高校在学時より注目を集め、国内での人気もさることながら、海外からの注目も集め、人気を誇るガールズ・スリーピースバンド、リーガルリリー。4月7日にはコンセプチュアルな1st EP『the World』をリリース。新曲3曲に加え、SEKAI NO OWARIの「天使と悪魔」のカバーを収録した計4曲、聴きごたえのあるEPが完成した。今回、リーガルリリー全員にインタビューを実施。今作に込めた想いや制作秘話、音楽をはじめたきっかけ、さらに今後やってみたいことやライブに向けた意気込みなど、話を聞いた。レコチョクが運営する次世代アーティストPUSH企画「Breakthrough」にもピックアップされているので、是非『the World』と合わせて、本インタビュー、企画もチェックしてほしい。

 

 

「この世界と生きること」を選んだ私たちに向けてのEPになっていると思います

 

 

――皆さんが音楽を始めたきっかけを教えて下さい。

 

たかはしほのか(Vo.Gt. ):小学生の頃、音楽の授業でドラムに触れる機会があり、こんなに体と心を委ねて音にするものは他にはない、とても楽しい!と感じて音楽を意識するようになりました。

 

ゆきやま(Dr.):いろんなきっかけがあるんですけど、小さい頃から電子ピアノがうちにあったり、うちのママの趣味に乗っかってドラムを習ったりで、ずっと音楽が身近にあったのがひとつです。バンドに直接つながってくるきっかけは、小学生のころ親友から「バンド組もうよ!」って言われたことですね。それをけっこう本気にしてたけど、彼女は半分ノリで言ってたみたいで、そこの消化不良によってリーガルリリーにたどり着いた感じがあります(笑)。

 

海(Ba.):中学の時に「SWING GIRLS」という映画に憧れて、吹奏楽部でテナーサックスをはじめたのがきっかけです。当時、吹奏楽の楽器配置でちょうどわたしの後ろにバリトンサックスやチューバなどの低音が並んでいたのですが、どっしりと構えながらも時折キラキラとした主旋律に絡み合うようなメロディーを鳴らすところに心を奪われたのを覚えています。

ギターと違って4弦しかなく、その限られた中で表現することに短歌のようなわびさびのようなものを感じて、ベースはなんて素敵な楽器なのだろうと思い、始めました。

 

――「今の自分に影響を与えた1曲」を教えてください。

 

たかはしほのか:NIRVANAの「Smells Like Teen Spirit」です。生まれて初めて憧れを抱いた存在がVo.Gt.のカート・コバーンなんです。彼を知るまで、テクニカルなギターの技術をどうしてもかっこいいとは感じることができなかったのですが、彼のギターからは人間そのもののリズムとメロディーの波を感じ、かっこいいと思うようになりました。

 

ゆきやま:これまたいろんな曲があるんですけど、いちばん明確なのが、Led Zeppelinの「Stairway to Heaven」です。得体のしれないかっこよさを体感した曲ですね。初めて聴いたのは高校生のときでした。当時は邦楽と洋楽の区別もはっきりしてないくらい、100%右脳で音楽を聴いてました。聴く曲もおのずとポップスになる感じでした。

友達に勧められてこの曲を聴いた時、普通の曲とは明らかに違うのになぜか心を掴まれて「かっこいいぃぃっ!」「なんか、やばいもの見た…」と思いましたね。これも、わたしがバンドはじめたきっかけのひとつでもあります。

 

:Nat King Coleの「L-O-V-E」です。自分で初めて買ったCDがジャズのオムニバスCDだったのですが、その中の一曲です。

この曲は、洋楽で初めて好きになった曲なのですが、英語の意味もわからないまま、高揚してでたらめな英語風の歌詞で歌うくらい大好きでした。この”音楽が身体に馴染む”という感覚が洋楽を聴くハードルを一気に下げてくれて、自分好みの曲の幅が格段に広がったのだと思います。

