舞台を中心に活躍する俳優・宅間孝行が手掛ける新プロジェクト「タクラボ」。第1弾公演は宗教をテーマにした、かなり切り込んだ作品ということで注目を集めた。第2弾・第3弾公演を2024年1月に控えており、今回も2公演を同日上演という新たな実験を試みる「タクラボ」。「レコログ」では前回に引き続き、今回もレコチョクチケットで公演を支援することを記念して、宅間孝行にインタビューを行った。今作に込める想いや俳優業に込める想いなどを中心に語ってもらったので、ぜひ最後まで読んでほしい。

 

 

演劇やお芝居をあまり見たことがない人には適した世界の作品を上演しているので、だまされたと思い、見ていただけると嬉しいです

 

──2023年5月に上演された「タクラボ」第1弾『神様お願い』は大成功を収めました。いま改めて振り返ってみて、いかがでしたか?

 

『神様お願い』は、宗教を題材にした尖った内容だったので、どんな反応があるのか少し不安だったんです。それこそ最初の2日間とかは、「これを演じていいの?」という声もあったのですが、テレビで言っていないことは入れていなかったし、結果“ドラマにしたい”とか、“すごく良かった”という声もたくさんいただいて。こういったテーマもやる意味があるんだ、と思いましたし、“いまやる意味”をすごく感じた公演になりました。

ただ、東京公演を1週間終えたところで、伝わりきっていないところがあることにも気づき、大阪公演では少し演出を修正したんです。そのとき、どんな事柄でも、関心がある人、ない人での“当たり前”が違うことにも気づかされました。

 

──「タクラボ」第2弾『WHAT A WONDERFUL LIFE!-素晴らしきかな 人生-』と、第3弾『新春ショートショート THEお年玉』が、同日、同じ劇場で上演されることが先日発表されました。前例のないことだからこそとても驚いたのですが、どういった経緯でこのようなことになったのでしょうか。

 

まず、第1弾の時にワークショップオーディションを開催したんです。そこで多くの才能が集まってくれたんですよね。でも、第1弾で採用できる人数が限られていたので、前回採用できなかった人達が活躍できる場所を作りたいと思ったんです。

あと今回、僕は出演せず裏方に徹し、主演を東貴博さんにお願いさせていただいたんです。ただ、東さんが名古屋で生放送のレギュラーを持っていて、土曜日の昼がNGなんですよ。その関係で、一番良い土曜の昼という時間に何もできないのはもったいないと思い、ここは企画で埋めてしまおうというアイディアが浮かんだんです。そこで生まれたのが第3弾『新春ショートショート THEお年玉』です。

 

──東さんが理由だったんですね!

 

そうなんです(笑)。でも、それがきっかけでまた新たな試みが出来るのは面白いなと思っていますので、みなさんも、どちらの作品も楽しんでもらえたら嬉しいです。

 

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──ちなみに、東さんを主演に選んだのはどんな理由だったのでしょうか。

 

2021年に明治座でお芝居をご一緒してから、仲良くさせていただいていて。今回『WHAT A WONDERFUL LIFE!-素晴らしきかな 人生-』をやると決まった時に、誰がふさわしいかを考えた瞬間に、東さんが浮かんだんですよね。というのも、今作の主人公は、年齢の幅を広く演じるんですが、東さんは若い役も、年配の役も演じられそうだなと思ったんです。東さんはこれまでも僕の作品を見ていただいていたこともあって、すぐに快諾していただきました。

 

──東さんの俳優としての魅力はどんなところにあると思いますか?

 

まず、頭の回転がものすごく早いんです。これは芸人さんだからこそだと思うんですよね。僕の個人的な考えではあるんですが、お芝居は俳優一本の人よりも、タレントさんや芸人さんの方が向いているんじゃないかと思うことがあるんですよ。

 

──どんな時にそう感じるのでしょうか?

