10月21日(水)より、レコチョクが運営するWIZY(ウィジー)で大黒摩季とONKYOがコラボしたヘッドホンが予約販売される。そこで、大黒摩季自身のヘッドホンに込めた想いや、こだわりポイントについてインタビュー。さらに、配信リリース楽曲の制作秘話、10月7日(水)より開催される待望のツアー「MAKI OHGURO 2020 PHOENIX TOUR〜待たせた分だけ100倍返しーっっ!!!🔥〜」に向けた意気込みも語ってもらったので、最後までチェックしてほしい。

 

 

 

記念にもなるだろうし、持っているだけでプレミアムになる

 

 

 

──今回WIZYでONKYOさんとコラボレーションしたヘッドホンを販売されますが、こだわったところはどんなところでしょうか。

 

ヘッドホンとかイヤホン、Bluetoothのものとか、いろいろと聴き比べてみたんですよ。最近のものは優秀だなあと思いながらも、例えば電波が飛びまくっている時に止まったら嫌だなとか、音楽に入り込んでいる時にプツッと音が止まると嫌だなと思うので、有線のヘッドホンにしました。ヘッドホンにも個性があるんですけど、中でも比較的個性のないものを選びました。私の場合、一枚のアルバムの中にもフルオーケストラで録っているものから、ゴリゴリのロックもあるし、ローエンドまで使っているようなクラブミュージックもあり、すごくレンジが広いので、それをありのまま届けてくれるようなニュートラルなものを選んでいます。

 

大黒摩季10

 

──ヘッドホン自体やケースのデザインなども、すべて大黒さんが携わっていらっしゃるんですよね。

 

もともとお習字も好きだったりするのもあって、ツアーロゴやCDや商品のロゴだとか、年間で作らされるロゴの数がハンパないんですよ(笑)。それで今回のヘッドホンを作るにあたって、「どういうロゴがいいかな?」って、手元にあった資料をいろいろと切り貼りして並べてみたんです。そしたら、「なんかちょっとアートになってない?」って思って。だいたい、いいものって偶然生まれるんですよね。

 

大黒摩季9

 

──ケースにはこれまでのシングルタイトルがデザインされているんですね。

 

記念にもなるだろうし、持っているだけでプレミアムになるというか。まず私が、これまでの楽曲達は発売した日から子供をお嫁に出すようなものだから、これだけタイトルが並ぶと大家族が集結したみたいな、愛おしい家族写真みたいで誇らしくなれます。例えば「小学生の時に「あなただけ見つめてる」と出会ってから、そのあとにリリースされた楽曲は全部聴きました。それ以前の曲も勉強しました。大人のファンと混じって、やっと仲良くなれました」みたいなファンの子が、これを持ってて、曲名指しながら『私、ここからなんだよ』みたいなね(笑)。そんなふうに私のヒット曲とか、みなさんの好きな曲名が入っていたら誇らしいだろうな、と思ったんですよ。それから、ハウジング部分に入れたのは“MUSIC POLICY”と“MUSIC LEGACY”。私のポリシーは、とにかくありのままを伝えること。音楽は提供するのではなく、自然に感じてもらうことだと思っています。そして、レガシーは新旧問わずいいものはいい、っていうことでこの言葉を選びました。で、こっちの文字を大きくしたいとか、切ったり貼ったりして並べていくと、きれいに整っているより、アンバランスな感じがいいなって思ったり。根っからのオタク気質なんです(笑)。本当に好きなんだと思いますよ、クリエイティブが。ほとんど遊び心ですね。

 

大黒摩季6

 

──遊び心と言えば、新型コロナウイルス感染の影響で中止になった全国ツアーの開催日ごとに生配信をされていましたが、その内容も遊び心満載でしたね。

 

あのバラエティ感はたまらないですよね。でも、自分ではバラエティにしようとは思ってはないんですよ(笑)。

予定していたツアーを中止にせざるを得なくなって、皆さんに対してのせめてもの誠意は何かな?って考えた時に、せっかくお客様が私との時間を作ってくれていたわけだから、その貴重な時間を共に過ごしたいな、やるからには楽しんでもらいたいな、って。

それで音楽以外にもお料理したり、筋トレしたり…毎回テレビ局並みに企画会議をしてました(苦笑)。

 

 

──そうだったんですね(笑)。3月からは6カ月連続でシングル配信リリースをされたり、生配信でもいろいろな音楽が生まれていましたね。

 

