アカペラ、つまり声だけで軽快なシティポップスを奏でる男女混合6人組Nagie Lane(ナギ―レーン)が、9月22日(水)にメジャーデビューアルバム『Interview』をリリース。
2018年に結成され、渋谷を中心としたライブ活動や、YouTubeを中心に活動してきたこのグループは、2021年春、テレビ朝日系音楽バラエティ番組『関ジャム 完全燃SHOW』に出演し、その名を知られるようになった。
メンバー全員が「忙しい!」と声を揃える、緻密で賑やかな楽曲構成も聴いていて楽しいが、面白いのはアカペラに対する彼らのスタンス。アカペラはジャンルではなく、音楽の表現方法であることをメンバー全員がしっかり意識しているのだ。
他のメンバーの声を聴き、歌い、時には声を重ね、時にはそれぞれが違う楽器としてメロディーを奏で、ブレイク前にブレスを合わせる──そんな、彼らのスタイル、そのままのインタビュー。是非注目してほしい。
私たちをきっかけに、アカペラにも興味も持ってくれると嬉しいです
──今回「レコログ」初登場ということで、最初に「レコログ」でおなじみの他己紹介からお願いしたいと思います。それぞれを褒め殺しの他己紹介でいきましょう。
rei:わぁ、それって、すごいハッピーじゃない?いい時間じゃない?
──では、mayuさんから。
euro:純粋に歌の表現でハッとすることが多い。そこがすごい。
mayu:え!嬉しい!初めて知った。
──「インタビューで、お互いについて初めて知ることが多い」は、デビューが決まったアーティストあるあるですね。
baratti:そっかー、そういうことですよね。インタビューって、そういう意味ではすごくいいですね。
mikako:mayuは飾らないのがいい。飾ろうとしてもすぐ見えちゃうのも含め(笑)。でも、ありのままが1番いいって思わせてくれる魅力がありますね。
──次はeuroさん、いきましょう。
mayu:声がとてもいい!ベースボーカルとしてはもちろんだし、MCとかで声を聴いても毎回、ハッとする。
rei:ハッとし合ってるんじゃないよー。(一同:笑)。あえてビジュアルでいきますね。背が高いのが本当に嬉しい。keijiとeuroが正式に入ってくれて本当に良かった。4人だった時は、私が1番大きくなりかねなかったので、よくぞ来てくれたって感じです。
──keijiさんは?
rei: keijiは、正式にメンバーになる前からNagie Laneの曲を書いてくれているんですけど、デモの段階では、彼が仮歌を歌ってるんです。あぁいい声だなって思って聴いていました。正式に加入が決まった時、すごく嬉しかった。メンズの声が入ることでも厚みが増すし、メンズでも優しい声だから溶け込みやすかったし。
mikako:そうだね、親和性が高かったよね。
baratti:彼は天性のメロディーメイカーだと思います。
mikako:すごいパワーワードが出ましたよ。今回の見出し(笑)。
──次はreiさんをお願いします。
keiji:同じことの褒め合いになっちゃうんですけど、彼女の声が本当にいいなと思う。
rei:またハッとしあっちゃう?(一同:爆笑)
keiji:独特のシルキーボイスというか、そこは唯一無二だなと。Nagie Laneのアイデンティティだと思います。
mikako:メンバーそれぞれをちゃんと見てくれているし、Nagie Laneとしてどう見せるかっていうのも考えてくれるので、安心できるし、いろいろ相談も出来る。このグループの核になってるんじゃないかなと思います。さぁ、次は、barattiを褒めよう。
euro:barattiは知識欲がすごい。音楽に関してはもちろん、他のことに関しても、現象を理解しようとする向き合い方がすごい。尊敬しますね。
keiji:僕が尊敬しているところは、音楽的な知識がアカデミックに備わっているところですね。同じように曲を作る立場からすると…。
baratti:(目の前のティッシュをとり、ソッと目頭を押さえる)
全員:泣かないで~!(一同:大爆笑)
keiji:今、泣くような褒め方してないじゃない?(一同:大爆笑)
──ではmikakoさんいきましょう。
mayu:ステージで映える!普段は可愛い感じなんですけど、ステージに上がった瞬間のスイッチの切り替えがすごいし、お客さんを魅了するようなパフォーマンスも含めて、いつも隣でカッコいいと思ってます。
keiji:英語がうまい!僕、中学英語で終わってるんで、もはや天井人ですよ。最近、K-POPの曲をカバーしたりもしてるから、韓国語もみんなにレクチャーしてる。メンバーの中に他の国の言語を話せる人がいるのは、これからのNagie Laneの活動において、本当に強いと思いますね。
──ありがとうございました。ではアカペラについて、伺っていきますね。アカペラという手法は、全員マイクだから、パっと見は全員ボーカルに見える。でも、それぞれちゃんとパートがあるじゃないですか?そこを分かりやすく説明してもらえますか?
baratti:あぁ、なるほど。わかりました。普通はアカペラのパートって、その人の声の特徴によって決まってくるんですよね。上から高い声が得意な人、真ん中が得意な人、下が得意な人、みたいに。
keiji:合唱で言ったら、ソプラノ、テノール、アルト……みたいなパートにわかれるってことです。
baratti:そうだね。そこに当てはめると、Nagie Laneの場合は、rei、mayu、mikako、keijiっていう4人が、メロディーを歌い、ハーモニーを作る。それから、ウッドベースとかシンセベースとかを声で再現するベースボーカルのeuro。加えて、僕はドラムやパーカッションの音を声で再現するボイスパーカッションを担当しています。ただNagie Laneが、例えば他のアカペラグループと比べてちょっと変わっているところは、リードボーカルを細かく変えたり、1曲の中でパートを細かく変えていくところなんですよ。Nagie Laneは曲調の幅が広いので、この曲には、このメンバーの声が合っているから、その人が1番上を歌うとか、そういった工夫ももちろんしているんですけど、1曲の中でも、Aメロはこの人が1番上、サビは違う声の方が合うからこの人…っていうふうに、細かく工夫してます。
──今言った、歌とハーモニーを作る4人が、楽器っぽいアプローチをするパターンも多いですよね。
baratti:そうですね。
──それって、バンドに例えると、曲によって、楽器のパートを変えるのと同じ…ってイメージなんですけど、どうです?
