声優としての活動を中心に、アーティスト・小倉唯としても着実に前進している彼女が初のセルフプロデュースアルバム『Tarte』を2月16日(水)にリリースする。自身で作詞を手掛けた楽曲を複数曲収録、MVでも監督を務めるなど、才能を存分に発揮したアーティスト活動が注目されているが、今回もレコログでは本人にインタビューを行い、アルバムに込めた想いを中心に話を聞いたので、是非最後までチェックしてほしい。

 

 

私自身への理解だったり、これから先の期待感を高めていただけるきっかけになればいいなと思います。

 

──2月16日(水)にリリースするニューアルバム『Tarte』は、4枚目にして初のセルフプロデュースとのことですね。ご自身でプロデュースすることにした経緯を教えてください。

 

11枚目のシングル「I・LOVE・YOU」が初めてのセルフプロデュースシングルだったんですが、ファンの方からもそれが好評だったので、いつかまたチャレンジができたらいいなと思っていたんです。それで、次にやるならアルバムのタイミングでチャレンジしてみようかなと思っていたこともあり、今作でセルフプロデュースさせていただきました。

 

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──アルバム一枚をプロデュースとなると、以前のシングルプロデュースの時より、より考えることが多かったのではないかと思いますが、実際にやってみていかがでしたか?

 

楽曲数も多かったですし、シングルの時と比較するとかなり比重は大きくなったんですけど、その分楽しさも大きくて。改めて私は世界観だったり、ものを作り上げることが好きなんだなと実感しました。

 

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──このアルバムでどんな世界観を描こうと思われましたか?

 

今までに出した3枚のアルバムのタイトルに、“ストロベリー”“チェリー”“アップル”と果物の流れがあって。今回はそれを踏襲して一つにまとめられたらいいなと思っていたんです。そこで、“ベリーもチェリーもアップルも全部乗せたタルト”みたいな、大きな器になるようなアルバムを作れたらいいなと思い、それをコンセプトにしました。テーマは“欲張りタルト”ということで(笑)、酸いも甘いも全部乗せた、今の私の集大成をいい意味で欲張ってみなさんにお届けできたら、という想いが込められています。

 

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──ストロベリーもチェリーもアップルも今までは料理される側の食材だったけれど、そこで得たものを使って自分で一つの料理を作るという、今作に込めた小倉さんの強い意志みたいなものをタイトルから感じられました。

 

そうですね。このタイトルを発表した時のファンの方からのリアクションも想像以上に大きくて。このアルバムに対しての自分の想いもより強くなりました。

 

──収録された新曲6曲について1曲ずつお話を聞かせていただければと思います。1曲目の「ta・ta・tarte♪」は、先程小倉さんがおっしゃっていたコンセプトを歌詞に詰め込んだリード曲になっていますね。

 

実は何年も前に出会っていた楽曲で、いつか歌いたいと思い、温めていた曲だったんです。『Tarte』というアルバムタイトルが決まった時に、表題曲はこの曲にしたいなというところで、ようやくみなさんにお披露目することができました。このアルバム用に準備した曲ではないんですが、まさに今回のアルバムにぴったりの曲になりましたね。

 

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──歌詞もそれを意識して書いていかれたのですか?

 

はい。「どんな歌詞にしようかな?」というところからスタートして、 “ta・ta・tarte”というフレーズを思いついた時には、“降りてきた!”って思ったんです(笑)。みなさんが思わず口ずさんでしまうような中毒性があって、とてもキャッチーな曲になったんじゃないかなと思います。自信作です。

 

──ちゃんとコンセプトを盛り込みながらも、最後は“タ・タ・タ・タ”で推したところも秀逸だと思いました。あと、クラップしたくなるようなところもあって、ライブでも盛り上がりそうですね。

 

そうですね。すごく王道でかわいらしいポップな楽曲なので、早くライブでみなさんにお届けしたいなという気持ちもありますし、“ta・ta・tarte”という言葉が印象的なので、みんなと一緒に歌えるようなライブがいつかできたらいいなと思っています。

