時に切なく、時に力強く、表現力豊かなボーカルで国内だけに留まらず、中華圏を中心に海外でも根強い人気を誇っている「リリィさよなら。」。
長期休養から再始動となり、新たに江嶋綾恵梨(ex. 26時のマスカレイド)とのコラボシリーズをスタート。その第一作「カランコロン feat.江嶋綾恵梨」のリリースを記念して、「レコログ」では、二人にインタビューを行い、今作に込めた想い、それぞれの今について話を聞いた。
いつか一緒にまた音楽をしたいと思っていた念願が叶いました
──「リリィさよなら。」さんが音楽活動を始めたきっかけや、影響を受けた楽曲・アーティストを教えてください。
リリィ:音楽に目覚めた頃、とにかく女性シンガーソングライターさんが好きで、作曲を始めた頃に影響を受けたのは、ファルセットの使い方は矢井田瞳さん、作詞は鬼束ちひろさんと宇多田ヒカルさん、コードの勉強は椎名林檎さんでした。
自分で作曲をしようと思ったきっかけは大塚愛さんです。僕が思春期の頃に大塚愛さんがデビューして、とんでもなく可愛かったんです。もう毎日学校から帰って大塚愛さんのMVを繰り返し見るのが楽しみでした。今思うと初恋でした(笑)。そんな可愛らしい方がご自身で作詞作曲もされてるという事実に衝撃を受け、だったら可愛くない俺が作詞作曲もしないで歌うのおかしくない?と思って始めました。
──アーティスト名の由来を教えていただけますか?
リリィ:アーティスト名についてはいくつか由来がありますが、夏目漱石の「夢十夜」の一夜目を読んでいただきたいです。多分伝わります。
──「こんな夢を見た」の書き出しが印象的な小説ですね。改めて読ませていただきます。2023年より活動を再開され、アーティスト名を「リリィ、さよなら。」から「リリィさよなら。」に変えられましたが、その理由を伺ってもよろしいでしょうか。
リリィ:これは、「リリィ、さよなら。」の点(、)を抜くと姓名判断的に縁起が良いそうで、そうしてみました。
──活動を再開されたきっかけや想いなどがありましたら教えてください。
リリィ:2023年にとにかく復活して走らなきゃと思い再開しましたが、まだその時は心も体も気力も回復していなかったので、さらに一年休んで、今年復活しようと思いました。正直もう音楽をやめることも何百回も考えましたが、ふと散歩してたり、スーパーを歩いていたりすると自然とメロディーが降ってくるんです。だから僕は音楽を作ることはやめられないなと。そんな嬉しくもせつない気持ちだった頃に江嶋(綾恵梨)ちゃんが「音楽をもう一度やりたい」という連絡をくれて、それがきっかけになりました。また音楽をするきっかけをくれた彼女には感謝しかないです。
──新しいアーティスト写真はイラストですね。
リリィ:イラストは、私の飲み仲間であり、ヲタク友達であり、大事な親友が描いてくれました。デザイナーをされてて、ももクロやBiSHのグッズも制作されている凄い方なんです。正直、友達の芸術家の方に個人的にこういう制作をお願いするのは悩みましたが、可愛いイラストを作ってくれて本当に感謝しています。
──活動再開後は楽曲をEggs Passから配信されていますが、Eggs Passを利用されることになったきっかけを教えてください。
リリィ:きっかけは、最初に僕のことを見つけてくださった当時のスタッフさんが現在エッグスで働かれているからです。とても愛があってアーティストの目線に立ってくださるスタッフさんなので安心して楽曲配信をお願いできました。
──久々のリリースとなった楽曲「指輪」は自身初のウエディング・ソングですね。
リリィ:「指輪」は高校生の時に親戚の結婚式用に作った曲なんです。僕の曲はせつない歌が多いので、今までのアルバムにはコンセプト的に入れられなかったのですが、時を経てようやくリリースできました。デジタル配信の賜物ですね。
♪リリィさよなら。 指輪
──SNSでは活動再開のお知らせに中国・香港の方からもコメントが寄せられていましたね。
リリィ:リリィはアジア圏ですごく聴いてもらってるんですよ。シンプルに楽曲が一人歩きしてヒットしたみたいでとても嬉しく思っています。国境を超えて聴いてもらえるというのは現代ならではですね。一度、上海にワンマンライブに行きました。現地のファンの方たちが日本語で一緒に歌ってくれた時は泣きそうになりました。最近はアニソンが世界中で愛される時代なので、いつかアニソンを歌ってまた世界を回るのが夢なんです。
──特に「約束」が人気があるそうですね。。
リリィ:「約束」はある意味「今」っぽくない王道の邦楽バラードです。人生で初めての失恋の直後に書いたので、もう歌詞も曲調もヘビーなんです。だからこんなに沢山の方に受け入れてもらえるとは思ってなかったので嬉しいです。アジアの著名な方達がカバーしてくれたのも大きかったです。先日、町の中華屋さんで食事してる時にカバーバージョンが流れてきました(笑)。もっともっと広がってほしいです。
♪リリィさよなら。「約束」
──そして、7月18日には先程、本格的に活動再開するきっかけになったという江嶋綾恵梨さんとのコラボ楽曲「カランコロン」がリリースされます。フィーチャリングに至った経緯をお聞かせください。
リリィ:江嶋ちゃんとは共通の音楽関係の知り合いが多く、彼女が「26時のマスカレイド」として活動を始めた瞬間から交流がありました。過去にも一緒にライブで歌ったこともあります。音楽へとても熱いパッションがある方で、話してるとなんか音楽ヲタクと話してるみたいにずっと盛り上がれるんです(笑)。人としても素敵な方で何度も僕の恋愛相談やら人生相談に乗ってもらいました。アイドル時代は楽曲提供もさせていただいてたので、いつか一緒にまた音楽をしたいと思っていました。その念願が叶いました。
──江嶋さんにとってリリィさんはどんな存在ですか?
