1999年のデビュー以来自身のキャリアを積み上げ続け、現在でも第一線を走り続けるアーティスト・倉木麻衣。2023年12月8日にデビュー25周年イヤーがスタート、同日にこれまでの自身の全曲をサブスク解禁。さらに新曲もリリースするなど、精力的に活動を行っている。今回「レコログ」ではサブスク全曲解禁を記念して、倉木麻衣にインタビューを行った。これまでの活動の中で大事にしてきたことや、振り返って思うことなど、幅広く話を聞いている。彼女の音楽とともに歩んだ25年と、たくさんの想いを感じられるインタビューになっているので、ぜひ最後まで読んでほしい。
少しでも音楽を通して感謝をお返ししたり、お役に立ったりできるといいな、という気持ちで、現在も活動させていただいています
──2023年12月8日(金)よりデビュー25周年イヤーがスタートしました。今の心境をお聞かせください。
倉木麻衣に関わる皆さんのおかげで、25年目を迎えさせていただきました。倉木麻衣の音楽を発信して活動してこられたことに感謝でいっぱいですし、誇りに思います。
これからも、新たな出会いにワクワクしながら、新しい楽曲にチャレンジして新曲をお届けしていきたいですし、現在も、新曲制作などに取り組んでいます。来年は、初チャレンジのことにもトライしながら、一緒にお楽しみいただける、まだやったことのないスタイルのライブや、やったことのない場所からお届けできたらと思っています。
──今の“倉木麻衣”を一言で表すと?理由も教えてください。
一言では表せないですが…「倉木麻衣一筋」ですね。16歳からデビューして、倉木麻衣一筋で自分の人生が成り立っています。どんなときも倉木麻衣を応援してくださるファンの皆さんや、長年にわたり支えてくださっている倉木麻衣に関わるすべてのスタッフ皆さん、そして友人や家族のおかげで活動させていただいているので…。愛がとう!
また一歩ずつではありますが、音楽を通してお役に立てることや、みなさんからリクエストいただいている夢も実現していけるように取り組んでいけたらいいなぁと思っています。
──では、アーティスト活動をはじめた当初と今で変わったこと、変わらないことを教えてください。
デビュー当時は、学生生活と歌手活動を両立していたこともあって、学生生活の方を基準にした生活を送らせていただいていて、当時は学業と歌手活動を両立させることで精一杯でしたね。なので、テレビにも出演したりしていなくて、あまり歌手になったという実感がわかなかったですが、ライブをするようになってから、ファンの皆さんとの直接の交流を通して、歌手になったんだなぁと実感しました(笑) 。
楽曲制作やレコーディングをして、楽曲をリリースする音楽活動スタイルから、大学を卒業して、社会人になってから、よりライブやイベント、メディアに出るようになって、様々な活動での出会いを通して、そこからインスピレーションを受けて出来上がった楽曲も増えてきました。
デビュー当時のR&Bテイストの楽曲から、だんだんROCKやPOPテイストなど幅広いジャンルの楽曲たちにも挑戦するようになっていきました。出会いを通して、そこから発信していくアルバムのテーマや楽曲もその時々によって変化していますね。
楽曲によって歌い方も変えているので、R&Bテイストの楽曲をリリースしていたデビュー当時の歌と、今とではまた違う歌声になっています。当時のレコーディング機材や音楽形態も今とは違いますし、環境やその時々のコンディションも違う。長年活動する中で、もちろん変化していることはたくさんあります。
──12月8日(金)には全曲をサブスク解禁されました。
