コロナ禍でのライブハウスの再起をかけて神戸から発信された、無観客ライブ配信サーキットフェス『ライブハウス ジャッジメント in KOBE』(https://judgement-kobe.com/)が6月21日(日)に開催された。CHICKEN GEORGE、VARIT.、太陽の虎、ART HOUSEと、普段はライバル同士と言える神戸市内4店舗のライブハウスが手を取り合い、実現したこの配信フェス。4月にWIZYで公式グッズ販売プロジェクトを展開(https://wizy.jp/project/476/)してから2カ月、神戸に縁深い全33組ものアーティストが出演、事前収録や生配信でのライブ映像を神戸から発信!モニターを通して伝わってくるアーティストの熱演と熱いメッセージ、ぜひ、最後まで読んでほしい。

 

 

 

彼らがいてくれるから前に進めたし、その気持ちに拍車をかけてくれたのが、ご支援いただいた皆さんでした

 

 

 

13時開演。実際のサーキットフェスさながらのタイムテーブルが組まれ、4会場を行き来しながら配信ライブを楽しむことが出来た今回。「CHICKEN GEORGE」のトップバッターは、Paparazzi Panic。仄暗い照明の中、一音一音を噛みしめるようにゆっくり力強くライブが始まると、骨太なサウンドと感傷的な歌声で観る者を引き込む。「太陽と虎」ワタナベフラワーが楽しく賑やかなステージで幕開け。会場の移動時間が無いので、ザッピングしながらどちらのライブも観ることが出来るが、同時に観ることが出来ないのが悩ましい。

 

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ART HOUSE店主西本氏とPaparazzi Panic

 

13時半、「VARIT.」は4人組アイドル・KOBerrieS♪で華やかにスタート。抜群のカメラワークは目の前でスカートがなびくような臨場感があり、ライブハウスだと見逃してしまうふとした表情も確認出来る。「ART HOUSE」ではalcottが「めちゃくちゃ久しぶりのライブです」とステージを思い切り楽しみ、アグレッシブなライブを展開。サーキットフェスならではのバラエティに富んだラインナップ、会場にいるような錯覚に陥る臨場感、観ようと思ったら全てのアクトが楽しめる配信ならではの利点など。ライブハウスで生で観るのが一番良いのは当然だが、配信には配信の良さがあることを早くも実感。

 

 

 

【前夜祭】「THE NEATBEATS」〜BROADCAST SHOW TIME〜 “ROCK’N’ROLL DELIVERY”

 

 

 

ヘヴィなサウンドと激しい歌とダンスに、振り付けを合わせるフロアの光景が見えた気がした82回目の終身刑。弾き語りで自身の世界観をしっかり構築した谷川正憲(UNCHAIN)と、モニタをはみ出すほどの爆音とハイテンションなステージで圧倒したHEREはこの日、出演予定だった「ネコフェス」への想いも背負った素晴らしいアクト。堂々としたステージングでライブハウスに爽やかな風を吹かせた17歳のラップアーティスト・さなり、全身全霊の歌と演奏で熱いメッセージを届けたソウルフード、キュートにパワフルに痛快なロックンロールを鳴らしたTHE TOMBOYSと個性溢れるアーティストのアクトに、神戸って面白いなぁ!と改めて思わされる。

ライブハウスへの熱い想いを語りながら、モニタの前で観覧するオーディエンスに熱いメッセージを届けるべく、渾身のライブを展開した各アーティスト。無観客配信ライブという特殊な環境ながら、ステージに立てる喜びを全力で表現するステージはモニタ越しでもエネルギーが伝わってきたし、何度も胸を熱くさせられた。さらにアーカイブも利用すると全てのライブを観ることができるということもあり、知らなかったアーティストや初めて観るバンドのライブが観れたことも嬉しい。配信だけでなく、好きになったバンドや気になったアーティストのライブを生で観るという楽しみが出来た。

 

ソウルフード

ソウルフード

 

19時半、森重樹一がアコギの弾き語りで登場。ライブハウスの思い出や

神戸への想いを熱く語り、たくましく伸びやかな歌声を聴かせたZIGGYと、まさに裸一貫で全身に汗をかきながらフロアに降りて<音楽は魔法 ライブハウスは奇跡>とシンガロングを呼びかける姿に感動してしまったクリトリック・リスのライブのどちらを観ようか悩んだり。モニタを見やすいように椅子を配置し直して、我慢出来ずにビールを開けたりと配信フェスを満喫していると、早くもフェスは終盤戦。

 

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「CHICKEN GEORGE」のトリを務めたのは、セックスマシーン!!。1曲目の<俺、ライブハウスが好き好き>と歌う「サルでもわかるラブソング」から異常なハイテンションで始まり“圧倒的な存在感”を放つと、「あんたのおウチをフェスティバルにしてやる」とカメラ越しにコールや振り付けを煽り、ライブハウスとの距離を感じさせないパフォーマンスで魅了。ライブ後半は森田(Vo&Key)がライブハウスを飛び出し、向かいにある生田神社にライブハウス再起祈願のお参りに行くというめちゃくちゃな展開でモニタ前のオーディエンスを笑わせる。最高!