 

――さて、今回4月の【Breakthroughアーティスト】にピックアップされましたが、今のお気持ちをお聞かせ下さい。

 

ゆきやま:素直にとても嬉しいです!そしてありがたい限りです。

 

:昨年の2月に満を持して1st Full Album『bedtime story』をリリースしたにも関わらず、ツアーが中止になってしまい、正直不完全燃焼な部分もありました。なので、特に今回リリースする1st EP『the World』は1人でも多くの方に聴いて頂きたいし、なによりまずはリーガルリリーの存在を知ってもらいたいので、このような機会を頂けて本当に嬉しいです。

私自身、アーティストのインタビューは、そのアーティストがより身近に感じるツールとしてすごく好きなので、この機会にバンドとしてだけでなく個人的なこともたくさん話せたらなと思っています。

 

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4月7日リリースの1st EP『the World』のジャケット写真

 

――その『the World』は世界を取り巻く状況が変化していく中、リーガルリリーの表現でこの世界を捉えた「東京」「地獄」「天国」というコンセプチュアルな新曲3曲に加え、SEKAI NO OWARIの「天使と悪魔」のカバーを収録した全4曲入り。それぞれの楽曲タイトルが相反しているようで一貫性があるようなラインナップになっていますが、ここに込めた想いがあれば教えてください。

 

たかはしほのか:『the World』という言葉は広い意味合いを持っていますが、「東京」「地獄」「天国」という私の身の回りに寄り添う小さな世界を歌いました。しかしその気付きは、この世界全体に通じることでもありました。

 

ゆきやま:三曲それぞれの視点で生きることを歌ってるなぁ、って思います。「東京」は故郷であるし、「地獄」や「天国」って日常に内包されるものって捉えることができるので。

 

:どんなものごとも表裏一体であり、表があるからこそ裏があることに気付くのだと思います。そして、それは誰かにとっての天使で、誰かにとっての悪魔であるのと同じです。

そんな複雑で大きな世界について考えながらも、私たちは一人一人、目の前に広がる小さな世界を懸命に生きていきます。それは時に地獄であり、天国です。そんな「この世界と生きること」を選んだ私たちに向けてのEPになっていると思います。

 

――その「東京」「天国」「地獄」はご自身たちにとってどんな楽曲になりましたか?

 

たかはしほのか:コロナ禍において、家で一人、自分の心や取り巻く環境と向き合いながら作った曲です。ライブがなかなかできない世の中になってしまったので、曲の中にライブで感じる臨場感を込めました。

 

ゆきやま:ドラムの話でいうと、「こんなことしていいの?」っていう私のハードルに挑戦できた楽曲たちだなって思います。愚直なビートが好き!って気付きました。

 

:三曲ともリーガルリリーが今までライブでしか見せていなかったような衝動や攻撃的なエッセンスを詰め込めたのかなと思います。

まず「東京」はMVを公開した時に「ポップで聴きやすくなった」とか「今までと違う!」という反応を目にしたのですが、実は自分たちではそんなことなくて、「ずっと前から聴きやすい曲作ってたよね?」という認識でした(笑)。だけど、みんなが言ってたのはこういうことか!と気付けるきっかけになった曲です。

「天国」は自分たちにしてはストレートすぎるかなと何度も不安になって、けどやっぱりこのまま行こう!とある意味勝負した曲です。

「地獄」は逆に、ほんとに自分たちの気持ちが赴くままというか、発散!みたいな感じでできた曲でもあり、だからこそベースラインがコードとなかなかハマらなくて苦労しました。けど、結果的にインストで聴いてもカッコいいと言えるくらい自信のある曲になりました。

 

――本作の制作秘話などがありましたら教えてください。

 

たかはしほのか:マスタリングをイギリスのAbbey Road Studiosで行いました。海外の方と音源を作るのは初めてのことでした。音源はリモートでやり取りをしたので、そこに国境はなくて、言葉が違うだけでした。改めて音楽は世界共通語なんだなぁ、と感じました。

