テレビアニメ『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』に登場するAIの歌姫ヴィヴィ (Vo.八木海莉)の楽曲が人気を集め、レコチョク上半期ランキング2021・新人アーティストランキングで1位を獲得した。そこで今回、歌唱を務めた八木海莉にインタビュー。彼女が歌唱時に込めた想い、制作時のエピソード、そして彼女の素顔とは。是非最後までチェックしてほしい。
見てくれている人を置いてきぼりにしないような、みなさんと一緒に楽しめるアーティストになりたいと思います
──八木さんは、テレビアニメ『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』の劇中で、主人公ヴィヴィの歌唱を担当されていますが、決まった時はどう思われましたか?
アニメの歌を歌うということが初めてのことだったので、すごく嬉しかったです。もちろん、嬉しさと楽しさはあったのですが、緊張した部分の方が多かったです。
──その緊張というのは、レコーディングの時のことですか?
全てがはじめてのことばかりだったので、全部緊張していました。レコーディングもだし、インタビューもだし、それこそアニメが放送されているのを見た時も緊張しました。
──ヴィヴィはAIの歌姫で、「歌でみんなを幸せにすること」という使命をもって、人類とAIの最終戦争を止めるために100年を旅するという、壮大なストーリーがありますが、このアニメのストーリーや構想を聞かれた時はどんな印象を受けましたか?
アニメの中でAIと歌が合わさったようなストーリーの作品を私は今まで見たことがなかったので、すごく面白い話だなと思いました。
──今作のレコーディングで難しかったり、苦労されたことはどういうところですか?
レコーディングという場には徐々に慣れていったんですが、自分の歌い方で少しこぶしを効かせるようなクセがあることを教えていただいたんです。基本的にはそれを生かしてくださったんですけど、声をまっすぐに出した方がいいところもあって、そのクセをなくすのに苦戦しました。このレコーディングを通して、自分のクセを知ることができたし、今はそれをコントロールできるように研究しています。
──では、1曲ずつお伺いしたいのですが、最初にレコーディングされた曲はどの曲になりますか?
「My Code」です。一番最初の曲だったので、曲の印象というよりも、とにかく“歌う”ということに必死でしたね。でも、ヴィヴィとしても初めての歌だったので、まだちょっと硬い感じが歌に出ているのが良かったかなと思います。
──この曲はピアノがメインに鳴っている楽曲ですが、普段ギターで弾き語りをされている八木さんにとっていかがでしたか?
ピアノもそうですし、バラード自体を今まであまり歌ってなかったので、とても新鮮でした。その次にレコーディングしたのは「A Tender Moon Tempo」で、この曲はスタジオに行った時に、「ヴィヴィのステージにお客さんが増えたよ」って教えていただいたんです。それで、ステージで歌う曲なんだということをより意識して、お客さんに向けて歌うような、聴いている人が笑顔になるような歌い方をしました。
──オープニングを飾る「Sing My Pleasure」はいかがですか?
「My Code」も「A Tender Moon Tempo」も、ちょっと幸せな感じの歌だったんですが、今度はかっこいい感じの曲がきたなと思ったのと同時に、すごく難しそうだなと思いました。他の曲もそうなんですが、曲をいただいて1週間ぐらいで覚えてレコーディングに入る、というスケジュールだったんです。特にこの曲は音程の高低差もあったので難しかったです。
──ヴィヴィの別人格であるディーヴァが歌う「Galaxy Anthem」と「Harmony of One’s Heart」は、どんなことを意識されて歌われましたか?
「Galaxy Anthem」は、歌っていてリズムが気持ちいい曲でした。もともとこの曲がオープニング曲の候補として作られたということを後で聞いて、この曲の印象がまた変わりました。「Harmony of One’s Heart」は、イントロを聴いた瞬間から、すごく好きだなと思った曲で。覚えるのも早かったし、この曲がレコーディング最後の曲だったというのもあって、慣れてきたのか、すごくいいレコーディングができたことを覚えています。
──そして、エンディングの「Fluorite Eye’s Song」も心に染みるバラードナンバーですね。
この曲は「ここは全員が泣くシーンだよ」と言われたので、とても丁寧に歌いました。言葉を一つ一つ届ける感じですね。あと、ヴィヴィとディーヴァは、かわいさもありながら、力強さもカッコ良さもある。そういうところも大切にして歌いました。
──ヴィヴィの歌を歌うことに対して、意識されたことはどんなことですか?