 

俳優というお仕事に対してすごく謙虚ですし、ただセリフを言うだけでなく、与えられたセリフを持ちながら、何か考えながらずっと動いている印象があるんです。さらに、そういった遊びの部分を持ちながらやっている。そして何より、仕事に対して真摯な人が多いイメージがありますね。

 

──今作にも出演するハマカーンの浜谷健司さんも芸人さんですよね。浜谷さんは、第1弾の作品にも参加をされていましたね。

 

はい。僕は彼のことをすごく頼りにしているんです。彼も明治座でご一緒してから、僕が芝居をやるときはずっと声をかけるほど、カンパニーにいてくれるだけですごくいい空気感を出してくれるんです。頼りにもなりますし、みんなの潤滑油にもなるし、お手本にもなってくれるので、すごくありがたい存在です。

 

──なるほど。となると、今回、ワークショップオーディションに参加された方で、第1弾では縁がなかった方をあらためて採用していることを考えると、一緒にお仕事をしたいと思えるほどのいい人材がたくさんいたということですよね。

 

僕が思う俳優さんの良し悪しは、一生懸命頑張っているかどうかなんです。才能のあるなしや、芝居の上手い下手って、線を引くのがすごく難しいんですが、努力をしているか、していないか、がんばっているか、いないのかというのは、オーディションで伝わってくるんです。たとえば、ワークショップでひとつの大変な課題に一生懸命向き合う姿を目の当たりにすると、すごく感動するんですよ。それを見たスタッフたちが、何かしてあげたいと言い始め、この企画が決まりました。

 

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──となると、みなさん稽古にはものすごく頑張って取り組むんでしょうね。

 

と、思うじゃないですか(笑)。でもオーディションと稽古って、また違うんです。1か月続く厳しい稽古に、オーディションの時と同じ気持ちを保って続けられる人って、本当に少ないんですよ。つまり、この世界で残っている人達は、それを乗り越えられたわずかな人なんです。365日、モチベーションが高い人しか、残れないんですよね。なので、今回の稽古で選ばれた人たちは、腐ることなく、続けてくれる人材であって欲しいなと思っています。

 

──宅間さんがお仕事に対しての向き合い方を一番大切にされているのが伝わってきます。

 

舞台にしろ、映画にしろ、お金を払って見に来るエンターテイメントとなると、やはり単価が高くなってしまうんですよね。その対価として、お客さんに対してできることはあるからこそ、どう作品に向き合うのかは、すごく大事なことだと思っています。それに、そこで手を抜いたら、取り返しがつかないことになってしまうと思うんですよね。それが、たとえ僕のファンだけの空間であったとしても、決しておごってはいけないんです。その結果、つまらないと評価をされてしまえば、僕の大きな責任になるので、物を作る怖さもあるんですが、できることをしっかりと向き合ってやることが、なによりも大事なことだと感じています。

 

──素敵ですね。さて、今回も、前回に引き続き、レコチョクチケットを採用していただきます。券面のQRコードを読み込むと、キャストの画像がランダムに表示されたりと、楽しんでいただける仕掛けがありますが。第一弾の反響はいかがでしたか?

 

最初はものすごいブーイングでした(笑)。でも、プレイガイドで購入すると、本来のチケット代に様々な手数料が1000円以上プラスでついてしまったりするんですよね。でも、このレコチョクチケットであれば、そういったことはないですし、一度登録してもらえたら、今回のように第2弾、第3弾のチケットもものすごく簡単に取りやすくなるんです。さらに、発券が不要でスマホで完結しますし、なにより入場後に券面が切り替わり、チケットそのものが記念品になる。いいこと尽くしなんですよ。なので、最初やり方が変わった時はたしかに面倒ではありますが、今の時代、新幹線や飛行機などもチケットレスになって発券も不要ですし、スマホ上で観た記録も残るので、ぜひ今回も活用してその便利さを堪能してもらえたら嬉しいです。

 

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──さて、そろそろ稽古が始まると思うのですが、楽しみにしていることを教えてください。

 

今回は若い方がたくさん出るので、その人達の心意気を感じてもらいたいですね。そのエネルギーって、本当に感動するんですよ。勢いに思い切り飲み込まれる瞬間が味わえるので、そのライブ感を味わってもらえたら嬉しいです。対する『新春ショートショート THEお年玉』は、どちらかというとバラエティ番組のような位置づけなので、気軽に楽しんでもらいたいですね。実は、両方の舞台を見てもらった方には、お正月なのでお年玉を用意しているんです。

 

──お年玉ですか!?

