北海道札幌市在住、3人組ロックバンド・The Floorが7月7日(水)に1年半ぶりにミニアルバム『CLOCK TOWN』をリリースする。そこで今回、レコログでは彼らにインタビューを実施。
アルバムに込めた想いについてはもちろん、彼らの音楽ルーツ、結成のきっかけ、これから挑戦したいことやツアーへの意気込みなど、様々な話を聞いた。
彼らを以前から知っている人も、今知ったという人も楽しめる内容になっているので、是非最後まで読んでほしい。
最終的にかなり面白いアルバムになったと感じています
──早速ですが、皆さんで他己紹介をお願いします。
ササキハヤト(Vo.):Ba.のヨウジは世間一般的に見たらどうかはわかりませんが、バンド内ではしっかり者で全体をまとめてくれる存在です。自分には抜けてる部分があるので、とても頼らせてもらってます。
ミヤシタヨウジ(Ba.):コウタロウはドラマーでありながら作詞作曲、アートワークを手がけたり多彩な才能の持ち主の反面、まわりくどい言い回しをしたりする憎めない人。シンプルに良いやつです。
コウタロウ(Dr.):ササキハヤトは自分の感性にとても正直で、最近はドラマーから見て安心感のあるフロントマンだと感じるようになりました。忘れ物多すぎ。
──皆さんが音楽や楽器を始めたきっかけを教えて下さい。
ササキハヤト:幼い頃から歌うのが好きで、漠然と音楽はやりたい気持ちのある中、高校でギターの上手い友達ができて、ギターを教えてもらってどんどんハマっていきました。その後大学でヨウジに出会って、今です。
ミヤシタヨウジ:幼少期の自分にとって絶対的かっこよさを誇る従兄弟のお兄ちゃんがベースを弾いていたからです。
コウタロウ:小学生の頃に6つ年上の姉がTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTにハマり、その影響を受けて自分もミッシェルを聴くようになりました。曲を聴いているうちにドラムのカッコよさに気づき、ドラムのクハラカズユキさんを真似て、まず髪型をモヒカンにしました。中学に上がってから満を持してドラムを始めました。
──皆さんの音楽ルーツを教えてください。
ササキハヤト:ポルノグラフィティ、BUMP OF CHICKEN、Red Hot Chili Peppers、ACIDMANといったあたりのバンドを前略プロフィールに書いてました。伝わって欲しい。
ミヤシタヨウジ:両親の影響で幼い頃からRising Sun Rock Festivalに連れて行ってもらっていて、そこで観た2007年のストレイテナーです。触れたことのない音楽を発掘する喜びもストレイテナーのVo.ホリエさんから学びました。あとは、2010年代のシンセポップやインディーロックをよく聴いていました。相反する感情が同居している音楽に惹かれます。
コウタロウ:先ほども言った通り、ドラムのルーツとしてはミッシェルから始まりました。あとは、高校生の時にコピーしたストレイテナーやthe pillowsであったり、同時期によく聴いていたArctic MonkeysやKasabianなどがあります。また、個人的な転換期として、大学生の時にPassion Pitを聴いて衝撃を受けました。それ以降、シンセポップであったり、エレクトロニカにハマっていくことになったので、Passion Pitも自分にとって大事なルーツです。
──The Floor結成のきっかけ、そして名前の由来を教えて下さい。
ミヤシタヨウジ:高2のクラス替えでコウタロウと同じクラスになり、受験に失敗し、滑り止めで入った大学でハヤトと出会いました。「汗や涙でライブハウスの床を水浸しにしたい」という願いを込めてThe Floorという名前をつけました。
──では、ずばり!「The Floorを一言で表すと」どんなグループでしょうか?その理由も教えてください。
ササキハヤト:楽しい!だけかと思ったらエモいバンド。
──TOWER CLOUDから楽曲を配信されていますが、TOWER CLOUDを利用したきっかけを教えてください。また、楽曲が国内外さまざまな音楽配信サービスに一斉配信されるツールについて、どのように感じているか期待感など教えてください。
ミヤシタヨウジ:純粋にタワーレコードが好きだからです。配信サービスは自分自身にとって新しい出会いの場になっていたり、楽曲がリスナーに届く即時性が素晴らしいと思うと同時に、足労をかけて手に入れるフィジカルの大切さをリスナーとして再認識させてもらえるものだと感じています。
──では、ここからは楽曲について教えてください。1年半ぶりのミニアルバム『CLOCK TOWN』がリリースされます。コンセプチュアルなアルバムかと思いますが、改めてどんなアルバムに仕上がりましたか?
コウタロウ:今作は、最初からコンセプトを決めて制作し始めたわけではなく、結果としてそうなったという流れになるのですが、たくさんの挑戦が積み重なって出来た作品になったと感じています。今作のリード曲「雨中」はThe Floorにおいておそらく初となるバラードの曲で、アレンジもストリングスを入れることに挑戦しています。他にも「Faraway」「Night Walker」ではレコーディング時にそれぞれヨウジとコウタロウがギターを弾いていたり、ミックスやジャケットのデザインも自分たちで挑戦しました。最終的にかなり面白いアルバムになったと感じています。こういったたくさんの挑戦が出来たのも、コロナ渦によって多く時間を確保することができた恩恵だと思うと、少しやるせない気持ちも感じてしまいますが…。

『CLOCK TOWN』ジャケット写真
──『CLOCK TOWN』は「架空の街」をテーマにしているとのことですが、どのようにしてテーマを設計していったんでしょうか?また、制作期間はどのくらいですか?
