「アラジンのように魔法の絨毯に乗って迎えに行くよ♪」「君が仮にどんな恋を重ねてさ どんな人と笑い合ったか♪」・・・・2020年夏、TikTokをきっかけにSNSなどで話題になった「魔法の絨毯」。シンガーソングライター・川崎鷹也が歌うこの楽曲は、2年半以上前にリリースされたアルバム『I believe in you』の収録曲。現在、入手困難になっているこのアルバムをWIZY限定で再プレス、本人のサイン入りで限定販売する(https://wizy.jp/project/535/)。今回、音楽ルーツからこれまでの活動について、「魔法の絨毯」が生まれた経緯など、話を聞いた。

 

 

 

“あ、これはいけてるんだな”って調子に乗ったところがスタートでした(笑)

 

 

 

──川崎さんの音楽ルーツを教えてください。

 

僕には4つ上のお兄ちゃんがいるんですけど、お兄ちゃんがよく音楽を聴いていたので、その影響で僕も聴いていて、なかでも清水翔太さんの歌詞の世界観やメロディラインがすごいいいなあと思っていて、よく聴いていましたね。あとは玉置浩二さんやエレファントカシマシさんなど、サウンドというよりは歌の力が強い人の歌を聴いてました。

 

──自分自身が歌うようになったきっかけは?

 

高校の文化祭です。高校3年生の時、文化祭で初めて人前で歌を歌うことになって。友達に誘われるまま、カラオケするみたいな感じだったんですけど、歌った時の他の友達の反応や会場にいる人たちの反応がすごくよくて。“あ、これはいけてるんだな”って調子に乗ったところがスタートでした(笑)。

 

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──その文化祭では何を歌われたんですか?

 

HYさんの「366日」と、サザンオールスターズさんの「真夏の果実」。バラード2曲を続けるという、謎のセットリストでお送りしました(笑)。

 

──それから本格的に音楽をやろう、プロを目指そうと思ったんですか?

 

はい。僕の地元は栃木なんですけど、当時ライブハウスは宇都宮にしかなくて、栃木で音楽をやるにはあまり環境が整ってなかったんです。だからここで音楽をやるには厳しいものがあるなと思っていて、高校3年生の時に、東京に出ようと決めて、東京の専門学校に入りました。東京に行くという覚悟を決めた時点で、プロになるしかないっていう感じではありましたね。

 

──では、栃木時代にバンドを組んだり、音楽仲間を作ったりすることは……。

 

ゼロでした。

 

──その状況の中で、音楽でプロを目指そうと意志を固めるのは、かなり勇気がいったんじゃないですか?

 

そうですね。僕の親友で、マセキ芸能にいる芸人(髭兎・薄井賢也)がいるんですけど、彼とは高校3年間ずっと同じクラスだったんです。今でもYouTubeで一緒にトークラジオとかをしているんですけど、高校時代よく「俺たち(東京に)行くしかないっしょ」って話してたんです。本当に自分がやりたいことや、自分が好きなことはその友達ぐらいにしか言ってなかったんです。だから、背中を押してくれる唯一の友達でした。

 

 

 

【川崎鷹也と薄井賢也の休み時間】第1回

 

 

 

──ということは、ご両親も驚かれたんじゃないですか?

 

めちゃくちゃキレられました(笑)。高橋優さんの「少年であれ」っていう曲を聴いて、東京に行こうって決意して。「高校卒業したら東京に行く」なんて、親にも相談したことがなくて。音楽が好きなことや、歌を歌いたいということも一度も言ったことがなくて。母親はすごいビックリしてました。父親は「お前が決めたなら行け」みたいな感じでしたね。「でもそんな甘くはないけどな」みたいな(笑)。

 

──実際に東京に出て、音楽の専門学校に入られたそうですが、いかがでしたか?

 

周りの人たちはライブをやっていたり、オリジナル曲を持っていたり、そういう人たちばっかりで、僕は井の中の蛙みたいな感じでしたね。専門学校ではすごい悔しい思いをたくさんしたし、まだまだダメだなと思いました。でも、そこで出会った音楽仲間は、今でも何人か親交がありますよ。当時バンドも組んだし・・・。すぐに解散になりましたけど。

 

──ご自身で作詞や作曲をするようになったのはどのタイミングでしたか?

 

専門学校の授業の一環でオリジナル曲を作るっていう、思えばすごく雑な授業があったんですけど(笑)。それがきっかけです。その時初めて作った曲が、今でもたまにライブでもやる、「はじまりの詩」です。

 

 

 

川崎鷹也「はじまりの詩」

 

 

 

──初めて制作された楽曲が最初から形になっていたんですね。川崎さんの楽曲制作スタイルはどういう感じなんでしょう?

 

僕は詞先でも曲先でもなくて、曲とコードと歌詞が一緒に出てくるんです。だから歌詞が最初にできるとか、曲が先にできるということがなくて、どっちかで悩むっていうことがないんです。ギターを弾いて、そこで思い浮かんだメロディには歌詞が乗っかっている状態なんです。

 

 

 

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