2018年1月に結成した、メンバー全員が岩手県出身の4人組バンド・Surrounded By Enemies(SBE)。彼らの歌詞やサウンドから感じる等身大の想いや熱量に胸を打たれるリスナーが増えてきており、注目度と勢いを増している中、2021年12月15日(水)に2nd フルアルバム『NewtroGrade』をリリース。そんな彼らにインタビューを行い、アルバムについてはもちろんのこと、音楽ルーツや意外な一面、これから挑戦していきたいことなど幅広く話を聞いた。今の彼らがぎゅっと詰まったインタビュー。是非アルバムと一緒にSBEの勢いを感じてほしい。
僕らは特別な人間ではないけど、だからこそありのままをぶつけることに意味があると思っています
──皆さんが本格的に音楽を始めたきっかけを教えて下さい。
YUYA(Vo.):本格的に音楽に向き合い始めたのは、自分が社会人になった約2年前のタイミングです。正直、社会人とバンドを両立すること、続けることは難しいことだし、ちょうどコロナが始まってライブもできなくて、モチベーションが下がっていたときもありました。それでも続けられたのはメンバーの支えもあったし、何より音楽をやってない自分を想像することができなくて、今やめても何も残らないと感じたので、今も音楽を続けています。
FUJiTOR(Gt./Cho.):中学3年のときにYouTubeで弾いてみた系の動画に影響を受けて、ギターを始めました。高校からバンドを組み始めるようになって、もっと認められたいという欲がでてきて、音楽を作るようになった感じがします。
AbeKen(Ba./Cho.):自分は大学の軽音部に入って、約4年前にカバーイベントで今のメンバーと出会ってバンドを組んだのがきっかけです。
koccy(Dr.):父親が『スクール・オブ・ロック』という映画のDVDを買ってきて、そのドラムの男の子がめちゃくちゃかっこよくてドラムを始めたいと思ったのがきっかけです。社会人になり、一度バンドをやらない期間があったのですが、後輩に誘われライブハウスに行った時に、「今の自分が仕事だけをしているのは悪いことではないけど、かっこよくない」と思い、SBEを始めないといけないと思い、今の自分があります。
──音楽ルーツや、影響を受けた楽曲を教えてください。
YUYA:ONE OK ROCK、SiM、coldrain、NOISEMAKERなどのアーティストに影響を受けました。ピンヴォーカルとしての立ち振る舞いなどに注目して見ています。
FUJiTOR:BUMP OF CHICKENから始まってMetallicaやin Flamesなどのメタルを通り、Saosinなどの2000年代エモに行きつきました。全部に影響を受けていますが、特に叙情的な曲が好きです。
AbeKen:中学のころ友達に勧められてASIAN KUNG-FU GENERATIONを聴きまくっていました。バンドを始めてからはNOISEMAKERを聴いている時間が長いと思います。音楽だけじゃなく芸術面でも自分たちのやりたいことを表現しているところに憧れがあります。
koccy:初めて買ったCDはマツケンサンバです。とにかく影響を受けたなと思えるのはやっぱりアニソンやボカロかなぁ…。
──「Surrounded By Enemies」のアーティスト活動を一言で表現すると?その理由も教えてください。
AbeKen:「等身大」ですかね。僕らは特別な人間ではないけど、だからこそありのままをぶつけることに意味があると思っています。背伸びをせずに、みんなと同じ目線で、一緒に次のステージに進みたいという想いで活動をしています。
──皆さんはEggsを利用されていますが、利用されたきっかけを教えてください。
AbeKen:自分たちの音楽をもっとたくさんの人に発信したいと思ったのはもちろんですが、オーディションを通して目に見える結果を出したいと思ったのがきっかけです。
まだ結果として残せていないですが、『Battle de egg 2020』で決勝まで残ったことは自分たちにとって大きな一歩になったと思います。
──では、Eggsを利用して良かったことがありましたら教えてください。