サブスク解禁以来、自分でプレイリストを作成していくつか公開していますが、その際に改めてリリースしてきた楽曲である439曲を聴き返したんですけど、アルバムをリリース順に聴いていくと、年代ごとに音楽スタイルも変化していることが感じられて面白かったです(笑)。また、今回サブスク解禁した中にはシンフォニックアルバムもあるのですが、オーケストラアレンジにしているので、歌い方や歌声も“倉ッシックバージョン”に変えて歌っていたりします(笑)。
──その時に合った変化を重ねてこられているのですね。
あと、バンド、ダンサースタイルのアグレッシブなライブスタイルから、アコースティックライブ、フルオーケストラのシンフォニックコンサートと、ライブスタイルも幅広く行うようになりました。
一時期、周年を迎えた全国ライブツアーを終えたあたりで、燃え尽きた感があり、スランプ状態になって、歌が本当に好きか分からなくなってしまった辛い時もありましたが、少しお休みをいただいて、海外へ短期留学に行き、歌から離れた生活をしたり、イベントやチャリティーライブ、震災復興支援活動などの社会貢献活動を経て、改めて「音楽、歌が好きなんだなぁ」という気持ちを感じて。また、その間も、ファンのみなさんから応援メッセージやお手紙、そしていろんな音楽や歌に支えられ、やっぱり歌、音楽が自分の居場所なんだなぁ…と。葛藤を乗り越えた先に、今がありましたね。
25周年を迎えさせていただけたのも、応援して支えてくださるファンの皆さんや、スタッフさんたち、友人や、家族のサポートのおかげです。少しでも音楽を通して感謝をお返ししたり、お役に立ったりできるといいな、という気持ちで、現在も活動させていただいています。
──これまでリリースされた楽曲の中で、ご自身の中で特に印象に残っている曲とその理由を教えてください。
どの楽曲も思い入れがあり、印象深いものばかりですけど…デビュー曲「Love, Day After Tomorrow」が、初めてラジオから流れてきた時のあの感動と衝撃的な気持ちが今でも忘れられないですし、この楽曲で倉木麻衣が誕生し、皆さんとつながることができた大切な一曲となっています。
♪倉木麻衣 「Love, Day After Tomorrow」
──これまで制作された楽曲の中で、今だから言える「楽曲制作時のエピソードや裏話」がありましたらお聞かせください。
えー!(笑)んー…そうですね、御蔵入りになったミュージックビデオがありますね…(笑)。「Reach for the sky」という楽曲のミュージックビデオは、実は、もう1つ撮影してあったんです。できあがってみて…撮影しなおそうということになり、最初に撮影したミュージックビデオは、封印されています(笑)。
当時、朝方まで天使の羽をつけて、ワイヤーで何度も吊られての、体当たりでの撮影をしたんですけど…イメージと違うということになり(笑)。一度だけ、ファンクラブイベントで、少しだけ流したことはありましたね。
♪倉木麻衣 「Reach for the sky」
──12月8日(金)にサブスク全曲解禁記念として「オンラインリスニングパーティー」を開催されました。皆様からのコメントを通して、印象的だったことなどがありましたらお聞かせください。
皆さんとプレイリストを聴いて、思い思いにコメントするという初めてのリスニングパーティーで、私もコメントさせていただきましたし、嬉しい時間でした。
一曲、一曲、楽曲に対して素敵な思い出を持っていただいていたり、愛していただけているんだなぁと思いました。また、直接、皆さんから楽曲に対しての気持ちを知ることもできて、本当に、皆さん嬉しいコメントをくださって、嬉しかったですね。いろんなテーマのプレイリストを作成しているので、またリスニングパーティーを開催したいと思っています。
──10月28日(木)にデジタルシングル「Unraveling Love 〜少しの勇気〜」をリリースされました。どんな作品になりましたか?
テレビアニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマとして、現在の「名探偵コナン」のイメージに寄り添えられるように、今回、楽曲的にもCool 系かつ大人なシティPOPサウンドに挑戦してみました。
また、とあるキャラクターの持つ恋愛感に寄り添えるように歌詞も制作させていただいています。「お互いに好意を寄せているように感じるけど、相手の本当のところはどうなんだろう?愛を解き明かして…」という恋愛模様をテーマにしています。今までにないような印象的なフレーズの言葉も入っていたり、早口で畳みかけていくサビメロディや、言葉にできないドキドキ感をサウンドに取り入れて表現したりと、面白い楽曲になりました。
リリックビデオでは、愛犬をイラストにして動かした可愛らしい動画で、Cool系楽曲に対してのギャップも面白い作品になっています。
「クセになる歌」「お気に入りになりました!」「リリックビデオが可愛い!」など、お楽しみいただけているという嬉しいお声もいただき、頑張って制作してよかったと思いますし、作品に携わってくださった制作チームの皆さんに感謝です。
ドキドキ感をサウンドで表現した“ドキドキサウンド音”はへッドフォンを通して聴いていただくと、より体感していただけると思いますので、良かったら“ドキドキサウンド音”を見つけてみてください。
♪倉木麻衣「Unraveling Love ~少しの勇気~」Lyric Video
──レコーディング時のエピソードがありましたらお聞かせください。
クセになるような、早口で畳みかけていくサビメロディが面白い楽曲なんですけど、焦るとうまく歌えなくなっちゃうので、リズムや言葉がすんなり馴染むまで、何度も何度も繰り返し練習してレコーディングしましたね(笑)。
レコーディングが終わっても、1日中ずっと、頭の中でぐるぐるサビメロディが流れていました(笑)。レコーディングしていくたびに、いろいろなアイディアがふってきて、言葉だけじゃない感情をサウンドにも込めて制作しているので、それを感じていただけたら嬉しいです。
──12月22日(金)にはデジタルシングル「You&I」をリリースされました。こちらはどんな作品になりましたか?
昨年からいろいろ試行錯誤しながら制作した作品なるのですが、ネガティブな気持ちを乾かして、リラックスして、心をふわふわ軽くしていけるような、ポジティブな一曲に仕上がりました。ノリの良いメロディなので、一緒に口ずさんで楽しんで聴いていただけたら嬉しいです。
──「You&I」も、レコーディング時のエピソードがありましたらお聞かせください。
「You&I」は、大好きなR&Bテイストが濃い楽曲を、昨年から北欧の海外サウンドクリエーターの皆さんと一緒に作って、レコーディングしていった一曲です。肩の力を抜いてライトに歌って、リズムやgrooveにのって、自由に感じるままレコーディングさせていただきました。
楽曲構成を考え、サウンドプロデュースもさせていただきました。デモの段階で、SAXのソロパートのサウンドが頭に浮かんできて。私のLIVE TOURでも演奏してくださっているSAX奏者のAmiさんと、2サビ終わりの間奏を一緒にSAXレコーディングしました。
この楽曲も、レコーディングしながらいろいろなアイディアが浮かんできて、コーラスワークとかも頭に流れてきたメロディを思うままに自由にレコーディングして完成させていきました。歌詞も、これでもかというくらい、ストレートで超ポジティブな歌詞が生まれ、楽しい歌が出来上がったので、楽しんで聴いて口ずさんでもらえたら嬉しいですね。
──作詞をされる際、どんな部分を意識して制作されていますか?また、デビュー当時と現在とで、制作スタイルに変化はありますか?
楽曲からインスピレーションを受けて歌詞を作る場合もあれば、テーマや歌詞を作ってからメロディにあてはめて作っていく場合もあったりします。基本的には、楽曲先行で歌詞をつける制作スタイルの方が多いですね。
デビュー当時から現在とで、制作スタイルはあまり変わっていないですね。歌詞は、日常生活の中から生まれることが多いです。デモを聴いて、メロディからインスピレーションがわいて作っていくので、お家や、自然のある公園、カフェ、歩いている時、お風呂に入っている時、移動中など、四六時中、歌詞制作に没頭しての制作スタイルは昔も今も変わってないですね。
できあがった歌詞で、一度スタジオでレコーディングしながら、サウンドに触れながら、また、そこからいろいろアイディアがわく時もあるので、歌詞を仕上げてからは、スタジオで集中して一気に制作するタイプではありますね。
私もさまざまな歌に癒され、パワーや元気をもらっているので、私の歌を聴いてくださった時に、心を軽くしてもらえるような、前向きなテーマを歌詞にするように心がけて作っています。また、アルバムを制作するときは、1つのジャンルにとらわれずに、いろいろなタイプの楽曲を楽しんでいただけるように制作しています。
──TOWER RECORDS MUSICでは、最初と最後にボイスがセットになったプレイリストを公開していただきました。どんなプレイリストになりましたか?