お話をいただいた時に、「ヴィヴィ役の声優を務める種﨑敦美さんの声に寄せた方がいいんですか?」と聞いたら、「私のままでいい」と言われたので、そこは意識することなく自分のままで歌いました。アニメの描写だったり、ヴィヴィがディーヴァに変わったり、アニメの中でお客さんが増えていったりする、そういう状況をイメージしながら歌うことを大切にしました。
──そういうことを意識することで、歌い方などに変化が出ましたか?
そうですね。視線を上げるだけでも声って全然変わるし、歌い方も変わりました。たとえば、いつもは歌詞を見ながら歌うんですけど、「A Tender Moon Tempo」は目の前にお客さんがいるような感覚で歌ったり。あと、ディーヴァはいつも自信に溢れているようなキャラクターなので、ちょっときりっとした歌い方にしました。
──実際にアニメの中で、ご自身の歌が流れてきた時にはどんなことを思いましたか?
1話で歌が流れたのはほんの数秒だけだったので、気づかなかった方もたくさんいたかもしれませんが、私は正座をして「見逃さないぞ」と見てました(笑)。きれいなアニメの絵と音楽とストーリーを一緒に見て、やっぱり嬉しかったですね。
──只野菜摘さんが書かれた、ストーリーとリンクする歌詞も印象的ですが、八木さんは只野さんの歌詞について、どんな印象を受けられましたか?
只野さんのインタビューで、知らないことがいっぱいある中でこの歌詞を書いたとおっしゃっていたので、そのエスパー力はすごいなと思いました。最終話でエンディング曲の「Fluorite Eye’s Song」がフルで流れているのを見ていて、やっぱりすごいなあと思って。ストーリーのまとめみたいな歌詞じゃないですか。本当に綺麗な言葉で描かれているので、曲を聴く時にはぜひ歌詞を見ながら聴いてほしいなと思います。
──6月30日にリリースされたアルバム『Vivy -Fluorite Eye’s Song -Vocal Collection 〜Sing for Your Smile〜』に収録されている、八木さんが歌われていない楽曲の中で特に好きな曲はどの曲ですか?
オフィーリアの「Elegy Dedicated With Love」です。オフィーリアのキャラクターを最初に見た時に、こんなに歌えるなんて思ってなかったので、改めて“歌姫”なんだなと。そのすごさというか、カッコ良さを見ました。そして、数回聴いただけで歌えそうなくらい、メロディが印象に残っています。
──アニメがオンエアされて、周りからどんな反響がありましたか?
私のことを知っていてアニメを見てくれていた方達からは、「アニメから海莉ちゃんの声が聴こえてくるのが嬉しい」って一緒に喜んでくださったり、ヴィヴィを通して知ってくださった方達には、「ありがとうございます」って感謝の言葉をいただきました。こちらこそ、ありがとうございますっていう気持ちです。
──そして、今回、レコチョクの上半期ダウンロードランキングの新人ランキングで1位を獲得されました。おめでとうございます!この知らせを聞かれた時の感想を聞かせてください。
神前 暁(MONACA)さんの曲だったり、只野さんの歌詞だったり、みなさんの力で取れた1位だと思っています。そして、歌えて本当にありがたいなと思いました。そして、たくさん聴いてくださりありがとうございます。これからもたくさん聴いてほしいです。
──ここからは八木さんご自身のことを伺っていきたいと思います。八木さんが音楽を好きになったきっかけや、音楽を志すきっかけは何だったんでしょうか?
小さい頃から歌うことが好きで歌っていたんですけど、あるオーディションで審査員の方の前で歌った時に、初めてすごく楽しく歌えて。音楽を志そうと思ったのは、そのオーディションがきっかけだったなと思います。
──小さい頃から歌われていた歌というのは、テレビで流れているような楽曲ですか?
そうですね。当時は西野カナさんばっかり歌ってました。
──ギターを始められたのはいつ頃のことですか?