 

ゆきやま:楽器は12月24日、25日にレコーディングしたんです。全部録り終えた後、EPのタイトルどうするかって話になったときにほのかが「『the World』は!?」って突然言いました。パンチのあるタイトルだったので戸惑ったんですけど、クリスマスだし、たぶんいいだろ、と思って「イーネ!!」って言いました。

 

:今回のEPでは制作時にベースがバチッとハマった瞬間に曲の方向性が改めて固まって、みんなが寄り添ってくれたという感覚が今までよりも大きかったです。

特に「東京」の2番や「地獄」のAメロなんかは、ベースはこのメロディでいきたい!となった時に「わかった、じゃあギターはこうする!」なんてこともあったりして、そこから全く違う曲に進化していくところもスリーピースの面白いところだなと改めて実感しました。

 

――SEKAI NO OWARIさんの「天使と悪魔」をカバーしようと思ったきっかけをお聞かせください。

 

たかはしほのか:生まれて初めて自分のお金で買ったCDがSEKAI NO OWARIさんのアルバム『ENTERTAINMENT』でした。そこに収録されていた「天使と悪魔」の歌詞にとても救われたので、高校の軽音楽部へ入ったらカバーをしたい!と思っていたのですが、メンバーも揃わず実現できませんでした。今、リーガルリリーというバンドを組めて、満を持してこの曲を歌うことができて、とても幸せです。

 

ゆきやま:EPにカバーを入れたいねって話から、SEKAI NO OWARIの案が出たんです。それぞれのメンバーがセカオワと共に初々しい時代を過ごしてたので!で、歌詞がリーガルリリーにマッチすることと、「地獄」「天国」って楽曲タイトルも裏打ちして「天使と悪魔」にたどりついたんです。

ほのかは最初、そこのタイトルの繋がりに気付いてなかったようで、あとで気付いたとき恍惚としてました!(笑)

 

:自分たちのCDにカバーを入れるなら、背伸びや忖度をせず、等身大で通ってきた大好きな曲を入れたいと話していて、それがSEKAI NO OWARIさんでした。

恐らくわたしたち3人が生きてきた中で、こんなにも世界中が混乱し、何が正しくて何が間違っているかの選択を迫られる一年はなかったと思います。今だからこそ聴いて欲しいこの曲を、SEKAI NO OWARIさんの力を借りて私たちの音楽で伝えられたらと思い、カバーさせていただきました。

 

――「東京」のMVは東京の昼夜が交差するエフェクティヴな作品に仕上がっていますね。完成した作品をみて思ったことをお聞かせください。また、撮影時のエピソードがあれば合わせて教えてください。

 

たかはしほのか:楽曲の音像と映像がとてもリンクした作品になったのではないかと感じています。映像のエフェクトと私のギターのエフェクターの音が混ざって、まるで新しい楽器のようです。

 

ゆきやま:「東京」ってパッと聴いて「すごい!」って感じる曲なんじゃないかなって思うんです。わたしがそうだっただけなんですけど(笑)。そこにエフェクティブな映像の、パッと見て「すごい!」っていう感じが合わさって勢いが増すのを体感しました。

撮影は長丁場で、一曲を昼から夜まで20回くらいは演奏したかな…「東京」だけでワンマンやったね〜エヘヘ~って話してました。

 

:今回はCGが多く使われているので、撮影している時もCG加工前の映像が届いた時ですら、完成形が全く想像出来なくて、正直少し不安でした。けれど、出来上がった時には自分の想像力の乏しさに悲しくなるくらい素敵なMVになっていました。

撮影した場所がビルの高いところにあったので、東京の景色を見下ろす機会があり、絶妙に入り組むビルと道路がまさにパズルのようで感動しました。

 

 

リーガルリリー – 『東京』Music Video

 

 