 

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──5曲目の「PRISM BEAT」はタイトル通りリズムの効いたダンスチューンですが、小倉さんのラップも聴きどころです。

 

14枚目のシングル「Fightin★Pose」でもラップをしたんですが、それがファンの方からも好評で、自分のラジオ番組でも“オグラップ”というコーナーもできたりしたんですよ(笑)。“オグラップ”という名称でファンの方に浸透してきている中で、またこうしてチャレンジできてよかったなと思っています。とてもカッコいいダンスチューンで、聴いているだけでも体が動き出すような、すごく素敵なメロディーラインになっているので、こちらも早くダンス付きでみなさんにお届けしたいなというイメージが膨らんでいます。

 

♪小倉 唯「Fightin★Pose」MUSIC VIDEO (Short Ver.)

 

 

──後ろで鳴っているピアノもすごくカッコいいです。

 

そうなんですよ。音色もすごく素敵ですし、歌詞も強い女性像が描かれていて、日々悩んでしまっている方の背中を押せるような、そしてこの曲を聴いて一歩踏み出してもらえるような楽曲ですね。

 

──7曲目の「慈しみカンパニュラ」は、浮かんでくる情景がとても美しいですね。

 

この曲はすごく不思議な構成になっていて、ミディアムバラードだけど、途中で曲調変化するところもある、いい意味でミステリアスな雰囲気のある楽曲になっています。歌詞は“カンパニュラ”の花言葉の由来であるギリシャ神話をモチーフに作られているんですけど、“ゴールデンアップル”というフレーズも入っているので、アルバムのコンセプトにもリンクしていて、すごく好きな曲の一つです。

 

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──小倉さんのボーカルもまた、他の楽曲と一味違う感じがあります。

 

そうですね。楽曲がすごくしっとりとしていたので、物語に沿った情景や気持ち作りをしてボーカルを乗せていきました。

 

──9曲目の「Wish」は疾走感と焦燥感をあわせ持つロックナンバーです。

 

「Wish」は新曲の中では唯一のロックナンバーになっています。たたみかけるような言葉やメロディラインで、感情が揺さぶられる感じがしますね。情緒的なメロディが気に入っています。歌詞も現代だからこそ響くメッセージというか、私自身ここまで経験値を重ねてきたからこそ説得力のある言葉にできたんじゃないかなと思っているので、みなさんの背中を押すような気持ちで歌いました。

 

──11曲目の「CiaoCiao Afternoon」は、曲の構成も歌詞もすごく面白い曲ですね。

 

この曲はボカロPのJunkyさんとコラボレーションして作った楽曲です。遊び心が満載で、EDM調の楽曲にとにかくかわいい言葉が並んでいます。実は裏テーマとしてASMRを意識して作っているので、音の配置にもこだわっているんですよ。ぜひイヤホンでも聴いていただけたら嬉しいです。

 

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──言葉一つ一つにも表情がついていて、小倉さんの声の魅力が満載だなと思いました。

 

そうなんですよ。この曲は、「とにかくかわいい言葉をたくさんください」とJunkyさんからリクエストをいただいて、私がセレクトしたかわいい言葉がたくさん散りばめられているんです。それで、その一つ一つの言葉を私ができ得る最大限で“かわいく言う”という(笑)、そんなことを意識して歌いました。この曲は、自分の声というものを活かしているので、みなさんにも私の声を存分に体感していただきたいなと思い、他の楽曲に比べてボーカルのボリュームをわざと大きめに設定していたりしています。ファンの方からのリアクションがすごく楽しみな曲の一つですね。

 

──なるほど。「Clear Morning」からの流れもすごく面白かったです。そして最後を飾る12曲目「桜色ラビネス」も小倉さん作詞曲ですが、“会いたい想い”がギュッと詰まっていますね。