中学3年生の頃、上京する前に最後のライブに出たんですけど、その時に新しいことを披露したいなと思って始めたのがきっかけでした。独学なんですけど、半年ぐらい練習して、そのライブに挑みました。
──ご自身のYouTubeチャンネルではギターの弾き語りで、いろんな曲をカバーされていますが、選曲のポイントを教えてください。
歌いたい曲というのはもちろんなんですけど、自分の声が映える曲や、この曲を聴いている人はこの曲も聴いているだろうなっていう曲、知ってほしい曲など、いろんな理由から選んでいます。ギターの弾き語りでYouTubeを始めたのは、歌を知ってほしいとか、自分を知ってほしくて始めたんですけど、もともと弾き語りのイメージのある曲を歌うというよりは、歌いたい曲を弾き語ろうという考えで選んでいるんですよ。嵐さんの曲だったり、ボカロの曲だったり、あまり弾き語りされていない曲を弾き語りで歌うのは楽しいですね。
──ヴィヴィの楽曲も弾き語りで歌っていますね。
アニメが始まったら絶対に歌おうと思っていて。そういえばまだ許可取ってなかったなっていうくらいの勢いでした(笑)。歌い方の幅とか、楽しさが広がりました。
──YouTubeの動画を録っているのはご自宅ですよね?
そうです。だから平日の昼間、誰もいない時間帯に歌っています(笑)。だいぶ大きいですもんね、声が。
──どうされているんだろうなと気になりました(笑)。あと、いつも白や黒のわりとシンプルな服装で投稿されていますね。
そう言われて、そうだったっけ?と見てみたら、確かに白黒ばっかりだなと思うところもあって(笑)。弾き語りの動画って、ギターと手元だけが映っていれば解決するんですけど、ギターと歌声だけを知ってほしいわけじゃなくて、八木海莉を知ってほしいので、髪をおろしてみたり、メガネをかけてみたり、最近はいろいろとイメージを変えています。
──もう少し八木さんのパーソナルな部分を伺いたいのですが、Twitterのプロフィールに「食欲おばけ」とありますね。これはどういう意味なんですか?
食べることが好きなんですけど、食べ過ぎもよくないので、あまり食べ過ぎないようにしているんです。だから、いつも食を欲しているよ、と(笑)。食を欲するおばけだよっていうことなんです。
──なるほど(笑)。おばけのようによく食べる、ということではなく、欲望が、ということなんですね。気にしなければ、たくさん食べられるんですか?
そうですね。もう、そうなるとぶくぶくと太っちゃうでしょうね。甘いものが好きなんです。
──八木さんは15歳で上京されていますが、上京された時はどういう気持ちだったんでしょうか。寂しい気持ちだったのか、期待に胸を膨らませていたのか。
全然寂しくなくて、一度もホームシックにかかることはなかったです。やりたいことがやっとできるっていう、開放感の方が大きかったですね。
──同じように頑張っている人達にどんな言葉を掛けますか?
いろいろとタイミングが大切だと思うんです。躊躇することもあると思いますが、後悔することがないように、お互い頑張りましょう。
──八木さんは後悔することがなかったですか?
私は後悔しないというより、やりたいことを優先していて。上京した時も全然迷いがなかったんです。今やらないと後悔するな、と思って出てきたので、躊躇することもなかったです。
──それでは今後、八木さんはどんなアーティストを目指していますか?
やりたいことはたくさんあって、それをやる時に、見てくれている人を置いてきぼりにしないような、みなさんと一緒に楽しめるアーティストになりたいと思います。
文:大窪由香
写真:平野哲郎
▼オリジナルサウンドトラック『Vivy -Fluorite Eye’s Song- Original Soundtrack』はこちらから
レコチョク:https://recochoku.jp/album/A2002238619/album
▼『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』OPテーマ「Sing My Pleasure」はこちらから
レコチョク:https://recochoku.jp/artist/2001546923
dヒッツ:https://dhits.docomo.ne.jp/artist/2001546923
【オリジナルTVアニメ「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」】
▼公式サイト
▼公式Twitter
https://twitter.com/vivy_portal
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