意外とブレてないというか、やりたいことはあまり変わってないのかなって
──今回ベスト盤を作るにあたって、いろいろと振り返ることも多かったのではないかと思いますが、自分自身の転機になったなと思うのはどの曲ですか?
久野:僕は「小さな食卓」です。このバンドの何が強みなのかとか、どこを目指すべきなのかっていうのが、この曲ができた時にちょっとわかった気がして。メジャーで出すってなった時に作ったうちの一曲なんですけど、なんかメジャーが見える気がしたというか、そういう思いがなんとなくあります。
飯田:どれもいい曲なんですけど、「望郷」ですかね。高校の同級生で岐阜でバンドを組んで、ジャケットに岐阜城や金華山も入ってすごく思い入れもあるし、自分らの地元のことや東京で進んでいく決意みたいなことを歌っているので。いつも自分たちの歌で前に進めたり、力をもらったりしているんですけど、この曲は特にそれを感じました。
三島:僕は「白い砂漠のマーチ」。これはインディーズのかなり後半に作ったんですけど、それまではやっぱりどこか“プロとして大丈夫かな?”っていう感じがあって。もちろんかっこいいバンドだなっていう自信はあったんですけど、今考えるとわりとふんわり曲を作っていたと思うんです。なんとなく“これはかっこいいんだよ”みたいな気持ちだけでやっていたのを整理したというか、初めてこの曲で僕の脳内で鳴ってる音がそのまんまバンドで出せた感覚があって。そういう感じって、今でも数曲しかないんですよ、実は。だから、この曲はいまだに自分の中で基準値になってます。これを超えられるかどうか、みたいなところで曲を作ってるところがあります。
辻:僕は「想像力」。これはレコーディングに関してなんですが、それまでのレコーディングではあんまり自分の出したい音をうまく出すことができなかったんですけど、「想像力」が入っている『Blue,under the imagination』というアルバムぐらいから、自分の出したい音でレコーディングができるようになってきたかなと思います。
──これまでの活動の中で、変化したところや、逆に変わってないところはどういうところですか?
三島:いい加減おっさんになりつつあるので(笑)、個人としてはメンタリティは相当変わりましたけど、バンドとしてはどうなんでしょうね?
久野:今回曲を並べてる時に自分たちの曲をいっぱい聴いたんですけど、意外とブレてないというか、やりたいことはあまり変わってないのかなって。もちろん表現方法は変わってますけどね。若干、外に向いたかなと。初期の頃は内に向いてたところがあったんで。
三島:たぶん、こういう感じにしかやれないんでしょうね。例えば「YOUR SONG」はプロデューサーさんも入って、ドラマのタイアップだからめちゃくちゃ外に向けてやろうぜって作った曲でしたけど、並べてみたら別に浮いたりしなかったし。今考えると、頑としてこれはやり続けるんだっていう話をしたこともたぶんないしね(笑)。“これはちょっとダサいよね”っていうラインは共有してると思うんで、音楽性に関しては自然とそこには踏み込まないようになってるんじゃないかなと。ただ10代で始めたバンドがもう30代になってるんで、環境も変わってるし、付き合う人も変わっているし、始めた頃と同じようにはやっぱりならないですよね。周りの同世代のバンドがどんどんやめたり、新しいバンドが出てきたり、そうすると自分たちがどういうバンドなのか俯瞰で見ちゃう瞬間が増えてくる。そうすると昔のようにただ猪突猛進にやればいいっていうわけでもないし、長く続けたいとか、そういうことを考えながらやってる時間は増えたんじゃないかなと思います。
背中を押してくれるものがないとやれないことがある(笑)。そういう時に力をもらうのはやっぱり音楽なんで
──なるほど。ところで、先ほど飯田さんのお話の中に、自分たちの音楽で力をもらっているという言葉がありましたが、みなさんはリスナーとしてどういう時に音楽を聴かれますか?
飯田:普段からよく聴いてるんですけど、最近は走っている時ですかね。背中を押してくれるものがないとやれないことがある(笑)。そういう時に力をもらうのはやっぱり音楽なんで。イヤホンつけてないと日常生活が送れないぐらいになってるんで、ずっとつけてますよ。
久野:俺は家事をする時ですね。無音で洗濯物を干してると虚しくなるので、そういう時こそ音楽を聴いてる。やりたくないことをやる時に、音楽を聴いてますね(笑)。
──まさしく背中を押してもらってますね(笑)。三島さんと辻さんはいかがですか?
三島:移動中とかずっと聴いてますね。最近は本を読みながら聴いてることが多いですけど。“音楽を聴いてる”と意識しないくらい聴いてますよ。もちろん曲を作っているから、アイデアを拾うっていうのもあるんですけど。いつも考えてますからね、音楽のことを。
辻:僕はやっぱり酒を飲みながらですね(笑)。
──そして11月からは全国ツアーがスタートしますが、どんなツアーにしたいと思いますか?