 

なかなかみなさんに会えない環境が続いたところで、ようやく少しずつ会えるようにもなってきた時だったので。また会えるという喜びを改めて曲として表現できたらいいな、と思いました。コロナ禍を経験して、人と会うことの喜びとか楽しさを改めて感じられるようになったし、会うまでのワクワクドキドキもすごく大事な感情なんだなと、この歌詞を書いていても思いました。会えるまでの時間を、みなさんにももっと楽しんでほしいなという想いがあって。会えるまでの過程とか、気持ちの流れというものをこの曲で表現したつもりです。この曲を聴きながら、いつか会える日のことを想像して、ワクワクドキドキしながら待っていてもらえたらいいなと思っています。

 

──この「桜色ラビネス」と「ta・ta・tarte♪」を含め、今作には小倉さん作詞曲が複数収録されていますが、どの曲も小倉さんの心の機微が丁寧に細やかに表現されているなと思いました。

 

作詞するのはすごく楽しいです。自分の曲ももちろんなんですけど、いつかは他の方の作詞にもチャレンジしてみたいなという想いが、今回のアルバム制作でより高まりました。

 

──それは実現するといいですね。小倉さんは作詞をするとなると、すぐに言葉が出てくるタイプですか?

 

作詞がすごく早くて、周りのスタッフさんから引かれるぐらいです(笑)。集中して書き上げるタイプなんです。だから一回スイッチが入ると、全部書き切らないとうずうずしちゃうというか、他のことが手に付かないぐらい没頭しちゃうんですよ。

 

──インスピレーションはどんなところから得ていますか?

 

たぶん無意識のうちになんですが、たとえば今もインタビューを受けたり、ここに来る道のりの中で見える街の風景にもたくさんの言葉があって。そうした言葉が自分の中で一つ一つヒントになっているんじゃないかなと思うんです。あと、私はコスメが好きなんですが、コスメの名称っていろんな言葉や知らない単語が入っていたりするじゃないですか。そういうところからも、きっとインスピレーションを受けていたんだろうな、とか。きっと普段生活している中で、そういった感覚のトレーニングを自然にしているんだろうなと思います。

 

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──既存曲の6曲もアルバムの流れの中で聴くと、シングルの時とはまた違った印象をもって聴けて、とてもバラエティに富んだ作品になっているなと思ったのですが、小倉さんはどんな作品に仕上がったと思いますか?

 

バラエティ豊かな曲が集まりすぎて、本当に一つのタルトにまとめられるのだろうか?という不安も正直ありました。でも、いい意味でそれぞれの曲が化学反応を起こしてくれたんじゃないかなと思っていて。曲順も曲の流れを意識しながら決めたんですが、聴いていてどんどん変わっていくメロディに自然と乗っていけるような流れにすることができたんじゃないかな、と。ぜひたくさん聴いていただけたら嬉しいです。

 

──そしてBlu-rayとDVDに収録される「ta・ta・tarte♪」のMVも小倉さんが初監督をされたそうですね。どういうところにこだわって作られたのでしょうか?

 

今回は“全部乗せ欲張りタルト”というところで、いろんな部分で私のこだわりが詰まっています。世界観自体は「ta・ta・tarte♪」の歌詞の世界観をそのまま表現していて、パティシエの見習いの女の子が初めて自分でケーキを作り上げる過程を時系列においています。いろいろと悩むことや迷いもあったけど、イチゴもチェリーもアップルも全部乗せちゃえばいいんだ!というヒントをもらって、最後にタルトが完成するという流れ。どこか夢心地な歌詞だけど、その中に悩みや葛藤を描いている現実味もあるので、夢とリアルの狭間にいるようなところも表現したくて。自分もテディベアになっちゃう、という夢の中のようなシーンも作ったんです。

 

──テディベアのシーンは夢の中の世界だったんですね。ヘアメイクも雰囲気もガラリと変わって印象的なシーンでした。

 