そうですね。3月にリリースした「Let’s☆Go!! Girls」は「名古屋ウィメンズマラソン」で応援ソングを作ってくださいって言われたんです。「女の子が走りたくなるような音楽を」って。だけどそもそも女の子って走りたくないじゃん(笑)。3㎞ぐらいで飽きちゃいますよね。そんな女の子たちが走りたくなるような曲なんて、神様じゃないからできませんよってところなんですけど(笑)、マラソンに限定しないでジョギングでもいいし、恋のために走ってもいいですよね。「好きな人のために走るってテンポいくつぐらいだろう?」って、スタジオでポンポン走って、そのテンポを測ってもらったりして。もうちょっと速く走った方が、早く会えるんじゃない?って(笑)。そんな感じで作っていったんですよ。そしたら次は子供のいじめについてみんなで考えましょうっていう、すごくセンシティブな世界のタイアップのお話がきて。

 

大黒摩季1

 

──4月にリリースした「RAIBOW QUEST 〜僕らはピースメイト~」ですね。

 

「子供達が音楽だけで繋がれるような曲を」という難しいオーダーをいただいて日夜考えていたら、“自分のエリアの人たちにいじめられるんだったら、違うエリアに行ったらヒーローになれるかもしれない”って思って。それだったら海外に飛び出せばいい!と思ったので、世界の「ありがとう」と「こんにちは」を全部ピックアップしてサビにしたら、きっと誰かがクスッと笑うんじゃない?って。私のこのハスキーな声だって、日本にいたら「酒灼けか?」って言われるけど、アメリカに行くと「クリスタルボイス」って言われますからね(笑)。

8月に配信した「Pray for you 〜7月のélégie〜」は令和2年7月豪雨の時にボランティアに行きたいのにコロナで県を越えられなくて。生中継のニュースを見ている時に涙が止まらなくなって、その涙と一緒に出てきたメロディが「Pray for you〜」だったり。そして私の光りの様な存在の俳優さんが天国に行ってしまって、2番の言葉が溢れて、更に「Pray for you〜」の祈りが強く深くなったり。各曲がジャンルも何もバラバラだけど、全部自然に生まれてきた曲たちなんですよ。大黒摩季っていうのはデパートやセレクトショップであって、専門店ではない。50歳をすぎるとその辺もブレイクスルーしてきて、人の言うことも聞いたし、期待にも答えたし、一度はお嫁にいって頑張ってもみたし(笑)、ここからは好きにやってしまえ、思ったことをやってしまえ、それが私の個性だ、って。

 

 

──ただ、このコロナ禍ではやりたいこともままならないこともあったかと思いますが、大黒さんはこのコロナの状況とどんなふうに向き合われましたか?

 

私はもともと人生が波乱万丈すぎて、自分でどうにもできないところに突き落とされたこともあった。“不運の女王”みたいに言われたこともあって、そういう不条理なことばっかり経験していると、なるようにしかならないと、諦めではなく、悟りの様な境地があって。逆流に向かって走っていくと、力を抜いた途端、倍流されるじゃないですか。だから流れに身をまかせるしかない。でもどんな逆境下にあっても、今の最善を足していくと最良の未来になるんですよ。今を諦めて最善を尽くさないでいると、知らない間に落ちていってしまう。現状維持って、みんな気づいてないけど、静かに下がっていっているんですよ。現状維持にも持久力がいるから、その中で踏ん張っていた時もあったんだけど、踏ん張ろうって思ったらすごく辛いから、踏ん張らない(笑)。楽しむ。コロナも今はワクチンの背中が見えているでしょ。その先が見えているものに対して不安がらない。それより状況がよくなった時にスタートダッシュできない方が損した気持ちになっちゃう。私はボーカリストだから、日頃から手も洗うしうがいもするし、マスクもしていましたしね。それに母の介護もやっていたから、感染予防はノーストレスでした。そういった意味では、コロナで変わったのは周りであって、私自身は、「時間がある!クリエイティブできる!」っていって曲も作りすぎたし(笑)、レコーディングもミュージシャンみんなスケジュールがあるから声をかけたら全員来てくれる。むしろラッキー!って(笑)。だから今の私の楽曲は、オールスターズですよ☆ ただ、ライブだけはクラスターを起こしちゃいけないというのもあって、慎重になるところはある。生配信をやって喜んでくださっている方達もいらっしゃるし、生配信を経験したおかげで、映像チームのスキルやパワーが軒並み上がっている。そう考えると、悪いことばかりじゃなかったなと。

 

 

 

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