2016年にメジャーデビュー後、異彩を放ち続け注目されているPassCodeが、12月23日に遂に3rdアルバム『STRIVE』をリリースする。そこで、今回レコログではPassCodeメンバーに独自インタビューを行った。本作に込めた想いについてはもちろんのこと、2020年を振り返って思うことや音楽観などについても語ってもらった。彼女たちがPassCodeに込める想いがひしひしと伝わってくる内容になっているので、是非最後まで読んでほしい。
「この1年があったから、その後のライブが良くなった」とみんなに言ってもらえるようにしていきたい
――メジャー3rdアルバム『STRIVE』をリリースするPassCode。まずはコロナ禍で思うように活動が出来なかった、2020年を振り返っていかがでしょう?
南菜生:2020年1月に新木場スタジオコーストで行ったライブで、「2021年に武道館でライブをやりたい」と表明させていただいて。武道館に立つためにこの1年をどう動いていくか? どう変わっていくか? を年頭には思い描いていましたが、それが上手にできなくて、ライブができないことへの焦りはありましたね。でも、だからこそ見えてきた、いまやらなきゃいけないということも多くて。最初こそマイナスに捉えていましたけど、いまは「この1年があったから、その後のライブが良くなった」とみんなに言ってもらえるようにしていきたいと、この状況もプラスに考えられることが多くなってきて。最近はメンバーでもそんな前向きな話をよくしています。

12月23日リリース3rdアルバム『STRIVE』のジャケット写真
――武道館に向けて一丸となって、というタイミングで、世が自粛ムードになってしまって。最初は焦りや状況をマイナスに捉えてしまうのも仕方ないですよね。
南:ずっとライブをやってきたし、ライブで私たちを知ってもらってきたグループなので。ライブが出来なくて、音楽が不要不急だと言われたら、「PassCodeとしての存在意義や、これまでやってきたことは何だったんだろう?」と思ってしまったり。それぞれが、いろいろ考えました。
高嶋楓:そうですね。最初はライブができなくてどうしよう? という気持ちはあったんですけど、コロナが少し落ち着いて、ライブができるようになってからは、PassCodeが今までやったことのない完全指定席みたいなライブも経験させてもらいました。「そこでもっと良く魅せるためにはどうしたら良いか?」とか、今までと違った考え方もできて、結果、グループとして、少しだけ成長できた時期にもなったと思います。
大上陽奈子:私も「今年はもっと多くの人にPassCodeを知ってもらおう」という気持ちで2020年が始まったのに、初めて出れるイベントやフェスも無くなってしまって。憧れのフェスに出れる予定だったので、もちろん悔しかったし、悲しかったんですけど。逆にライブの有り難さとか、できることが当たり前じゃないということにも気付けたのは良かったことかなと思います。ライブの時、以前はぐちゃぐちゃになっているフロアのお客さんに頼っていたところも正直あったと思うんです。でも、今は「どうやったらステージの上だけで楽しませるか」をチームで考えられるようになって、もし環境が戻ったら去年よりパワーアップしたステージにお客さんの熱が合わさって、前よりもっとすごいライブになるんじゃないかと思っています。
今田夢菜:私はこれまでずっと走り続けてきたので、正直少しホッとした部分もあったんです。ライブができない時期が「自分にとってのPassCodeとは何なのか」とかいろいろ考える期間にもなって、自分にとってもプラスになったと思います。
――2020年はライブこそできなかったですが、5月にリリースされたシングル「STARRY SKY」は東海テレビ・フジテレビ系全国ネット オトナの土ドラ『隕石家族』主題歌でオリコン週間シングルチャート1位を獲得されましたよね。ライブ感やカッコいい部分はしっかり残しながら、キャッチーさもあって。PassCodeを初めて知ってくれる人にもぴったりの曲になりましたが、リリースしての反応や感想はいかがでしたか?
