左から→阪井一生 (Gt)、小倉誠司 (Dr)、山村隆太 (Vo)(※尼川元気 (Ba)は撮影時、体調不良のため欠席)

 

flumpoolが5月26日(水)に待望のニューシングル「ディスタンス」をリリースする。作詞を担当する山村隆太(Vo)が特にコロナ禍で感じたことを中心に作詞したというシングルだが、今作のリリースを記念してインタビューを実施。楽曲に込めた想いや制作時のエピソードを中心に話を聞いた。さらに今回、「空間の音楽」と題して、flumpoolにプレイリストを作成してもらったので、是非そちらも合わせてチェックしてほしい。

 

普段のツアーとはまた違うところでの感動が起こるので、特別なライブになっているなと思います

 

──現在flumpoolは、アルバム『Real』を引っ提げての全国ツアー中ですね。このコロナ禍で途中、延期や振替もあり、今まで経験したことのないようなツアーを経験されていると思いますが、いかがでしょうか?

 

山村隆太 (Vo):ライブをやる側としても、いろんな立場の視点があると思うんです。今はライブに行かないという人もいれば、動ける人が動くべきだ、という人もいて、僕らは後者の方の考えをもってツアーに出てるんですが、やっぱり空席が目立ったり、来たくても来られない人の多さを目の当たりにすると、みんなに会いたいなぁ、という気持ちがどんどんつのります。幕が開いた瞬間、泣いてる人も多かったりするんですよ。普段のツアーとはまた違うところでの感動が起こるので、特別なライブになっているなと思います。

 

小倉誠司 (Dr):もちろんライブが出来るということも嬉しいんですけど、やっぱり実際にお客さんと顔を合わせて会えるっていうことが何より嬉しいことなんだなということを実感しました。不要不急と言われているエンターテインメントの中で、僕はこうしてツアーをやってきて良かったなと思います。ライブを観に来てくれたり、僕らの音楽を聴いて、辛いときだけど頑張ろう、って思ってくれる人たちが少なからずいると信じているので、まだ少しツアーも残っていますが、最後まで自信をもってやっていきたいです。

 

尼川元気 (Ba):僕はちょっと真逆なことを言ってしまうんですけど…個人的には全然面白くない(笑)。

 

──お客さんは声を出せない状態ですからね。そういう面では、その意見も真実ですね。

 

尼川:うん。お客さんの声を求めてたんやなって気づきました。だいぶ慣れてきましたけどね。でも、なんか物足りない。今まで自分たちがライブをやっていると思ってたけど、お客さんからもらっているものも半分以上あったなって感じました。だから、ずっとライブ中も冷静でいるんですよ。今まではこっちが発したものがお客さんから返ってきて、そのやり取りの中でテンションが上がってたんですけど、今はもう、どれだけ音にのめり込むか、という感じで。シャドーボクシングをしてるような感じですよ。

 

阪井一生 (Gt):僕もなかなか慣れないですね。声も出せないし、特にMCが難しいんですよ。何言ってもすべったようになるし。前回めちゃくちゃスベったな。

 

尼川:大分? 笑い声OKやったのに、スベってたよね(笑)。

 

阪井:もう、ずっとスベり続けてますよ。永遠に空振りし続けてます。

 

──今作のタイトルである「ディスタンス」という言葉は、このコロナ禍で何度も聞いた言葉ですが、この状況の中で生まれた楽曲でしょうか?

 

山村:そうです。この3曲の中で、時系列で言うと「ディスタンス」が一番新しい曲なんですが、こういう歴史に残るようなパンデミックの中で、そこをやっぱり避けては通れない。その中でツアーを回っていたということも、大きく影響しているんじゃないかなと思います。

 

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──その中でどんなことを考え、歌詞に反映させていかれたのでしょうか?

 

山村:人と人の間で感染されるウイルスであるからだと思いますが、やっぱり人と人との距離感みたいなことをすごく考えさせられました。それがそのまま「ディスタンス」の歌詞になったところもあって。たとえば両親や大切な人に会えないという時間を過ごす中で、そこにすごく支えられてきた自分を改めて知ることになった。それって、コロナ禍で誰もが感じたことなのかなと思っていて。そういう意味では、物理的には距離が空いてしまったけれど、心の距離は縮まったという人もいるし、逆に会えていたのに遠くなってしまった人もいる。

歌詞に込めたメッセージとしては、大切な人はもっと大切だと思ったし、このコロナ禍を機にもっと近寄りたいと思ったけど、大切な人を傷つけないために離れるということも、今の世の中では優しさだと知った。いつかこれを乗り越えた時には、もっと深いところで繋がり合えたらいいなという思いを込めています。

 

──阪井さんは、どんな想いで「ディスタンス」を作曲されたのでしょうか?