コウタロウ:具体的な制作期間は正直把握できていないんですけど、ざっくり2020年6月から11月の5ヶ月間ですかね。収録曲が出揃ったタイミングでアルバムのタイトルを話し合い始めました。その時点で前作『nest』のことが浮かび、『nest』からの流れを汲んだタイトルにしたいと思い、浮かんだ言葉が「TOWN」でした。三人で作り上げた“巣”は拡大していき、大きな“街”なるように願いを込めました。「TOWN」というワードが出た上で、並んだ収録曲たちを振り返ったとき、多く出てくるモチーフとして、繰り返すことであったり、時間の流れを感じさせるような物が多かった気がしていて、話し合いをしていく中でヨウジから出た『CLOCK TOWN』という案が、意味合いも響きもすごくハマった感覚がありました。
──では、アルバムの中からおひとり1曲ずつ、ご紹介頂けますか?
ササキハヤト:The Floorでは初のスローバラードを書きたくて「雨中」を作りました。すれ違いばかりの雨の中でもあの子と手を取り合えたら…という曲。先程「このバンドを一言で」の部分で答えたエモの部分担当です。想いが込もっているので、仲良くしてあげてください!
♪The Floor 「雨中」 Official Music Video
ミヤシタヨウジ:僕は「Faraway」を紹介します。昨年はコロナの影響で個人的に物理的、精神的に様々な距離を感じる1年となりました。そんなあらゆる距離を詰めて、また笑いあえる日々を願い、この曲を作りました。
コウタロウ:「Coffee Cup City」はコロナ渦でままならない現実との対比で、主人公が望んだ世界へたどり着くことが出来たお話です。遊園地のコーヒーカップが、自分がどれだけ頑張っても結局同じところを繰り返し回っているように、世の中にもそういった側面があるのではないかと思い、このタイトルをつけました。ちなみにアルバム『CLOCK TOWN』のジャケットの都会的なイメージは、この曲に引っ張られた部分が強いかもしれません。
──アルバム制作時の裏話、もしくは印象に残っているエピソードがありましたら教えて下さい。
ササキハヤト:今作はコロナの影響もあり、サポートギターを迎えず3人でレコーディングをしまして、Gt,Voの僕の負担を減らすためにヨウジとこーちゃんの弾いてくれたギターも収録されています。優しさに涙。自分としては初のリードギター録りだったので、超疲れました。世の中のギタリストに足を向けて眠れなくなりました。
──作詞、作曲される際に意識されたことを教えてください。
ササキハヤト:作詞について、今までは素直に言葉にするのが恥ずかしいと感じていたので、いろんな言葉を試行錯誤しながら作詞していたのですが、今作はなるべく自分の見たもの、思ったこと、思い出したものを感じたままに言葉に出来るように意識しました。詞のどこかに聴いてくれた人が自分を重ねて、居場所みたいなものができてくれたら嬉しく思います。作曲について意識したのは、やっぱりメロディーですかね。良い歌で届けられていると思います。
ミヤシタヨウジ:The Floorは全員が作詞作曲をするバンドなので、作曲に関しては自分自身が感動できて、デモで聴かせたときに最初のリスナーであるメンバーが驚いてくれるような曲であることを意識しています。作詞に関しては自分が忘れたくない思いや記憶を備忘録のように歌詞にしているので、誰か1人でも刺さってくれる人がいると嬉しいな、くらいの気持ちで書いています。
コウタロウ:作曲するときは、今まで自分がやったことのない要素を入れることを意識しています。例えば、今作で言えば「Coffee Cup City」はサビでマイナーからメジャーに転調することに挑戦していますし、「Night Walker」に関しては、初めてベースのフレーズから曲を作り始めました。
歌詞を書く時に意識していることは、複数の解釈が出来るように余白を持たせることは常に意識しているかもしれません。
──普段、どのようなものからインスピレーションを感じることが多いですか?インプットしていることなどがありましたら教えてください。
ミヤシタヨウジ:音楽はもちろん、映画やラジオなどから影響を受けています。触れた作品の性質に影響を受けるというより、その作品が与えてくれたエネルギーをガソリンにして行動しています。カルチャーからもらったパッションは音楽に変換して返したいと考えています。
──コロナ禍で変化した、と感じたことを教えてください。また、楽曲づくりに影響や変化はありましたか?
コウタロウ:コロナの影響でワンマンライブが延期になり、最終的に札幌以外は中止となり、札幌のライブもおよそ一年延期しての開催となりました。やはりそういったままならない現状に対してマイナスの感情はどうしても生まれてきてしまうのは仕方がないことではあるので、今作の歌詞にはかなり反映されています。楽曲制作に関しても、部屋にこもる時間が増えたせいか、各々が各々でデモをしっかりと作り上げるようになり、楽曲にそれぞれの色がより濃く出ているような気がします。
──6月15日(火)にはミニアルバム最速先行試聴会が札幌PLANTで行われました。改めて振り返ってみて、いかがですか?