南:ドラマの主題歌として書き下ろすのが初めてだったので、どんな曲になるのかな?って少し心配だったんですけど、イントロを聴いた瞬間に「これはPassCodeの曲だ!」と思えたし、それが毎週テレビで流れて、自分たちを知ってもらう機会になったのも嬉しかったです。たまたまこういうタイミングでリリースしたことで、「この曲に救ってもらえた」と言ってもらえることも多くて。PassCodeの気持ちがみんなに伝わる曲になったんじゃないかと思います。
大上:自粛期間真っ只中のリリースだったんですけど、話題性もあったし、ファンの方もドラマを楽しみにしてくれていたし、ドラマにも初めてみんなで出演させていただいて。あの時期に盛り上がれるキッカケになれたので、あのタイミングで良かったなと思います。
今田:私はドラマで初めて流れたのを見た時、「お~、流れてる!」って感動しました。あと、友達からも「これってPassCodeの曲?」ってLINEが来たり、おばあちゃんが曲が流れるのを毎週楽しみにしてくれていて。おばあちゃんに「すごい良い歌詞やな」って言ってもらえたのも嬉しかったですね。ライブでやってても、曲がしっかり伝わってることをすごく実感できています。
高嶋:PassCodeにとって初めての配信ライブも「STARRY SKY」があったからこそ、オンラインでもファンと触れ合えたと思いますし、それをキッカケにファンとの繋がりが強くなったので、自粛期間中もあの曲があって本当に良かったと思います。ライブで初めてやった時もすごくしっくりきたし、思っている以上にライブ映えする曲になりましたね。そして、自分にとってもすごく思い入れの深い曲になりました。
PassCode – STARRY SKY (Full Size)
――そして、「STARRY SKY」も収録されたアルバム『STRIVE』について教えてください。こちらもライブの風景が見える楽曲が揃ったカッコいい作品になりましたね。
南:PassCodeの曲はライブで育ててきたし、PassCodeはライブで育ってきたグループなので。今回のアルバムも激しい曲が多かったり、シンガロングが多かったりするんですが、いつも通りのライブが戻ってきてから、やっと曲が完成するんだろうなと思ってて。自分たちにとってもファンのみなさんにとっても、その日が来るのが楽しみになるアルバムになったと思います。「Anything New」はすでにライブでやってるんですけど、音源で聴くよりもライブでやる方が良くて。一緒に歌ったりもみくちゃになったりできないのに、すでにライブで成長してる感覚があって。もし、みんなが歌えるようになってライブでやったらどうなるんだろう ってワクワクしてます。「Anything New」はみんながスマホで歌ったシンガロングを募集して曲に使用したんですが、みなさんと一緒に歌わせてもらう企画をやったことで、未来への希望や道筋も見えてきた気もして、すごく良い曲になりました。
PassCode – Anything New
――今ライブをやってると、お客さんはマスクをしてるし、声も上げられないけれど、一緒に歌ってくれている声が聴こえる気がしませんか?
大上:そう、聴こえる気がするんです!
高嶋:うん。「ほんとは歌ってるんちゃうか?」ってメンバーで話したりするんですけど(笑)。心の声みたいなものが、フロアから聴こえてくるんです。
大上:自粛明け一発目にライブをやる時、「みんながマスクを付けてる姿って、どんな風に見えるんだろう?」と思ったんですけど、マスクを付けてても笑顔が漏れてるのが分かったし。マスク越しに楽しんでくれている気持ちや熱量がすごい伝わってきたんです。
南:あと、みんなが拍手の強弱で気持ちを伝えてくれるのが嬉しくて。
高嶋:MCで拍手の量が少ないと、「ウケてへんのかな」って分かるし(笑)。
大上:久々の曲とか、前みたいにイントロが鳴った瞬間に「オーーッ!」とはならないけど、拍手の大きさで伝えようとしてくれてるのが嬉しいし、可愛いんです(笑)。
――あはは。では改めて、『STRIVE』制作のエピソードなどを聞かせていただけますか?
今田:レコーディング期間中は覚えるのが大変で1曲1曲しっかり聴いて覚えたというよりは、自分のパートを覚えるのに必死でした。その時は想像もつかなかったんですけど、完成したアルバムを1曲目から順番に聴いていくと、どの曲も聴き応えがあって、歌詞が沁みる曲だったり、「ライブでやるとどんな風になるんかな?」って想像したくなる曲だったり。聴いていて飽きない曲ばかりだと思いましたね。
高嶋:メジャー1枚目のアルバムが『ZENITH』という攻めの曲が詰まったアルバムで、2枚目の『CLARITY』は1枚目があったからこそ出来た幅の広いアルバムです。そして今回のアルバムは、1枚目と2枚目のいいところ取りになってると思うし、ライブはできないけど、あえての攻め曲も多くて。初めて通して聴いた時は、「この曲順のままライブやりたい!」と思ったので、すごくライブが見える作品になったと思います。
――1st、2ndを経て、自分たちでも自信を持って制作に挑めたところもありましたか?
高嶋:そうですね。1枚目、2枚目で私たちも表現の幅が広がったし、だからこそ消化できた曲もあると思います。今回は展開が多かったり、今までにない転調があったり、英語の歌詞が詰まっていたり、結構難しいことにも挑戦したんですけど。出来上がった時には達成感もあったし、早くみんなに聴いて欲しい作品になったなと思えたんです。サウンドプロデューサーの平地さんにも「できることが増えてるからこそ、こういうことを求めているんだ」って言われて、このアルバムを作れて本当に良かったです。
南:1stアルバムのタイトルは「頂点」、2ndは「明快」って意味があって。3rdアルバム『STRIVE』が“努力する”って意味なんですけど、それがすごくPassCodeっぽいなと思いました。やってることは変わらないけど、作品を出すごとにいろんなことができるようになって。今作はいまのベストですけど、ここから努力することでもっといろんなことができるようになっていくのも感じさせる、未来への期待を感じさせるアルバムだと思います。レコーディングしている時は、「激しい曲が多いな」という印象だったんですけど、通して聴いたら、バランスの良さや聴き心地の良さもあって。自分でも何回も聴きたくなる、大好きなアルバムになりました。
大上:私も、完成した音源を全曲通しで聴いた時、制作の時から何回も聴いてたはずなのに「今までのアルバムで一番楽しいかも! このアルバム好きだな」って思いました。何作も作っていくうちに表現の幅も広がっているし、改めて発見することもあるし。聴き終わった後に次の作品が楽しみになる、未来のことが考えられるアルバムになったとも思います。
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