今、最も聴かれているアーティストといっても過言ではない、圧倒的な人気と実力を誇るアーティスト・YOASOBI。2021年12月10日(金)に発表された、レコチョク関連の年間ランキング(ダウンロード、サブスク、dヒッツ)では、3サービス全てにおいてアーティストランキング1位を受賞し、6タイトルで1位を獲得。とどまるところを知らない彼らは、12月1日(水)には2nd EP『THE BOOK 2』をリリース、さらに12月4日(土)・5日(日)には武道館ライブを実施し、大盛況の中、自身初の有観客ライブの幕を閉じた。今回、そんなYOASOBIにインタビューを行い、彼らが2021年を振り返って思うことや、今後目指していきたい目標について、さらに、意外と〇〇な一面など、幅広く話を聞いた。

 

 

変わらず僕ららしく楽しく音楽を発信していきますので、末長く応援していただけたらと思います

 

──レコチョク関連、上半期ランキングで6冠を獲得したYOASOBIが、年間ランキングでも6冠を獲得されました。おめでとうございます!一年を通して、たくさんの方にYOASOBIの音楽が聴かれた結果です。今の率直なお気持ちを聞かせてください。

 

Ayase:素直に嬉しいですね。1位をいただけたことも当たり前だとは思っていないので、やってきたことが一つ結果として出たということで、嬉しいなと思っております。

 

ikura:本当にたくさんの方に聴いていただいた一年だったなというふうに、この数字をもってすごく実感しました。嬉しいです。ありがとうございます。

 

──改めてこの一年間でリリースされたYOASOBIの楽曲を聴くと、いろんなシーンでかかっていたなあと、YOASOBIの楽曲と共に思いがけず自分自身の2021年を振り返ることができました。お二人の中で、今年リリースした楽曲のうち、特に思い入れの深い曲というと、どの曲を挙げますか?

 

Ayase: 2nd EP『THE BOOK 2』に入っている「もしも命が描けたら」が、個人的には一番気に入っています。今までで一番自分のやりたいようにやった曲というか。今までももちろん自分の好きなことをやってきたんですけど、よりチャレンジングに、そして、自分が思ったままに流れ出たものが楽曲として形にできたなという感覚があります。

 

──チャレンジされた点はどういうところですか?

 

Ayase:ちょっとマニアックな話なんですが、「もしも命が描けたら」は基本的なベースがループをしている音楽なんですね。だから作曲は作曲なんですけど、どちらかというとトラックメイクする感覚に近い感じで作った楽曲で、今までYOASOBIがやってこなかった手法かなと思います。

 

──ikuraさんはいかがですか?

 

ikura:全部大好きなんですけど、特にお気に入りの曲は「優しい彗星」という曲です。この曲はTVアニメ『BEASTARS』のエンディング主題歌になっているんですが、イブキとルイという二人のストーリーが背景にあって、Ayaseさんにデモをもらった時から、歌詞もメロディもサウンドも含めて全部に感動したんです。最初に聴いた時からグッとくるものがあったので、自分もこの思いを歌に乗せられたらいいな、と思いながらレコーディングをした記憶があります。私が受けたような感動を、みなさんにも感じてもらえたらいいなと思っていた曲なので、すごく思い出深いです。

 

♪YOASOBI「優しい彗星」Official Music Video (YOASOBI – Comet)

 

 

──今年は新しい試みとして、「群青」=「Blue」、「怪物」=「Monster」、「三原色」=「RGB」、そして「夜に駆ける」=「Into The Night」などと、英語バージョンの楽曲をリリースされましたよね。きっかけを教えてください。

 

Ayase:活動していく中で、SNSでのコメントやリアクションの中に、ありがたいことに海外の方からのリアクションが増えているところがあって、より自分たちの音楽を芯の部分を変えることなく、海外の人にも伝わりやすい形で何か出せないかなというところで、英語版を作って出してみるのも面白いかなと思ったんです。

 

──実際に出してみて、どんな反応がありましたか?