――楽曲制作時に聴いていた楽曲、もしくは影響を受けた楽曲等がありましたら教えて下さい。

 

たかはしほのか:Death Cab for Cutieを聴いていました。「Crooked Teeth」という楽曲はギターの参考にしています。Dinosaur Jr.の「Feel the Pain」からはグルーヴ感、THE LIBERTINESの「What a Waster」ではギターとドラムに影響を受けました。また、Oasisの「Faede Away」からもギターの影響を受けました。

 

ゆきやま:ランシドとかライトニングボルトとか、ブースターみたいな音楽をよく聴いていた時期です!

 

:「地獄」の制作時はとにかく行き詰まってしまって、休憩してる時にゆきちゃん(ゆきやま)とたまたまランシドの話になって、そこから少し聴いていました。

「この曲のこういう感じをいれよう!」とかはなかったのですが、とりあえずいろんな曲をインプットして反芻して、自分の中のランシドを呼び起こして「地獄」のAメロのベースラインを考えたのを思い出しました。ほんの数小節なのですが、すごくお気に入りです。

 

 

リーガルリリー – 『地獄 / 天国』Special Trailer

 

 

――では、制作される際にインスピレーションを受けること、インプットしていることがありましたら教えてください。

 

たかはしほのか:自分の内面と外面を同時に見たときの違和感です。「どうしてなんだろう」と思う気持ちを大切に、謎を解く感覚で辞書を引いたり本を読んだりしています。

 

ゆきやま:制作するときはほのかの弾き語りのdemo音源を聴いて空想をするのがエネルギー源なところがあります。そこから合いそうな雰囲気の曲を探して、自分の引き出しに入れたりします。あとは、日頃からめんどくさがらずに好きなものに触れて、運動して!

 

:曲の向こうにいるベーシストを意識しない。潔くキメる。

 

――初回生産限定盤にはZepp Tokyoで実施されたライブ「1997の日」の映像が収録されますね。当日のエピソードや振り返って思うことなどがありましたら教えてください!

 

ゆきやま:とにかく気持ちよかった!すごく久しぶりの、お客さんをいれてのワンマンでした。実はその日少し不安だったんですが、本番がはじまったらアドレナリン大放出セールが開催されて、なにも問題なかったです。お客さんにとってもこちらにとってもいいライブだったと思ってるので、DVDにできてよかったです。

 

:「1997の日」は久々に有観客でのワンマンライブだったので、とにかくそわそわ緊張していたのですが、準備する期間が多くあった分、肩の力を抜いて演奏することができました。

今まで当たり前にしていたライブが当たり前じゃないことに気づき、みんなの意識も変わっていくのが目に見えて分かったというか、本当に一つ一つのライブを大切にできるようになったので、ここ最近で一番良いライブをできたんじゃないかなと思っています。あと、久々すぎてライブ前のルーティンを思い出せずに、2回くらい歯磨きしました。

 

 

リーガルリリー – 『the World』初回生産限定盤 Live DVD Teaser

 

 

――過去のお話についても教えてください。ラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」と「Eggsプロジェクト」主催の「未確認フェスティバル2015」に出場され、準グランプリを獲得されましたが、当時のステージを振り返って思うことはありますか?

 

たかはしほのか:人生の中で人前に立つことは少なかったのですが、ギターを手にして仲間たちと一緒にステージに立って歌ったら、何も恐いものは無くなりました。その時に、この先命がある限り、音楽をずっと楽しもうと心に決めました。未確認フェスをきっかけに、私の隠れた本能を確かめることができたのだと思います。

 

ゆきやま:表面的に変わったことはたくさんあるけど、そのとき感じた楽しさをいまも核に携えながらリーガルリリーをやっているなと思います。当時、バンドにすごく上昇気流みたいなのを感じていました。右肩あがりの角度がすごい、みたいな。いまもその気流にのってるんだな、と思うと感慨深いです。

 

 

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