 

阪井:もともと2曲目の「フリーズ」が昨年末に出来ていて、それをシングルにしようという話になってたんですよ。だけど良くも悪くもflumpoolらしい楽曲だなと思って。個人的になんですけど、一年振りのシングルなのに、なんかちょっと攻め足りてない気がして、もうちょっと攻めた曲を出したいと思ったんですね。とことん攻めたいなと思ったので、「これをシングルにするんじゃなくて、もう一曲作っていい?」ってメンバーに話しました。

なので、この曲は、ヴォーカル以外レコーディングしてなくて、全部打ち込みです。なんならギターもサンプル音源を使ってるぐらい。それぐらい全部打ち込みで構成して、今っぽい、攻めた曲にしました。山村が一番歌いづらいやろうな、っていうような曲になりましたね(笑)。

 

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──山村さんが歌いづらい感じの曲にしたということですが(笑)。

 

山村:難しかったですね。flumpoolは今まで歌謡曲のようなメッセージ性を大事にしてきたので、それとは違う、洋楽っぽいリズムだったりを楽しんでもらうことを第一優先にした曲にしないといけないかなと思ったので、言葉選びが難しかったですね。ちょっと英語っぽく聴こえるようにしたり、のっぺりしない言葉選びにすごくこだわりました。

 

──ヴォーカルも、ちょっと色気のあるセクシーな感じですよね。

 

阪井:声を張り上げるというよりも、今の洋楽っぽく歌ってほしかったんですよ。ジャスティン・ビーバーになってほしかったんですけど、12時間かけても無理でした。

 

山村:到底無理やろ(笑)。僕はどっちかというと「フリーズ」みたいな、エモーショナルに張り上げる方が得意なんですけど、この曲は遠くに飛ばすというよりも、近くの人に寄せる声というか。遠くに叫ぶというより、身近な人に届ける感じは、まさに今っぽくていいんですけど、難しかったです。

 

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──クレジットはUTAさんと連名になっていますが、共作という形ですか?

 

阪井:コライトみたいな感じでトラックを作ってもらったんです。アルバム『Real』の中でも2曲一緒に作ったんですけど、コライトって自分にないものが出てくる面白さがあって、僕が作りたいと思った音楽性が、UTAさんの持ってるものだったので、今回もお願いしました。

 

──レコーディングでは演奏していないと言えど、ライブでは演奏することになりますよね。

 

小倉:ちょうどこの後リハーサルがあって、まさにそれをやるんですよ。打ち込みとバンドサウンドとの融合というところで、どうしようかなと悩みながらやろうと思っています。打ち込みの曲からバンドサウンドにもっていくっていうのは難しい部分でもありますけど、楽しい作業でもあるので。それで「ディスタンス」という曲がどういう表情を見せてくれるのか、楽しみです。

 

──尼川さんはいかがですか?

 

尼川:一緒です。まったく一緒です(笑)。

 

──わかりました。2曲目の「フリーズ」はアニメ『セブンナイツ レボリューション -英雄の継承者-』のオープニング主題歌としての書き下ろし曲とのことですが、番組サイドからの要望などは何かあったんですか?

 

山村:歌詞に関してはストーリーをもらった程度だったんですけど、曲に関してはけっこうあったよね。

 

阪井:ストリングスとか、わりと僕らが得意とするワードが多かったので、flumpool感を全面に押し出しました。最初はもっとストリングスが軸になっていたんですけど、最終的によりバンドっぽくなりましたね。

 

──アニメの公式サイトに「自然に変わるよりも、自分の力で変わりたい」という山村さんのコメントがありましたが、そういうところを歌詞にしていかれたのですか?

 

山村:そうですね。この一年、すごく他の人の目を気にしながら生きていたと思うんです。それが日本人の良さでもあり悪さでもあるな、ということをより感じたと思うんですけど、人の目を気にしすぎるあまりに見失うものもあるんじゃないかなと思っていて。時代の変化に飲み込まれずに、自分の力で動き出していくことが大事なんじゃないかなと思った時に書いた曲です。

 

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