 

Ayase:国外の英語圏の方達の「素敵だね」っていうコメントももちろん嬉しかったんですが、国内の方達のリアクションもすごく面白かったです。歌詞の翻訳は、コニー青木さんという方にやっていただいたんですが、音の感覚を変えずに言葉を選んで翻訳をしていただいた部分もあって。実際に原曲を楽しんでいる人も、また楽しんでもらえるような構造になっていたところが、国内の方達にも斬新な切り口として楽しんでいただけたということを実感しています。

 

──その英語詞を歌われたikuraさんはいかがですか?苦労したことなどありますか?

 

ikura:コニー青木さんができるだけYOASOBIの音楽の音遊びだったり、YOASOBIのいい部分をそのまま翻訳してくださったので、いい意味で変わっていない部分があったりするんですけど、やっぱり発音だったり言語が変わることによって、ノリもそうだし、発音によっての発声の仕方が変わるところがけっこうあるので、歌い慣れた日本語の曲を英語でまた歌い直すということは難しいところがありましたね。

 

──ikuraさんは英語は得意なんですか?

 

ikura:3歳までアメリカに住んでいて、洋楽をすごく聴いて育ったということもあり、洋楽を歌うことは好きではあったんですけど、実際に自分が英語で歌って世界中の人に聴いてもらうということは初めてだったので、かなり苦労しました。

 

──12月1日(水)には2nd EP『THE BOOK 2』がリリースされました。こちらはどんな作品になっていますか?

 

Ayase:1st EP『THE BOOK』からのナンバリングで、『THE BOOK 2』という形で2nd EPを出させていただくんですけど、1枚目は僕らとしても初めてのCDというところで、名刺代わりになるような一枚というか、これを聴いていただければYOASOBIがどういうものかが分かるものっていうのが一枚目のコンセプトだったんです。

『THE BOOK 2』はそこから引き継いで、一枚目にはなかった音楽ジャンルや音の感覚というところで、僕ら的にチャレンジした楽曲がたくさん入っていて、今の僕らを詰め込んだ感じの一枚です。一枚目を知ってくれている人にはもちろん、聴いてくれていない人もこの二枚目を聴いていただいて、現状のYOASOBIがどういうものなのか、っていうことが聴いてくれればわかると思うし、一枚目を聴いてない人には二枚目をきっかけに一枚目をたどってもらえたら嬉しいです。

 

ikura:2020年も新曲を出すたびに新しいチャレンジをたくさんしていたんですが、その2020年を経て、よりパワーアップした今年のYOASOBIの楽曲にボーカルを乗せる上で意識したことがあって。小説だけじゃなく、舞台だったり、アニメだったり、展開がいろいろと派生していく中で、ヴォ―カルとしてもいろんな主人公になっていく、いろんな声色を使って歌っていくっていうようなところを意識したので、色とりどりな作品になったんじゃないかなと思っています。

 

♪YOASOBI 2nd EP『THE BOOK 2』クロスフェード

 

 

──そして今年は2度配信ライブを行なわれました。配信ライブをやってみていかがでしたか?

 

Ayase:不安もたくさんあったんですけど、こういうご時世の中で配信という形式で、僕らが今できるベストなパフォーマンスはなんだろうっていうところを、僕ら二人も、身近なスタッフも、バンドメンバーたちや舞台監督さん、テックの方達とみんなで、絶対に素晴らしいものを作り上げるぞ、と一致団結して。学生時代に文化祭をやるような感覚で、大の大人達がワーワー言いながら一緒に面白いものを作ろうと作り上げた2本だったので、一つの達成感としてもそうだし、青春を思い出させてくれるような感覚で楽しかったです。

 

ikura:これまでYOASOBIとして曲をリリースし続けてきて、初めてのライブが配信ライブだったんですけど、やっぱり生歌を届けるライブでYOASOBIをどうやって見せていったらカッコいいかと、オンラインライブだからこそできることや演出を、ライブチームと一緒にたくさん考えたんですね。なので、こういうご時世の中でも私達を応援してくれている人が初めてYOASOBIのパフォーマンスを見て、“YOASOBIってこんなことをしてくれるんだ、ワクワクするな”って思ってもらえるようなライブになったんじゃないかなと思いますし、これからもそんなライブをしていきたいです。