久野:まだセットリストも決めてないんですけど、おそらくこのベスト盤の中からやると思います(笑)。
三島:なんとなくこういうふうにしたいなっていうイメージはあります。あと國光くんも全公演にゲストとして来るので「斜陽」はやるでしょうね(笑)。
文:大窪由香
写真:平野哲郎
▼ベストアルバム『BEST OF THE SUPER CINEMA 2008-2011/2012-2019』はこちら
レコチョク:https://recochoku.jp/album/A2001570829/
dヒッツ:https://dhits.docomo.ne.jp/artist/2000026366
▼cinema staffが選んだ、「「c」から始まる好きなバンド selected by cinema staff」プレイリストが特別公開中!
dヒッツ:https://dhits.docomo.ne.jp/program/10019716
【ライブ情報】
◆全国ツアー「BEST OF THE SUPER CINEMA JAPAN TOUR」
2019年11月4日(月・祝)千葉・千葉LOOK
OPEN/START 17:00/17:30 TICKET¥4,000 D代別 Info : SMASH 03-3444-6751
2019年11月9日(土)大阪・梅田CLUB QUATTRO
OPEN/START 17:30/18:30 TICKET¥4,500 D代別 Info : GREENS 06-6882-1224
2019年11月16日(土)東京・渋谷CLUB QUATTRO
OPEN/START 17:30/18:30 TICKET¥4,500 D代別 Info : SMASH 03-3444-6751
2019年11月22日(金)北海道・札幌Mole
OPEN/START 18:30/19:00 TICKET¥4,000 D代別 Info : WESS 011-614-9999
2019年12月8日(日)福岡・福岡Queblick
OPEN/START 17:00/17:30 TICKET¥4,000 D代別 Info : BEA 092-712-4221
2019年12月15日(日)埼玉・西川口Hearts
OPEN/START 17:00/17:30 TICKET¥4,000 D代別 Info : SMASH 03-3444-6751
2020年1月11日(土)兵庫・神戸 ART HOUSE
OPEN/START 18:00/18:30 TICKET¥4,000 D代別 Info : GREENS 06-6882-1224
2020年1月13日(月・祝)香川・高松DIME
OPEN/START 17:00/17:30 TICKET¥4,000 D代別 Info : DUKE 087-822-2520
2020年1月18日(土)宮城・仙台MACANA
OPEN/START 18:00/18:30 TICKET¥4,000 D代別 Info : GIP 022-222-9999
2020年1月31日(金)愛知・名古屋CLUB QUATTRO
OPEN/START 18:30/19:30 TICKET¥4,500 D代別 Info : JAILHOUSE 052-936-6041
◆ホールワンマンライブ「two strike to(2) night 〜覚醒の三茶編〜」
2020年3月28日(土) 昭和女子大学人見記念講堂
OPEN/START 16:15/17:00 Info : DISK GARAGE 050-5533-0888
2019年09月18日発売ベストアルバム
『BEST OF THE SUPER CINEMA 2008-2011/2012-2019』
・DISC-1<2012-2019>
M1. 新世界(新曲) M2. 希望の残骸 M3. シャドウ M4. Name of Love M5. 望郷
M6. first song (at the terminal) M7. pulse M8. 小さな食卓 M9. into the green M10. 返して
M11. 奇跡 M12. Borka M13. HYPER CHANT M14. YOUR SONG M15. 切り札
M16. great escape M17. 西南西の虹 M18. theme of us
・DISC-2<2008-2011>
M1. AMK HOLLIC M2. チェンジアップ M3. 白い砂漠のマーチ M4. 君になりたい M5. daybreak syndrome
M6. AIMAI VISION M7. 想像力 M8. 火傷 M9. GATE M10. 制裁は僕に下る
M11. シンメトリズム M12. バイタルサイン M13. skeleton M14. 優しくしないで M15. 第12感
M16. KARAKURI in the skywalkers M17. 海について M18. 斜陽(新曲)
※各記事に記載されている内容は公開時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。
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cinema staff
オルタナティブ、エモ、ポストロックに影響を受けたセンス溢れるポップなメロディと、それとは対照的な直情的で衝動性の強い攻撃性を持ち合わせたギターロックバンド。
そして、「グラマラスボディ」と言うより「グラマラスバデー」と言った方がグラマラスさを損なわず、見え隠れする下心のようなものを軽減させることが出来るんじゃないのか?ということに気付いているけど口にはしない4人組。
耳を切り裂くような轟音なのか?小鳥の囀りのように澄んでいるのか?速いのか?ゆったりなのか?複雑なのか?ストレートなのか?…あれ?お前ひょっとして、泣いてるのか…?
そんな揺さぶりをかけながらもキャッチーな気持ちはいつも胸の中にあるギターロックバンド。