FUJiTOR:音源を公開できる場はいろいろありますが、やはりオーディションが多くあるのはEggsならではかなと思います。
──「Eggs」から派生したレーベル “Eggs” から2nd フルアルバム『NewtroGrade』をリリースされますね。
AbeKen:自分たちの音楽を聴いてもらうために、たくさんの部分でカバーしてもらっていてありがたいなと思います。
YUYA:Eggs発のデカいバンドになって感謝を伝えられたらと思っています。
──『NewtroGrade』は1年3カ月ぶりのCDリリースであり、アルバムとしては2年ぶりのリリースですね。タイアップ楽曲を含むかなり充実したアルバムに仕上がっており、ジャンルも幅広い印象ですが、改めて、どんなアルバムになりましたか?タイトルに込めた意味などもありましたら教えてください。
YUYA:アルバムタイトルの『NewtroGrade』は、“New(新しい)”と“Retrograde(逆行)”を掛け合わせた造語で、”原点、初心、変わらないものを大切にしながら、変化を恐れずに新しい道へ進んで行く”というメッセージを込めました。
コロナによって、社会が数多くの問題に直面しました。その中で変えたくないもの・変えていかなければならないことがたくさんあったと思いますが、すべての選択が間違っていなかったといえる未来にしていこう、という気持ちも込めています。2年前にシングルリリースした「FUTURE」を今回のアルバムに収録しましたが、こういった想いとリンクする部分が多く、このアルバムに収録できてよかったなと思います。
アルバムとしてはタイトルの通り、軸とするギターロックサウンドは変えず、HIP HOPやジャズの要素を取り入れたりと、たくさん頭を悩ませて挑戦的な1枚に仕上がりました。
FUJiTOR:僕の見解ですが、作れるものを作っていったら、結果的に5曲目の「The Ad-v-Erse」を境目として2枚のEPが連なったような作品になりました。
前半は懐かしさを感じるようなロックサウンド、後半は近未来的な雰囲気を纏わせたサウンドに仕上がっています。
koccy:曲を聴いてもらえればSBEらしさは存分に感じてもらえるかと。ただその中にも新しい挑戦があります。ドラムは難しかったですが…。
誰も経験したことのない、つらい期間。ライブハウスには行けず、フェスも開催されず。バンドを解散してしまった仲間達もいました。その中でもたくさんの支えがあり、この一枚が出来ました。みんなに届いてほしいです。
──では、アルバムからあえて1曲だけ推し曲を選ぶとしたら、どの楽曲を選びますか?その理由も教えてください。
YUYA:8曲目の「UPSET」です。コロナ禍で生きづらい世の中になって、ライブができない日々が続いたけど、自分たちの音楽に対する想いは日を重ねるにつれて確実に大きく、強くなっていました。「UPSET」には“番狂わせ”という意味があって、この逆境を跳ね除けてやるって決意を込めています。今少しずつ状況が良くなってきて、失った時間や大切な人と過ごす時間を取り返しにいこう、という想いを込めた大事な曲です。
FUJiTOR:1曲目の「Peter Pan Syndrome」です。ギターリフから始まるストレートなロックチューンで、アルバムの最初を飾るに相応しい曲に仕上がったんじゃないかと思います。聴きどころは、静かなところから畳みかけるように飛び出す中盤パートですね。
AbeKen:被っちゃいますけど8曲目の「UPSET」です。イントロのベースから始まるリフとアウトロでギターが弾くリフが同じフレーズなんですけど、全く違う印象になっているのが気に入っています。また、自分が初めて原案を出した曲なので、思い入れがあります。
koccy:新曲達も最高なんですけど、9曲目の「FUTURE」を収録出来たのがとても嬉しいんですよね。自分にとってもバンドにとっても、とても大切な1曲で、この先どんな辛いことがあってもみんなの背中を一押しする、聴いてくれる一人一人の応援ソングでありたいです。
──アルバム制作時の裏話や、収録時に印象に残っているエピソードがありましたら教えて下さい!