 

──2本の配信ライブを経て、12月の4日・5日には日本武道館での公演を開催されますが、目前にして今どんな思いを抱いていますか?(※取材は武道館公演前)

 

Ayase:僕らの生のパフォーマンスを実際に生で見てもらう初めての機会なので、『NICE TO MEET YOU』っていうタイトルになりました。もちろんめちゃめちゃ緊張もしているんですけど、配信ライブをする時、楽曲を作っていく時、レコーディングする時と同じように、本当にいいものを作ってそれを届けることを大事にしたいです。ただ、生のライブは一番鮮度の高い届け方だと思うので、その場で生むチームYOASOBIのグルーヴだったり、僕ら自身が音楽を楽しんでいる様子を、しっかり目の前の人達に届けられるライブにできたらいいなと思っています。

 

ikura:目の前にお客さんがいるライブは初めてなので、「初めまして」っていう気持ちはすごく大切にしたいなと思っています。そして、実際に生で目の前でライブを見た人が感動をしてくれて、またYOASOBIのライブに行きたいなと思ってもらえるように、お客さんとのコミュニケーションも大事にしたいなと思います。

 

──2021年も残すところあと1か月ですが、お二人にとって、2021年はどんな一年だったでしょうか?

 

Ayase:いろんなチャレンジをさせてもらえた一年だったなと、振り返ってみて思いますね。配信ライブもそうですし、楽曲を自分が制作していくうえでも、2020年の活動を経て今年はどういうふうにやっていこうか?っていう中で、自分の楽曲の中でも、また新しい引き出しを作ることができたなと感じています。ありがたいことに、すごく忙しく過ごさせてもらっていて、着実に成長できた年だったんじゃないかなと思います。

 

ikura:音源をシングルでリリースしていくことは去年と変わらずだったので、そこは変わらず一つ一つの作品と原作と向き合って、Ayaseさんの音楽と向き合って歌を乗せていきました。それに加えて、今年はライブをはじめ、新しいYOASOBIのパフォーマンスをする機会も増えていったので、そこでヴォ―カルとしてどう向き合ってパフォーマンスするかっていうことを、すごくたくさん考えた年でしたし、そうやって考えてやったことが、目に見えて返ってくることが今年はすごく多かったので、それが自分の糧にもなりましたし、これからも自分の可能性を広げていけるなと思えた年でした。

 

──そして2022年には、島本理生さん、辻村深月さん、宮部みゆきさん、森絵都さんの4人の人気作家とYOASOBIとのコラボレーション企画『はじめての』が進行中とのことですね。

 

Ayase:こういうことをしたら面白いんじゃないかっていう話は2年ぐらい前からチーム内で話があがっていたんです。

 

ikura:高校生の時から読んでいた作品の著者さんとのコラボということで、その頃の自分に言ってあげたいなと思うくらい嬉しいですね。

 

 

──お二人が『はじめての』というテーマで思い浮かべることはどんなことですか?

 

Ayase:今年の4月の誕生日の時に、はじめて観覧車に乗りました。今年の印象深いエピソードですね。

 

──今まで乗ったことがなかったんですか?

 

Ayase:そうなんですよ。高いところが苦手ということもあって、あとあんまり遊園地やテーマパークに行くことがなくて乗ったことがなかったんですけど、今年はじめて乗って、すごく怖かったなと(笑)。

 

──ikuraさんは何かありますか?

 

ikura:私は今21歳なんですけど、去年の9月に20歳になって、それからご時世的にお酒を飲むという機会がなかなかなくて。おうちで一人でお酒を飲むというのはちょっとハードルが高くて、お酒を全然飲んでいなかったんですけど、21歳になって少しずつ試してみたりしていて。まだビールは「美味しい!」ってならないんですけど、ちょっとずつ初めてのお酒を試しているところです。

 

──今の感じ、お酒に強そうですか?