江嶋:共通の知人を通して知り合ってから、お互いの近況報告や好きな音楽やアニメの話をしたり、乾杯したり…個人的には地元の友達のような感覚です(笑)。アイドル時代には、ソロ楽曲を提供していただいたり、今年の5月私のbirthdayライブでゲストとして出演していただいたりと、6〜7年ほど、お仕事でもプライベートでも良き関係です。
──今回のコラボのお話が決まったときの気持ちを教えていただけますか?
江嶋:純粋にとても嬉しかったです。リリィさんとは、前から何か一緒に楽しいことしたいねというお話はしていたので、遂に動き出すのか!ととてもワクワクした気持ちになりました。
──「カランコロン」を最初に聴いたときの印象を教えてください。
江嶋:デモを聴いた段階で、サビの『カランコロン』のフレーズがすごくキャッチーで頭に残ったので、リリイさんにもめっちゃいい!!とすぐお返事しました。デモの段階でもMVの雰囲気まで想像することができたので、リリィさんって天才だな〜と。
──レコーディングはいかがでしたか?
リリィ:今回のレコーディングは現在「ミセカイ」のメンバーとしても活躍されているアマアラシ君にレコーディングとボーカルディレクションを全部お任せしました。彼はとても優秀なので僕はほとんど口出ししていません。江嶋ちゃんの声がとてもマイクのりが良かったので、すでにプロとして活動されてきた方はやっぱり違うなと思いました。だから、レコーディングはめっちゃ巻きました(笑)。
江嶋:レコーディング自体が半年以上ぶりだったので、かなり気合いを入れて臨みました(笑)!
アマアラシ君、リリィさんからも少しずつ意見をもらいながら私らしく、のびのびと歌えたんじゃないかなと思っています。特に、サビ終わりの『バクンバクンバクン』の部分の表現の仕方は沢山研究したので、じっくり聴いてほしいです(笑)!
──リリィさんと江嶋さんは、今作の夏曲から秋、冬、春と四季の楽曲をリリース予定とのことですが、もう4曲完成されているのでしょうか?
リリィ:実はまだ夏の歌しかできてなくて。先にコンセプトを決めたので、これからもう必死に書くと思います。楽曲としてはハッピーエンドにしたいです。
──「カランコロン」はMVも制作されましたが、どんな作品に仕上がりましたか?
リリィ:とにかく可愛い江嶋ちゃんが見れます。彼女の別のお仕事でも資料にしてほしいくらいです。
江嶋:いつも私の写真展などでお世話になっているカメラマンの山本春花さんに直接連絡して、MVの撮影と編集をお願いしました。今回ほとんどのカットをコンパクトデジタルカメラで撮影をしているので、とても臨場感のある作品になっていると思います。
──MVの見どころを教えてください。
江嶋:見どころは、フィルムを使って動画を撮る『LomoKino(ロモキノ)』で撮影した2サビ部分。楽曲×フィルムの雰囲気と儚さを存分に感じていただきたいです。
今年の夏、カメラを使ったり浴衣を着るタイミングがある方は是非、夏の想い出と共にこの音源を使ってSNSに投稿してもらえたら嬉しいです!
♪リリィさよなら。 「カランコロン feat.江嶋綾恵梨」
──ちなみに、楽曲リリース日の7月18日はリリィさんのお誕生日ですね。
リリィ:7月18日の誕生日は毎年ナーバスになるんです。僕はとても引きこもりだし、プライベートも地味なので………。1人で過ごすのが嫌なので、いつも自分で自分を祝うイベントを設けるようにしてるんです(笑)。リリースとかワンマンとか。今年もそれです。おかげさまでハッピーです(笑)!