ミヤシタヨウジ:お客さんは着席での参加でした。取りこぼさないよう目を瞑り、集中して聴いてくださる方や、スピーカーからの爆音をダイレクトに受け止め、身体を動かしてる方など様々でした。一足早く『CLOCK TOWN』を届けることができて嬉しく思います。
──ワンマンツアーも控えていらっしゃいますが、意気込みや準備されていることを教えてください。
ササキハヤト:前回のワンマンツアーが札幌以外中止となり、約1年半ぶりにまた皆さんとの時間を作れるので、本当に楽しみです。最大限楽しませる準備をしてますので、来場される皆さんも最大限楽しむ準備をしておいてもらえたら嬉しいです。
──ワンマン後の8月7日(土)にはEggs主催「Festival Eggs 2021-NO MUSIC, NO LIVE.-」に札幌「PLANT」から出演されることが発表されました。オンラインでも配信されるこのライブへの意気込みを教えてください。
ササキハヤト:実はPLANTでライブをするのがこの日初めてとなるので、そこから楽しみです。初めて出会ってくれる方もいると思いますので、全力をぶつけさせてもらいます!
──ここからは皆さんのプライベートな面について教えてください。皆さんの中で「意外と●●なんです」という部分を教えてください。
ササキハヤト:尽くすタイプです。
ミヤシタヨウジ:せっかちです。1人でいるときは「コレをやったらアレをこうして…」みたいに、次にやることを脳につぎ込んでしまいます。
コウタロウ:意外と部屋が汚いです。
──これから挑戦してみたいこと、今後の目標を教えてください。
ササキハヤト:The FloorはSNSとかネット関連が弱いので、届けられるよう挑戦していきたいです。
ミヤシタヨウジ:Queenの「Bohemian Rhapsody」をギターでプレイできるようになりたいです。
コウタロウ:いろんな楽器を演奏してみたいです。
──本日は七夕ですね。お願いしたいことを教えてください。
ササキハヤト:アニメの主題歌やりたいです。
ミヤシタヨウジ:もう二度と足首を怪我しませんように(両足首の靭帯損傷済み)。
コウタロウ:いろんな楽器を買うお金が欲しいです。
──ありがとうございました。最後に、応援してくれる方へのメッセージをお願いします。
ササキハヤト:しばらくリリースやライブが思うようにできず、周りから見たら止まってしまっていた部分もあるかと思いますが、僕らは止まらずに走っております。新作『CLOCK TOWN』を是非味わって欲しいし、ライブ会場で会えることを本気と書いてマジで楽しみにしています。俺たちの戦いはまだまだこれからなんで、一緒に行きましょう。よろしくお願いします!
ミヤシタヨウジ:7月17日(土)から東名阪札のツアーに出ます。各地で久しぶりに皆さんに会えることを本気(マジ)で楽しみにしています!
コウタロウ:ままならない日々が続いていますが、ゆっくりでも良いので、歩みを止めずに生きて行きましょう。
文:レコログ編集部
▼The Floorがセレクトしたプレイリスト「The Floor入門プレイリスト最新版」はこちらから
dヒッツ:https://dhits.docomo.ne.jp/program/10022700
▼The Floor『CLOCK TOWN』はこちらから
レコチョク:https://recochoku.jp/album/A1017629341/
dヒッツ:https://dhits.docomo.ne.jp/artist/1001432741
※各記事に記載されている内容は公開時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。
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The Floor
2012年10月に結成された、Vo.ササキハヤト、Ba.ミヤシタヨウジ、Dr.コウタロウによる北海道札幌市在住3人組ロックバンド。
海外ロックの系譜を持った世界水準のサウンドと、抒情的かつ温かな歌声は絶妙なバランスで共存。無邪気に「音」と遊ぶバランス感覚は、フェスシーンからJ-POPシーンまでを横断する、新たなギターロックのスタンダードを北の地から鳴らす。
初めての全流通盤の1st mini album「ライトアップ」を2016年5月にリリースし、いきなりタワレコメンに選出され、その勢いのままRISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO へRISING STARとして抜擢され出演。2017年に入っても第9回CDショップ大賞2017北海道ブロック賞選出やNTTドコモ北海道支社のインフォマーシャルソングへの抜擢などが続き、急速に注目を集めるニューカマー。
2018年2月に1stアルバム「ターミナル」でメジャーデビュー。
10月には1stシングル「革命を鳴らせ」をリリースし、計15局に及ぶAM/FMパワープレイを獲得。2019年2月に1stミニアルバム「CLOVER」、5月22日には配信限定シングル「緑風」をリリース。
ライブパフォーマンスでも各地で注目を集め、RUSH BALL 2018、RADIO CRAZY 2018、MERRY ROCK PARADE 2018、ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019など数々の大型フェスへの出演を果たす。そして、12月4日には待望の2ndアルバム「nest」のリリースも決定している。