制作側から、エド・シーランの「I See Fire」のような雰囲気の曲というオーダーが来たので、ドライな空気感とアコギを使った世界観だけを汲み取り、この原作の物語と、私の中で合点をつけて作ったんです。漫画を見て感じた空気感、温度感、匂い、風邪の感じなどを想像しながら、登場人物に寄り添った歌詞を作りたいと思ったので、この世界に没頭して制作に入りました。
――タイアップで曲を作るって、もはや職人芸ですよね。
そうですね。私の中でも職人モードになっているときと、自分で好きに作っているときとモードが全然違うんです。職人モードになっているときは、どれだけその世界観に寄せるかということを大事にしつつも、自分の色をどう出していくのかというのはバランスが必要になってくるので、足し算、引き算をしながら作っていくんです。それが面白いところでもあり、大変な部分ではあるんですけど、任されたからには、頑張りたくなっちゃうんですよね(笑)。
――今までもタイアップの曲はすごく多いですが、どれもすごくフィットしていると思うんです。きっとそれはmiletさんがもしかしたらオタク気質だからかなと思っていて…。
その通りです(笑)。だからファン的視点でも楽しめるし、どんどん調べたくなっちゃうんです。今作だったら、ヴァイキング時代の服装や保温性、機能性とか、時代背景とか…。そうするとすごく歌に反映されてくるんですよね。
――オーダーした側も嬉しいと思いますよ。
そうだと嬉しいですね。そういえば今回、「Drown」のサビを、派手にしたいという想いから、声を重ねたものを提出したんです。私的には、声は1本でシンプルにいきたいと思ったんですが、世界観的には重ねたほうが合うかもしれないと思ったんですよね。そしたら、『ヴィンランド・サガ』側から、「miletさんの声の強さを活かした歌にしたいので、重ねず1本でお願いします」と言って頂いたんです。それを聞いたときに、本当に隅々まで聴いてくれていることが分かって嬉しくなっちゃって、この作品に関わることができて良かった、って思いました。
セッションから曲を作り始めたのは、私にとって強みになった
――「You & I」は、またタイプの異なる曲ですよね。
これは花王『フレア フレグランス & SPORTS』のために書き下ろしました。映像を先に観させていただいてから、爽快感のある、今までにないような走り出したくなるようなラブソングにしたいと思ったんです。CM側からは“&”をキーワードとして入れて欲しいというオーダーがあったので、そこから広げていきました。この曲は驚くほど安産だったんですよ。きっと、淡い紫や、赤紫という色が最初から映像にあったので曲が出やすかったのかもしれないですね。この曲はTomoLowくんがアレンジをしてくれたんですが、なんでも言える相手だからこそ、すごく作りやすかったです。
♪milet「You & I」
――この1年、本当に多くの曲を作ってきていましたが、スランプなど悩みなどはありましたか?
う~ん…。それがあまりないんですよ。ありがたいことに作らなくちゃいけない曲はたくさんあるんですけど、音楽活動を始めたころに、セッションから曲を作り始めたのは、私にとって強みになったように感じています。その習慣が、その日1日使えば1曲を作れるような脳みそにしてくれたのでそんなに大変だと感じたことがないんです。むしろ、作れば作るほど、楽しくなるんです。
――そう言えるのは、本当に素敵なことですよね。
全力で作り上げた作品が、『ヴィンランド・サガ』のような素晴らしい作品に関われていることを、オンエアされるたびに感じるんですよね。私、かなりの“ガチ勢”なので、アニメも原作を見ながら「このセリフ変わってる」とか「アニメではこうなるのか」と言いながら見るんです。
いろんな人とかかわれるから、すごく楽しいんです
――それをやり始めると、視聴は1回じゃすまないですよね?
すまないです!最低2回は観るんですけど、そうしているうちに、「これは本当にスゴイ作品に関わらせて頂いている…」って放心状態になるんですよ。
――そうなってくると、世の中のタイアップをすべてやってみたくなりませんか?
なりますね(笑)。とりあえず、1曲作らせてくれと!
――使わなくてもいいから、聴いてくれ!と(笑)。
あはは。いろんな人とかかわれるから、すごく楽しいんです。作品ごとに、時代や人種、違うテーマがフォーカスされているので調べれば調べるほど勉強になりますしね。それが自分の人生経験のひとつになるので、これから作る曲にもいい影響を与えてくれるんです。それが今後にもいい影響を与えてくれるんだろうなと、確信しているんです。
――さて、2020年はどんな年にしたいですか?
ツアーが始まるのですごく楽しみですね。あとは、ジャンル関係なく、いろんな人とセッションをしてみたいんです。プライベートでは、食生活が乱れがちだから、体調管理をしっかりしたいですね。食事が面倒になることが多いんですよ。なので、朝活をしてちゃんと朝食を食べるようにしようかな。
後は…イギリスでセッションをしたいと思います!
――急に洒落た!(笑)
あはは。どれも全力で楽しみたいと思います!(笑)
文:吉田可奈
■レコチョク年間ランキング2019
miletの受賞記念コメントも公開!
https://recochoku.jp/special/100835/
■前回のmiletインタビューはこちらから
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milet
ハスキーかつ重厚感のある独特の唄声と、グローバルな存在感を放つソングライティングを兼ね揃え た女性シンガーソングライター・milet(ミレイ)。思春期をカナダで過ごし、現在は東京都内に在住。2018年より本格的に音楽活動をスタート。
2018年10月には、パリ、NY、ソウル、東京をはじめ世界各国で開催されたイヴ・サンローランのグローバルイベント「YSL BEAUTY HOTEL」にイヴ・サンローラン・ボーテがピックアップするアップカミングなアーティストとして出演。
2019年3月6日にメジャーデビュー。Toru(ONE OK ROCK)プロデュースによるデビュー曲「inside you」はiTunesなど人気音楽配信サイト11サイトで1位を記録。8月21日にはTVドラマ「偽装不倫」主題歌を収録した3rd EP『us』をリリースし、オリコンデジタルランキング初登場1位を記録したほか、AWA・Spotify・dヒッツ・LINE MUSICなど7つのサブスクサービスで1位を記録。
2019年末、人気音楽配信サイト”レコチョク”による「レコチョク年間ランキング2019」のダウンロード部門、ストリーミング部門の両方で新人アーティストランキング1位を記録。デビュー曲「inside you」は「東京ドラマアウォード 2019」主題歌賞を受賞した他、TOKYO FM「桑田佳祐 のやさしい夜遊び」年末恒例企画「桑田佳祐が選ぶ、2019年邦楽シングル・ベスト20」(2019年12月28日放送)にて1位に選出される。
2020年6月3日には1stフルアルバム『eyes』をリリースする。