 

ikura:飲んでも倒れたりはしてないので(笑)。わりと強い方なんじゃないかなと勝手に思っています。強いかな?

 

Ayase:強いかはちょっとわからないですけど、弱くはないと思います。無茶はしない程度に飲んでほしいですね。

 

──ではこの流れで、「意外と私は○○なんです」という、意外なところを教えてください。

 

ikura:私はけっこうノロノロしているというか(笑)、ゆったり動いてそうなイメージをもたれているような気がするんですけど、意外と俊敏なんです。

 

Ayase:それはもうみんな知ってると思う。

 

ikura:知ってるかなぁ?実は足が速かったりするんですけど、それを言うと驚かれたりするので、そこが意外なところなんじゃないかなと思います。

 

──Ayaseさんはいかがですか?

 

Ayase:何かある?

 

ikura:意外と家庭的。みなさんが抱いているイメージは、ちょっとクールで落ち着いた雰囲気があると思うんですけど、お料理してたら火傷しちゃったっていう話も聞いたばかりだし。

 

Ayase:そうなんですよ。料理していて火傷しちゃいました。久しぶりに絆創膏なんてものを貼りました(笑)。僕自身「わりと僕はだらしない人間なんで」って周りに言っていて、それは間違いないんですけど、料理とかは好きなので、そこは意外と言えば意外ですかね。

 

──ちなみに得意料理はありますか?

 

Ayase:得意料理は……パスタはよく作りますね、いろいろと。

 

──YOASOBIとしてこれから挑戦していきたいことを教えてください。

 

Ayase:12月に武道館で初めて有観客のライブをやるというところから、有観客でのライブの本数は増やしていきたいなというのはありますね。こういうご時世なので、来たくても来られないという方や、人数の制限もあるので、見たいと思ってくださっている方達のために、全国をツアーで回るのもそうだし、いつかライブで海外も行けたらいいなと思ってますね。

 

ikura:私もやっぱりライブですね。実際にファンの方とお会いして歌を届けるということは、これからもより活発にしていきたいなと思いますし、コミュニケーションをすごく大事にしたいので、それは来年の目標かなと思います。

 

──最後に、応援してくださるみなさんにメッセージをお願い致します。

 

Ayase:2021年もたくさん僕らの音楽に触れてくれてありがとうございました。2022年もそれ以降も、変わらず僕ららしく楽しく音楽を発信していきますので、末長く応援していただけたらと思います。よろしくお願い致します。

 

ikura:2021年もたくさんの方に音楽を聴いていただけて、一回一回の反応に感謝する一年だったんですけど、これからもワクワクしてもらえるようなYOASOBIでいたい、いろんなことにチャレンジして止まらないYOASOBIでいたいなと思っています。よろしくお願いします。

 

文:大窪由香

  • YOASOBI

    YOASOBI

    コンポーザーのAyase、ボーカルのikuraからなる、「小説を音楽にするユニット」 。2019年11月に公開された第一弾楽曲「夜に駆ける」は2020年12月にストリーミング再生3億回を突破し、Billboard Japan 総合ソングチャート"HOT100"にて2020年年間1位を獲得。第二弾楽曲「あの夢をなぞって」は原作小説がコミカライズ、第三弾楽曲「ハルジオン」は飲料や映像作品とのコラボレーションを果たし、7月20日に第四弾楽曲「たぶん」、9月1日にブルボン「アルフォートミニチョコレート」CMソング「群青」をリリース。12月には鈴木おさむが原作小説を手掛けた楽曲「ハルカ」を発表。2021年1月6日に満を持して初のCD『THE BOOK』をリリース。豪華な仕様が大いに話題を呼び、オリコンデイリーランキング初登場2位を記録しながら、配信では全ての楽曲がApple Musicストリーミングチャートで15位以内に同時ランクインするという快挙を達成した。原作小説の書籍化や映画化など、音楽以外の領域にも展開の幅を広げている。