時代を乗り越えてきた歴史が、このアルバムには詰まっているんだなと思っています

 

 

 

――「機動戦士ガンダム40周年」ということで、この曲を公の場で歌う機会がまた増えたのではないでしょうか。

実は先日も音楽番組でこの曲を歌わせて頂いたんですが、楽屋でこの曲をかけながらメイクをしていたら、また感動してきちゃってウルウル泣いてしまったんです。それくらい、この曲は何度も私を感動させてくれるんです。当時のディレクターさんが、「この曲は君がいくつになっても、何十年経っても歌える曲だからね」と言ってくださったんですが、まさか34年経ってセルフカバーでデビュー曲を音楽番組で歌わさせてもらえるとは思ってもいませんでした。

 

森口博子

 

――この曲は、寺井尚子さんがヴァイオリンを弾いているんですね。

はい。この曲をレコーディングするにあたり、ストリングスは寺井尚子さん以外考えられないと思ってお願いしました。実は、『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』のテーマソング「宇宙の彼方で」をテレビ番組で披露したときに、寺井さんが演奏してくださったんですね。その時のサウンドがドラマティックでカッコよくて、本当に素敵だったんです。さらにその時に、寺井さんが私の声を、「こんなにまっすぐ、しっかりと歌える人ってそういない」と褒めてくださったんです!サマージャズでコラボレーションさせて頂いた時には「素晴らしいヴォーカリスト!」と紹介してくださって。その言葉は今も私の励みになっているんですよ。

それもあって、今回は寺井さんにお願いさせていただきました。同時レコーディングは歌うような尚子さんの演奏が圧巻でシビれました。今の年齢だからこそ向き合える、大人でジャジーなアレンジに仕上がって、感動に包まれています。

 

森口博子 with 寺井尚子「水の星へ愛をこめて」( 森口博子「GUNDAM SONG COVERS」収録 )

 

――今回は、すべての曲が大人のアレンジに仕上がっていていますよね。

フリージアでは塩谷哲さんとピアノ1本のみの同時レコーディングを行いました。透明で美しい塩谷さんのピアノがたまりません。アニソンって、オリジナルの印象が作品を観た人たちに強く残るじゃないですか。だからこそ、そのままじゃないと絶対に嫌だという人もいると思うんですよね。私もそう思う曲はたくさんありますし、その気持ちがすごくわかるんです。だからこそ、アレンジを加えるのはとても勇気のいることでした。ただ、実際にアレンジをして、ライブでファンのみなさんの前でお届けしたときに、すごくいい反応をしてくださったんですよ。その瞬間、聴き手のみなさんも、私と一緒で大人になったことを実感したんです。

 

――みなさんが受け入れてくれたんですね。

はい。みんながいろんなことを受け止めて、こういうサウンドを大人だねと言ってくれるということは、10年、20年ではなく、34年が過ぎたからこそできたことなんだろうなと思っています。きっと、みなさんも最初にこの曲を聴いたときから34年もの間、悲しかったこと、嬉しかったこと、心に傷を負ったことや笑いあったことなどたくさんあったと思うんです。そんな時代を乗り越えてきた歴史が、このアルバムには詰まっているんだなと思っています。

 

森口博子

 

 

 

 

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