『billboard classics Mai Kuraki Premium Symphonic Concert 2023』でお届けしたセットリストのプレイリストになっています。サウンドは、シンフォニックアレンジでなく原曲でお届けしているプレイリストですが、コンサートのセットリストを楽しんでいただけたら嬉しいですね。
──その『billboard classics Mai Kuraki Premium Symphonic Concert 2023』を振り返って、印象に残っていることや思ったことをお聞かせください。
今回初めて訪れた場所もありましたし、それぞれの会場でしか聴けない楽曲、そして毎会場違うゲストミュージシャンやフルオーケストラとのコラボレーションをさせていただいて、各会場での雰囲気も音の響きも違って、その時に生みだされるサウンドを体感しながら一緒に作って生み出していくコンサートでした。どの会場もそれぞれに良さや、味わい深いものがあって、大合唱では一生懸命歌ってくださる皆さんの美しい歌声や、藤原いくろうさんの素晴らしい指揮のもと、オーケストラの皆さんの素敵な演奏に支えられ、ひとりひとり美しい音色を奏で、1つになってサウンドを生み出していくオーケストラって改めていいなぁと思えましたし、素敵な経験をさせていただいたコンサートになりました。このコンサートを支えて携わってくださった皆さんや、来て下さった皆さんに、感謝とリスペクトの気持ちでいっぱいです!また“倉ッシック”なコンサートをお楽しみいただける日を楽しみにしています。
──『Mai Kuraki Premium Symphonic Concert 2022』も映像作品として11月に発売されました。こちらのライブを振り返って思うことや、見どころをお聞かせください。
シンフォニック作品としては7年ぶりだったんですが、今回はシンフォニックの作品として初となる楽曲もたくさんありますし、セットリストの中からセレクトしたシンフォニックライブ音源を収録したCDもお届けさせていただいています。
DVDは5.1ch対応、そして、Blu-rayはDolby Atmosにも対応しているので、コンサート会場にいるような、よりリアルな、臨場感あふれるサウンドと映像になっています。
このコンサートの時は合唱が難しい時期だったのですが、ペンライトを使用して、会場の皆さんと一体となった素敵なコンサートにすることができました!よろしければ、フルオーケストラの美しい音色と、“倉ッシック”な世界感を、ゆったりたっぷりとお楽しみいただけますように。
──ありがとうございました。最後に、応援してくださっている皆様へのメッセージをお願いします。
いつも本当に愛がとうございます!
新曲、LIVE、コンサートを楽しみにしていてくださいね!またすぐお愛しましょう♡
be you. be happy.always give my love. . always give my love to you..SEE YOU soon.
文:レコログ編集部
※各記事に記載されている内容は公開時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。
-
倉木麻衣
1999年10月、16歳で"Mai-K"名義の『Baby I Like』で全米デビュー。同年12月8日『Love, Day After Tomorrow』で日本デビュー。デビューからミリオンヒットを立続けに記録し、日本を代表する女性シンガーとなる。CD TOTALセールスは2,000万枚を突破、デビュー以来シングル42作全てがオリコンTOP10入りしており、ソロアーティスト歴代1位の記録を更新中。2017年、アニメ「名探偵コナン」の21曲のコラボレーションが、同じアーティストにより歌われたアニメシリーズのテーマソング最多数として、ギネス世界記録に認定。新オープニングテーマ『ZEROからハジメテ』がコラボ24作目となり、その記録を更新し続けている。