そうなんです。今回はパティシエと、タルト衣装を着て歌って踊るシーンと、テディベアのシーン、3つの軸で構成されているんです。テディベアのシーンでは髪でくま耳を作ってもらっているんですけど、自分の頭の中にある絵を周りの方に伝えるという作業はすごく難しいことなんだなと思い知りました。「クマの耳をつけたい」って言った時に、「え?大丈夫?」って心配されたりしましたね(笑)。そんなこともあったけど、結果としては作品として良い形になったんじゃないかなと思います。

 

──監督をされたということは、いわゆる絵コンテだったりストーリーだったりを書いたりしたんですか?

 

今言ったようなストーリーやシーン構成を全部書き起こして、色彩のイメージも資料を提出したり、実際のカット選びも自分でやらせていただいたり。本当に隅々までこだわって作らせていただきましたね。

 

♪「ta・ta・tarte♪」MV

 

 

──MV内ではタルトを作られていましたが、小倉さんもお菓子作りをされたりしますか?

 

もともとお菓子作りが大好きだったんです。手作りクッキーが好きで、食べたくなったら自分で作ったり。マフィンも手軽に作れるので、一時期はよく作っていました。コロナ禍になってからは、自宅で自分で作って食べるという生活習慣になっていたので、料理をするのも生活の一部みたいな感じで、手軽にぱぱっと作ることが多かったんです。お菓子作りは最近はあまりできてなかったですね。

 

──そういえば26歳の抱負として、生活のリズムにメリハリをつけてルーティンを作っていきたいというお話を以前されていましたが、その後はいかがですか?

 

あまり変わっていないような気もしつつ(笑)。仕事柄、次の日のスケジュールによって過ごせる時間に限りが出てきちゃうので、その中でも何を第一優先にするのか、というものを年末年始で自分でまとめて紙に書いてみたりはしました。健康を維持するために、何を一番重要視するべきなのかというところで。以前よりは自分の体を大切に過ごせているのかなと思います。

 

──自炊をするというのも、その一つですか。

 

そうですね。食事の改善が必要という自覚はすごくあったので(笑)。最近は野菜を定期便で取ったりして、きちんとしたご飯を食べるようにしています。お菓子をご飯みたいな感じで食べちゃっていたところがあったので、お菓子も以前より食べすぎないように、ちゃんと栄養のある食事をするように頑張っています。

 

──2022年、何かチャレンジしてみたいことはありますか?

 

最近運動不足だなと感じているので、今年はしっかりとトレーニングしたりして、自分の体と向き合ってレベルアップしていけたらいいなと思います。ダンスパフォーマンスや楽曲の難易度もどんどんあがってきているので、そこを軽々とこなしてみせられるように、今から自分を鍛えていきたいです。

 

──では、最後にアルバムを楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをお願いいたします。

 

今回はセルフプロデュースアルバムということで、そう掲げてしまった以上、私自身もプレッシャーを感じていた部分もあったんですが、そのプレッシャーを跳ねのけて、すごく濃いアルバムができたと確信をもっています。ぜひたくさんの方にこのアルバムを楽しんでいただき、私自身への理解だったり、これから先の期待感を高めていただけるきっかけになればいいな。そして、みなさんからの感想なんかもたくさん教えていただけたら嬉しいなと思います。

 

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文:大窪由香

写真:平野哲郎

 

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  • 小倉唯

    小倉唯

    多くの話題作で活躍する声優・⼩倉唯。
    2012年に「Raise」でソロデビュー。最新シングル「Clear Morning」まで、全13枚のシングルとアルバム3枚をリリースし、いずれもトップチャート⼊りさせている。2018年に初となる単独アリーナ公演を成功させ、昨年⾏われた3度⽬のライブツアー「⼩倉唯LIVE TOUR 2019『Step Apple』」では⾃⾝最⼤規模の6都市7公演を⼤成功に収め、約20,000⼈を動員した。