 

はい。まぎれもなく、現金のお年玉です(笑)。

 

──初めて聞きました(笑)。

 

ですよね(笑)。2作品見ていただいたら、お年玉をプレゼントしますので、それも楽しみにしていてください。

 

──ちなみに、宅間さんが2024年に楽しみたいことはどんなことでしょうか。

 

先日、宮崎に行き、チキン南蛮を食べたんです。東京のチキン南蛮って、鶏のから揚げにタルタルソースがかかっているイメージですよね。でも、本当に南蛮(唐辛子入りの甘酢)に浸っていて、すごくおいしかったですし、あらためて本場のものを食べる重要さを知りました。本当に美味しかったですね。なので、2024年もなにかおいしい物と出会えるようないろんな場所に行きたいです。

 

──ありがとうございました。では、最後にメッセージをお願いします。

 

レコログのサイトは、音楽が好きな方たちが見ていると思うので、演劇はあまり見たことがない人も多いと思います。でも、実は僕も演劇が嫌いで…(笑)。そういう人間が作っている作品だからか、普段音楽が好きな方から多くの支持を頂いているんです。それに、演劇やお芝居をあまり見たことがない人には適した世界の作品を上演しているので、だまされたと思い、見ていただけると嬉しいです。

 

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文:吉田可奈

写真:平野哲郎

 

※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

 

▼タクラボ第2弾『WHAT A WONDERFUL LIFE!ー素晴らしきかな 人生ー』、第3弾『新春ショートショート「THE お年玉」』のチケット購入はこちらから

https://takufes.murket.jp/special/takulabo2_3_ticket

 

【タクラボ第2弾「WHAT A WONDERFUL LIFE!ー素晴らしきかな 人生ー」】

 

■作・演出

宅間孝行

 

■出演

東貴博 浜谷健司(ハマカーン) 橋本真一 留依まきせ 増田つき 横山涼 大薮丘 竹内茉音 染川翔

川崎瑠奈 宮本剛徳 河内宏大 田村依里奈

西郷真悠子 竹内まゆ 住永侑太 久井正樹 藤江萌 矢野ななか

ヨスケ。 藤綾近 藤村はる美 南部海人 市島琳香 咲楽あさみ 鶴元花菜美 内藤真帆

 

■公演日時

2024年1月9日(火)~1月14日(日) 全6公演

 

■会場

シアターサンモール 東京都新宿区新宿1-19-10サンモールクレストB1

http://theatersunmall.server-shared.com/

 

■チケット

VIP席:8,000円、一般席:7,000円

 

■スタッフ

照明:山田真輔 / 美術:向井登子 / 音響:野中明/歌唱指導:田村依里奈/舞台監督:仲里良/

票券: レコチョク / 制作:CHAMO ・三村楽/ 製作 :タクラボ

 

【タクラボ第3弾『新春ショートショート「THE お年玉」』】

 

■作・演出

宅間孝行

 

■出演

宅間孝行 阿部力 外岡えりか 天野麻菜 大薮丘

関本なこ 吉見碧 楠悠那 藤村リュウト 河西琉之介 小林彩音

 

■公演日時

2024年1月12日(金)~1月14日(日)全3公演

 

■会場

シアターサンモール   東京都新宿区新宿1-19-10サンモールクレストB1

http://theatersunmall.server-shared.com/

 

■チケット

VIP席:7,500円 一般席:6,500円

 

■スタッフ

照明:山田真輔 / 美術:向井登子 / 音響:野中明/歌唱指導:田村依里奈/舞台監督:仲里良/

票券: レコチョク / 制作:CHAMO ・三村楽/製作 :タクラボ

 

■公式SNS

X(旧Twitter):@Takuma_new2023

Instagram:@takuma_laboratory

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