存分に自分と向かい合ってもらえたら嬉しいです

 

 

 

――今回、作成されたプレイリストについてもお聞きしたいです。daisanseiというバンドの曲を選ばれているのが印象的でした。若い新しいバンドなので、余計にプレイリストの中でも目立つというのもあるんでしょうけど。

 

こうやって並べるとdaisanseiが気になって聴く人多いですよね!? daisanseiから御礼を言われても良いですよね(笑)。何で選んだかというと、今このような状況で一番ライブが出来ないのは誰だろうと考えた時にロックバンドだと思ったんです。じゃあ、そのロックバンドを聴いたら、自分の気持ちがエモくなるかなと考えて、色々聴いていった中で出逢ったのがdaisanseiです。声が好きなのもあるし、聴いたのも晴れた日だったんですけど、日曜日のお昼に聴きたい曲ですね。なかなか外に出れない状況が続いているので、遠出ではなく、散歩の時とかにお薦めです。

 

――ベスト盤にも収録されている、「最初のグー」もプレイリストに入っていますね。

 

今回のプレイリストテーマが「シチュエーションベスト」なので、それでいうと自分の曲の中で唯一泣けるのが「最初のグー」なので、“泣けるベスト”として選びました。この曲は、自分の曲じゃないみたいな曲です。私は、この曲の主人公みたいな人間じゃないので、こういう人になりたかったという憧れがいっぱい詰まっているんです。友達、家族、恋人とかを100%信じている人の曲というか…。私は自分の事を深く掘り下げるのは好きですけど、自分がなりたいと思うものを形にするのは苦手で。これがやりたいと思う反面、これが出来ないが付いて回るんです。ミュージシャンも最初は憧れの存在だと思っていたのが、途中で、その憧れと自分が乖離していって、だから演じるしかないと思ったんです。それでカタカナのヒグチアイと漢字の樋口愛をすり合わせていったという…。

 

――その話を聞くと、余計に今回のベスト盤に「樋口愛」というタイトルを付けられたというのは感慨深いですね。

 

本当にタイミングですよね。今じゃなかったら、このタイトルは付けられなかったかも知れません。すり合わせは本当に難しかったですし、プライベートの樋口愛を嫌いになってコンプレックスも増えていきました。憧れと乖離するのは苦しいですけど、何かしらの憧れでありたいと思う気持ちもなくさないようにしようと思えました。そう思えるまで3、4年かかりましたけど。

 

 

 

ヒグチアイ「わたしはわたしのためのわたしでありたい」

 

 

 

――プレイリストの中で玉置浩二さんの「NO GAME」という曲は、何故選ばれたのでしょうか?

 

このコロナ渦における期間、本当によく聴いた曲なんです。私、初めて買ったCDが安全地帯なんですけど、玉置さんがソロになってからだと『JUNK LAND』(97年発表)というアルバムが好きなんです。もう本当に尖り過ぎていて、こんな事をCDでやるんだというくらいにエネルギーが凄くて…。

 

―そこ対しての憧れもありますか?

 

めっちゃ憧れています。玉置さんみたいになるのは無理だと思ってますけど(笑)。私は玉置さんみたいに前に向かう力はあんまりないですし、どちらかというと人に後ろから押してもらっている方なので。でも、私が誰かを押す力はあると思っていますし、私のやる事は、そっちかなと考えています。

 

――最後に、このベスト盤をきっかけにヒグチさんを初めて知る方もいると思いますし、今までヒグチさん聴いてきた方も含めて、みなさんにメッセージを頂けますでしょうか。

 

自分の事に向かい合うのは大変ですけど、どこかのタイミングでは、そういう時間も必要だと思うんです。今じゃなくても、いつかそういう気持ちになったら、なにかヒントになる曲が、このベスト盤にはあるのかなと。是非聴いて頂いて、存分に自分と向かい合ってもらえたら嬉しいです。

 

 

 

(取材・文:鈴木淳史)

 

 

 

 

▼ヒグチアイが生活の中でのさまざまなシチュエーションに聴きたい曲をセレクト!

『ヒグチアイのシチュエーションベスト』はこちらから

dヒッツ:https://dhits.docomo.ne.jp/program/10021530

 

楽曲:「メーデー」 BUMP OF CHICKEN (前向き)/「NOW PLAYING」 AL (朝の電車)/「ショッポ」 daisansei (最近)/「エトセトラ」 ONE OK ROCK(バス)/「閃光少女」 東京事変 (ライブ前)/「パブリック」 Mrs. Green Apple(横断歩道)/「NO GAME」 玉置浩二 (事務作業)/「カウント10」 竹原ピストル (曲が書けない)/「海と山椒魚」 米津玄師 (雨の日)/「最初のグー」 ヒグチアイ(行き道)

 

▼ヒグチアイ『樋口愛』 はこちらから

レコチョク:http://recochoku.jp/album/A1014310291/

dヒッツ:https://dhits.docomo.ne.jp/artist/2000029916

 

▼ヒグチアイBEST ALBUM『樋口愛』

2020.9.2 release

  1. ココロジェリーフィッシュ [NEW REC] 2. 前線 3. 東京 4. まっすぐ [NEW REC]
  2. わたしのしあわせ 6. ラジオ体操 7. 猛暑です – e.p ver – 8. 八月[NEW SONG]
  3. 黒い影[NEW REC]10. わたしはわたしのためのわたしでありたい
  4. 最初のグー12. 備忘録 13. 東京にて [NEW SONG]

https://www.higuchiai.com/bestalbum

 

▼LIVE

HIGUCHIAI

band one-man “BEST” tour 本人 [振替公演]

2020年9月22日(火祝) 東京 Veats Shibuya

open 19:00 / start 20:00

info:SOGO TOKYO http://www.sogotokyo.com/

 

▶88名限定指定席 https://eplus.jp/higuchiai922/

 

▶配信視聴チケット(ライブ&アーカイブ) https://eplus.jp/higuchiai922st/

 

 

 

  • ヒグチアイ

    ヒグチアイ

    平成元年生まれ。シンガーソングライター。
    生まれは香川、育ちは長野。2歳のころからクラシックピアノを習い、その後ヴァイオリン・合唱・声楽・ドラム・ギターなどを経験、様々な音楽に触れる。
    18歳より鍵盤弾き語りをメインとして活動を開始。
    2016年、1st ALBUM『百六十度』でメジャーデビュー。
    これまでに培った演奏力と、本質的な音楽性の高さが業界内外から高い評価を受け、「FUJI ROCK FESTIVAL」「RISING SUN ROCK FESTIVAL」など大型フェスへの出演も果たす。
    まっすぐに伸びるアルトヴォイスと、言葉を持つような鍵盤の旋律が、圧倒的な説得力を持って迫る。叱咤激励にも似たその歌声は、老若男女問わずじわじわと中毒者を増やし続ける。

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