──リリース日にそんな意味があったんですね(笑)。「カランコロン」もそうですが、「夏の匂い」など、リリィさんの夏の楽曲は、せつないラブソングが印象的です。夏という季節の印象を教えてください。
リリィ:僕自身は夏は苦手です。日焼けしたくないし、汗かくの嫌だし…。
でも夏特有の夕暮れの雰囲気とか、晩夏の匂い、湿った草木の香りは胸にくるものがあるので、歌を作りたくなりますね。
──江嶋さんはリリィさんがつくられる楽曲へどのような印象をお持ちですか?
江嶋:リリィさんの楽曲は、日常の中にある繊細な感情が歌詞に散りばめられていて、提供されている楽曲も、リリィさん自身の楽曲も好きでよく聴かせていただいています。個人的にリリィさんの楽曲に入っている擬音語のフレーズがいつも素敵だなと思っています。
──お二人のこれからなどについてもお聞かせください。改めて、江嶋さんの現在の活動について教えてください。
江嶋:アイドルを卒業してから、株式会社hurmth airを設立しました。今は、主に南青山にある自身のヨガスタジオの運営とレッスンを行っています。他にも自身で開催するイベントの企画・運営や、カメラやサウナ、グッズ制作など自分の『好き』を活かしたお仕事を並行して行なっています。
音楽関係ですと、「カラオケまねきねこ」のテーマソングを歌わせていただいているので、まねきねこに行く機会がある方は館内で流れているので、是非チェックしてみてください。
──お二人がこれから個人的にチャレンジしたいことなどがあれば教えて下さい。
リリィ:痩せたいです(笑)。休養中に太りました。江嶋ちゃんと2人で写真ありきのインタビューに対応できるようなフォルムになりたいです。
江嶋:枠にとらわれず、積極的に様々な表現活動にチャレンジしていきたいです。いい意味で『らしくない』みたいな部分も追求できたらと思っています。音楽活動も引き続き、リリィさんと四季を楽しみながら、また作詞にもチャレンジできるように勉強していきたいです。
──ライブのご予定があれば教えてください。「カランコロン feat.江嶋綾恵梨」をお二人でライブで披露される予定はありますか?
リリィ:8月16日(金)に青山「月見ル君想フ」でリリィさよなら。(guest vo.江嶋綾恵梨)として初ライブをする予定です!どうなるかドキドキですが、いずれは2人の曲だけでワンステージできるようになったら良いなあと思って制作に励んでいます。
──最後に、応援してくれる方へのメッセージをお願いします。
江嶋:心優しいファンの皆様。いつも支えて下さり本当にありがとうございます。皆様の応援があるからこそ、また大好きな音楽の道を選ぶことができました。歌を歌っても聴いてくれる人がいなければ活動は成り立ちません。いつも何をするにも皆様がそばに居てくれるから、迷うことなく新しいことにチャレンジすることができます。少しずつではありますが、また歌を通して皆さんにパワーを届けていきたいと思っていますので、この夏「カランコロン」を沢山聴いて、沢山布教してもらえると嬉しいです!
リリィ:僕は今フリーで活動しているので、なかなか上手くできないことや、体力が足りないところもありますが、「音楽は死んでもやめない!」という熱い気持ちを携えて復活したので、マイペースになると思いますが、新曲が出たりライブがある時はその度に応援してくれたら嬉しいです。これからも良い曲書きます!
文:レコログ編集部
※各記事に記載されている内容は公開時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。
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リリィさよなら。
ソロプロジェクト『リリィさよなら。』として活動するシンガーソングライター。
2014 年 超特急シングル表題曲「EBiDAY EBiNAI」にて作家としてもデビュー。
時に切なく、時に力強く、表現力豊かなボーカルで国内だけに留まらず、2019 年には上海での単独コンサートも大成功させるなど中華圏を中心に海外でも根強い人気を誇る。
私小説のような詞の世界観やJ-POP の中でも極めてキャッチーなメロディメーカーとして、特に近年では作家としてより注目を集め、精力的に活動中。
2022 年では『約束』のMV が100 万再生突破したり、タイ・中国での人気アーティストに楽曲提供するなどし、海外でも活動を広げており、中国圏を中心とした音楽アプリQQ Musicでは6 万人のフォロワーを持つなどしている。
近年、作家活動に集中をしていており、2023 年末にはKinKi Kids への楽曲提供や映画『神さま待って︕お花が咲くから』の手嶌葵の主題歌への楽曲提供。
現在人気沸騰中のアイドルタイトル未定の楽曲をデビューから手がけていたり、にじさんじ︕のメンバーにも提供を行うなどその楽曲の良さから実績を出している。
今後、アーティストとしても再始動となる今作からコラボシリーズをスタートさせる。