森口博子

 

 

 

吸い込まれそうになるぐらい美しくて哲学的な歌詞って、本当になかなか出会えるものではない

 

 

 

――本当に印象的な言葉選びが続きますよね。

そうなんです。子供のころからこの曲は知ってはいたんですが、こんなに深い曲だったんだって、その動画をみて号泣したんです。その熱量を浴びながら、アコースティック・ギタリストの押尾コータローさんと同時レコーディングをしたので、自分の中のボルテージはかなり高かったですね。

 

――押尾さんのギターも素晴らしいですよね。

クラッピングギターがすごくかっこよくて、一人で何役も演奏されているような感覚になりました。パーカッションを叩いているようにも聴こえるし、押尾ワールドここにあり!その音をまといながら歌うことができてすごく心地良くて幸せでした!

 

――小さなころは気づかなかったことが、今になって響くことは、ほんとに多いと思うのですが、他の曲でもありましたか?

ありました。私のデビュー曲「水の星へ愛をこめて」は売野雅勇さんの歌詞なんですが、“時間(とき)という金色のさざ波は宇宙(おおぞら)の唇に生まれた吐息ね”という歌詞が、ため息が出そうなほど美しいんですよ。読むだけで倒れそうになるくらい、吸い込まれそうになるぐらい美しくて哲学的な歌詞って、本当になかなか出会えるものではないんです。

 

――たしかに、そうですよね。

当時、私をスカウトしてくださったディレクターさんが、レコーディングする直前に、「水の星の意味って分かる?」って聞いてこられたんです。私はその時、めちゃくちゃ緊張していて「水星」って答えたんですよ(笑)。そしたら、穏やかなほほえみで、「地球のことだよ」と教えてくれて(笑)。

 

森口博子

 

――どちらも正解のような気がしますけどね(笑)。

響きがそう感じるというか(笑)でも、それくらい私の理解は浅かったんですよ。その曲を34年経ってまたレコーディングさせていただけるという、こんな幸せなことはないなと思いました。

 

 

 

 

次ページ:時代を乗り越えてきた歴史が、このアルバムには詰まっているんだなと思っています

※各記事に記載されている内容は公開時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。​

2 / 4