 

「太陽と虎」のトリはドラマチックアラスカ。「悲しいことを考えたらキリが無いから」と、自粛期間を音楽にあてて前向きに過ごしたことを語り、溜め込んだエネルギーを放出する渾身の歌と演奏で魅せると、「あの湿度とか匂いとか拍手とか、やっぱり恋しいわ!」と本音をこぼした「ファイナルフラッシュ」で<君は最後の光>と願うように歌い、胸を熱くさせる。

 

 

 

【ジャッジメントKOBE】ライブハウスの仕事 〜照明とクロマキー撮影の裏側〜

 

 

 

「ART HOUSE」のトリは本来ならばこの日、自身主催の『ネコフェス』を開催する予定だったアルカラ。「瞬間 瞬間 瞬間」で勢いよく始まり、一曲一曲にたっぷり気持ちを乗せた激情のステージは圧巻。「同じ時代、一緒に闘ってるみんなにこの歌を」と始まり、希望ト愛しい明日を祈るように歌った「未知数2」でしっかりステージを締めくくった。

 

ライブハウス組み合わせ写真

 

アルカラと同時刻、「VARIT.」に登場したのはKNOCKOUT MONKEY。<答えの出ない不安がここにもあって>と現状を歌うようなミディアムなナンバー「realize」で共に闘う仲間にエールを送ると、「久々にライブ出来んぜ!」と「HOPE」の突き上げるビートに希望を歌う。ライブハウスの爆音を思い切り楽しみ、フロアまで使って自由にパフォーマンスする姿が痛快だった彼らのステージ。「こんなもんじゃロックバンドもライブハウスも潰れない。ここから新しいもんが生まれていくから」のw-shun(Vo&Gt)の言葉も実に頼もしかった。そして他会場のアクトが終了した後、「VARIT.」にこのフェスの大トリとして殴り込み生配信で登場したのはKING BROTHERS! のっけからテンション全開、これぞライブハウス!と嬉しくなってしまう爆音とシャウトで観る者の心を震わせた彼ら。鬼気迫る圧巻のパフォーマンスと最高のロックンロールで、「ライブハウスジャッジメントin KOBE」を見事に締めくくる。熱演するメンバーにギリギリまで迫るカメラワークも匂いや熱気まで伝わってくるようで、ライブハウスから届ける配信ライブのひとつの完成形を見た気がした。

 

 

 

【緊急生配信】6.21 #ライブハウスジャッジメント 決起集会〜ライブハウスマンジャッジメント〜

 

 

全33組のアクトが終了した後は、4店舗のライブハウスの代表が揃って乾杯。

初の試みながら、しっかり手応えを感じたであろう4人の表情は明るく、7月からガイドラインを引きながら各店舗の営業を再開することも宣言した。

 

当初4月開催予定だった「ライブハウスジャッジメント in KOBE」だが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言、休業要請発令を受けて急遽6月21日(日)開催へ延期となった。WIZYのプロジェクトサイトには、「温かいメッセージなども沢山いただき、実施に向けて取り組んでいる際にも実施の中止(延期)を決断する際にも、とても大きな力となりました」という、主催者からの感謝の気持ちが掲載されている。

「新型コロナウィルスにより営業できない日々の中で、今回のプロジェクトを通じてライブハウスを愛する皆様の想いを改めて感じ、そして、クラウドファンディングによるご支援、本当にありがとうございました!ともかくこんな時こそ明るく、元気に!と企画を立ち上げましたが、1人になるとツライことの、なんと多いことか。チキンジョージのマサルさん、太陽と虎の風次、ART HOUSEの昇平、彼らがいてくれるから前に進めたし、その気持ちに拍車をかけてくれたのが、ご支援いただいた皆さんでした。」(神戸VARIT.代表 南出渉氏)

ライブハウスのことを気にしてくださったり、愛してくださったり、応援してくださる方が、こんなに多いと思っていなかったとも語る南出氏、ライブハウスやアーティスト、音楽ファンにとっては長く辛い自粛期間だったが、配信ライブという強力な武器も手に入れ、ライブハウスが新しいスタートを迎える。たくさんの人にとって、不急かも知れないけど絶対に不要ではないライブハウスという場所。この日出演していた多くのアーティストが口にしていた“俺たちの居場所”を死守するため、これからもライブハウスは闘い続けるだろう。

 

神戸4ライブハウスより感謝と愛をこめて

神戸4ライブハウスより感謝と愛を込めて。

 

 

 

(文:フジジュン)

 

 

 

 

神戸ライブスケジュール

 

【ライブハウス ジャッジメント in 神戸】

https://judgement-kobe.com/

■開催日:2020年6月21日(日)

■開演:13:00 / 終演:22:00(予定)

■会場:CHICKEN GEORGE / 神戸VARIT. / music zoo 太陽と虎 / ART HOUSE

■出演アーティスト:アルカラ/alcott/iTuca/今村モータース/オテモトチョップスティックス/ofulover /門脇更紗/クリトリック・リス/ KOBerrieS♪/the cibo/THE TOMBOYS/さなり/The Songbards/ZIGGY/Slimcat/セックスマシーン!!/ソウルフード/ダウト/谷川正憲(UNCHAIN)/匿名ミラージュ/ドラマチックアラスカ/南蛮キャメロ/にこいち/KNOCK OUT MONKEY/82回目の終身刑 /Paparazzi Panic/浜端ヨウヘイ/HERE/平松愛理/folca/ベルマインツ/ワタナベフラワー/(殴り込み生配信)KING BROTHERS

■撮影・配信協力:CINEMA-EYE

■調査協力:関西国際大学

協力:Kiss FM KOBE / ラジオ関西 / スペースシャワーTV / ネコフェス

協賛:神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校 / KIRIN / 神戸ウォーター

https://twitter.com/livehouse_jm

 

 

 

WIZY【ライブハウスジャッジメント in KOBE クラウドファンディング】

ライブハウス4店のロゴをデザインした記念ラバーバンド、缶バッジ、記念ジャガードタオル、主催者側からの感謝メッセージなどのアイテムを販売。

https://wizy.jp/project/476/

■日時 2020年4月8日(水)~4月19日(日) (終了)