YUYA:AbeKenくんの家でボーカルのデモを録ってたらAbeKenくんのお姉ちゃんに「うるさい」って怒られました。
FUJiTOR:ヴォ―カルを録るときに英語の発音をチェックしながら録るんですが、それが前作よりスムーズにいったんですよね。YUYA君が成長してきたのかなと感心しました。
AbeKen:YUYA君が毎週末、僕の部屋で作詞していたことです。一番長く時間を共有していろいろ話しましたが、確実に彼の音楽に向き合う意識が変化しているのを感じました。
koccy:レコーディングの時にギターのFUJiTORが僕のお母さんの作ったゴーヤチャンプルを美味しそうに食べていたのが印象に残っています。
──作詞/作曲の際に意識されていることがありましたら教えてください。
YUYA:作詞は先程の部分とも重なりますが「等身大」を大切にしていて、自分が作る歌詞のほとんどが今の自分のありのままを歌うようにしています。自分はこうでありたいとか、こうなりたいとか。でも、聴いている人たちにもどこか重なる部分があると思っていて、自分たちの曲を聴いている人たちと共に、自分たちも成長していきたいと思っています。
FUJiTOR:作曲は、いろいろありますが、その一つとして僕なりに「叙情的」な要素を入れるようにしています。イメージとしては朝焼けや夕焼けを想像できるような、心に染みわたるものを目指していて、今回のアルバムだと3曲目の「ONE ROOM」のアウトロが上手くいったと思うので、そこを意識して聴いてみていただけると嬉しいです。
──今回、オリジナルのプレイリストを作成頂きましたね。プレイリストテーマや楽曲のセレクト理由を教えてください。
AbeKen:テーマは「メンバーの原点と現在」です。僕達はもともと好きな音楽もバラバラな4人組なので、影響を与えてきた音楽の移り変わりを知ってもらえたら面白いかなと思って作りました。
──ここからは皆さんのパーソナルな面についても教えてください。ご自身の中で「意外と●●なんです」という部分はありますか?
YUYA:意外と肌乾燥しやすいタイプです。あと、意外とエナジードリンク飲むタイプなんです。
FUJiTOR:意外と照れ屋です。褒められるとキョドります。
AbeKen:意外と可愛いものに弱いです。動物の写真に毎日癒されています。
koccy:意外と食べるねってよく言われます…。現在、糖質制限中です。誘惑しないで下さい。
──皆さんは岩手県ご出身でNHK 盛岡放送局「いわチャン」のテーマソングも務められたご経験もあるかと思いますが、触れてほしい(味わってほしい)岩手のものをご紹介いただけますか?
YUYA:冷麺、じゃじゃ麺、わんこそばを食べてください!
FUJiTOR:食べ物は被りそうなので…、八幡平のアスピーテラインという山道がとても景色が良く、バイクの雑誌でもよく取り上げられます。
AbeKen:去年今年とありませんでしたが、毎年9月に『いしがきMusic Festival』という盛岡の街で音楽を鳴らすイベントがあるので、音楽と街を楽しんでみてほしいです。
koccy:オススメしたい飲食店などがありすぎますね…。岩手に来る時には僕のことをグルメマップだと思って連絡下さい。全力で楽しませます (笑) 。 あとは、温泉も外せないですよー!
──今年も残すところ約1カ月です。2022年の抱負を教えてください。
YUYA:来年は絶対にフェスに出たい。それに尽きます。
FUJiTOR:「緊褌一番」。アルバムを出したからといって気を緩めず、次に挑戦したいですね。
──では、具体的にこれから更に挑戦してみたいことがありましたら、教えて下さい。
YUYA:ちょっと激しめの曲とかやってみたいですね。
FUJiTOR:同じく。今回のアルバムは綺麗めに仕上がったので、次は思いっきり激しい曲とか作ってみたいです。
AbeKen:ラジオ配信とかブログみたいな、自分たちの素を知ってもらえるような活動もしてみたいと思っています。
koccy:他のアーティストとは違う視点で面白いことできれば楽しいなーって思ってます。僕らの人柄がナチュラルに伝えられるような感じに!
──ありがとうございました。最後に、応援してくれる方へのメッセージをお願いします。
YUYA:前回のツアーは県外でのライブはできなかったけど、今回はガンガンまわります。生の自分たちの音楽を聴きに、見に、感じにきてください。
FUJiTOR:応援ありがとうございます。僕らはカッコいい音を届けられるよう、頑張ります。
AbeKen:欲張りなんで、もっと応援してもらえるように頑張ります!
koccy:コロナで辛い期間でしたが、皆さんのおかげでなんとか耐えました。ずっと応援してくれる人、まだ出会ってない人に、僕らのできる最大限の音楽をぶつけます!
文:レコログ編集部
▼2nd フルアルバム『NewtroGrade』はこちらから
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