baratti:まさにそうですね。楽曲をアレンジするにしても、バンドアレンジをするって発想と同じなんですよ。ここにギターっぽい音欲しいなとか、ここにシンセサイザーのあの音が欲しいなとか、具体的な音が浮かんで来る。それを1人1人の声に落とし込んでいくんです。
mayu:例えば、私には、高音が出せるっていうのがわかっているから、結構突き抜けた音を当ててくるんですね。例えば「花と蜜」って曲では、ホーンのパートの上(=バートの中の高音部分のこと)を担当したり。
rei:mayuは1人で変な音をやることが多いよね。
mayu:えー?(笑)「ヴィーナスルージュ」の♪リャー リャー リャー ♪ とか?
rei:私はそこのパート ♪リャオ リャオ ♪ なんですよ。
──語感がすごいな(笑)。しかも同じメロでハモるのに言葉が微妙に違うっていうのもすごい。
baratti:楽譜書きながら、頭に浮かんだ音を自分で口でやって試してみるんですよ。今のだったら…ら、にゃ?りゃ…うん、リャーだな、みたいな感じ。
──でも、普通、リャーでハモろうとしないと思います(笑)。
mikako:確かに(笑)。普通はありえないって言われるような音でも、抵抗がないんですよね。それがNagie Laneの面白いところなんです。
──そうですよね。あと、1曲の中で1人のボーカルを追いかけていると、途中で再現する楽器の種類が変わってたりもしますよね?
Baratti:そうです。例えばmikakoに、Aメロだったら、ピアノのパートですよっていうのをまず伝えて、ピアノっぽいニュアンスのコーラスを歌ってもらう、Bメロになったら次はギターに変わりますよ、と。それでギターっぽく歌ってもらう。1曲の中に、mikakoのギター、mikakoのシンセ、mikakoのピアノがあるみたいな。今回のレコーディングでは、トラックをその楽器毎に完全にわけたんですよ。そのおかげで、サウンド面でも、だいぶカラフルに色分けが出来たと思うんです。
──なるほど。でもそれって、メンバー全員、忙しすぎませんか(笑)。
baratti:(笑)。忙しいっていうのは、よくメンバーに言われますね。みんなに無理をさせている自覚はあります(一同:笑)。でもその忙しさが、独特の軽快さだったり、Nagie Laneの個性になっていると思うんです。どうですか、皆さん、忙しいですか(笑)。
全員:(笑)。忙しいよ(笑)。
──アルバム『Interview』オープニングを飾る楽曲「2021」についてお聞かせください。
baratti:今回のアルバム『Interview』って、結果として、いろんな曲調が揃ったと思うんです。そんな中で、やっぱり明るさとか、軽快さとか、ノレる曲とか…これまで自然にNagie Laneが出してきたものが表現されている曲を1曲目に持ってくるのがいいなと思ったんです。keijiも、そこを意識して作ってくれたと思うし、上がってきて聴いた瞬間、「あ、これ1曲目だな」って思いました。
keiji:最初はライブの1曲目になるような曲を…ってことで作り始めたんです。それがアルバムの1曲目にもなった。
Baratti:これは決して、否定しているわけじゃないんですけど、あるアーティストの方がライブか何かで、昔に戻りたいねって発言をなさっていたんです。そう思う人もたくさんいると思うんですけど、僕は、戻るって感覚に違和感を感じて。戻るんじゃなく、新しい価値観を作っていかないといけないし、そういう未来の作り方をしていかないといけないなと思ったんです。その思いと、自分たちがメジャーデビューするっていう心境が重なって、そこを歌詞にしたいと思ったんですね。とにかく、今のことを歌いたい、と。歌詞が上がってきてからタイトルをつけたんですけど、すごく自然に「2021」ってタイトルが出てきましたね。

アルバム『Interview』ジャケット写真
──こちらも「レコログ」恒例の質問です。このグループの中で「意外と〇〇なんです」という部分を教えてください。
keiji:意外と…ネオソウルや、シティポップがど真ん中のルーツの人がいない。
euro:さっき撮影中、カメラマンさんに、意外と身長高いですねって言われました(一同:笑)。
──最後に、10月2日(土)のワンマンライブへの意気込みと、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
rei:今回、keijiとeuroが正式メンバーになって初のワンマンライブになるんです。だからサウンドもそうだし、パフォーマンスも含めていろんな面で、このグループ新しいねって思ってもらえるようなライブにしたい。そこを目指して準備しているので、是非、楽しみにしていてほしいです。
mikako:この記事を通して、初めてNagie Laneを知ってくださった方もいらっしゃると思うんですけど、1番は私たちの音楽を聴いてほしいなと思います。6人体制になって、メジャーデビューするにあたり、1人1人、強い気持ちをもってやっていこうと思ってるので、私たちをきっかけに、アカペラにも興味も持ってくれると嬉しいです。
文:伊藤亜希
写真:平野哲郎
▼Nagie Laneメジャーデビューアルバム『Interview』はこちらから
レコチョク:https://recochoku.jp/album/A2002364166/album
dヒッツ:https://dhits.docomo.ne.jp/artist/2001683437
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