NMB48としても活躍した実績を持ち、異彩な魅力を放ちながらも楽曲制作のセンスや音楽活動に真剣に向き合う姿勢が印象的なシンガーソングライター・木下百花。12月26日(日)に新曲「悪い友達」をリリースする。7月にリリースした前作「えっちなこと」とはまた違った魅力を放つ楽曲が仕上がった。そこで今回、レコログでは彼女に直接インタビューを行い、制作時のエピソードを中心に語ってもらった。音楽との向き合い方や自身の心境の変化なども語っており、撮りおろし写真も公開されているので、是非最後までチェックしてほしい。

 

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もっと楽しい私を見せて、今の自分をたくさんの人に知ってもらえる1年にしたいですね

 

──7月リリースの「えっちなこと」に続くニューシングル「悪い友達」は、とろけていくような切なさがあると同時に、ある種の緊張感も漂っているメロウなミディアムナンバーです。

 

最初はPCのキーボードのエレピで作っていて、そこから広がっていった感じです。いつもだったらもっとゆるい感じ、フワフワしているサウンドになるんですよ。でも、今回は私のファン層に届きやすくて聴き馴染みのいい感じの音にしようと意識して、生楽器で作り込んでいきました。

 

──今、「いつもだったら~」という言葉がありましたけど、「いつも」から変化したのは?

 

前作の「えっちなこと」をノーナ・リーヴスの奥田(健介)さんに編曲していただいたんですけど、その時に初めて気づくことや学ぶことがすごくあったんです。それ以前は自分が思うように全部をやっているというか、どういう人が聴くかも考えずに、自分が聴きたい音楽だけを考えて作っていて。歌も自分の好きな歌い方で歌うし、楽器も好きなように弾いていたし、曲の構成も自分勝手にやっていました。でも、奥田さんがアレンジしていく過程を間近で見て、それまでの私のやり方は違っていたのかもしれないなと気づいたんです。

 

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──奥田さんは、どういった部分が自分と違いましたか?

 

奥田さんは、とにかく細かいんです。歌録りに関しても、「ここの発声は、こうしてみてください」とか「入りのこの音を、もうちょっとはっきり歌ってみてください」という感じで、細かくディレクションしてくれて。そこで気づくことがたくさんあって、自分に足りないもの、それはまだまだたくさんあるんですけど、とにかく次に生かそうという気づきがいっぱいありました。その結果、自分が歌う歌を人に届けるということを、前作の「えっちなこと」で初めて意識したと思います。

 

──まだまだたくさんあるということですが、自分に足りないと気づいたものをあげるとするならどんなところでしょうか?

 

音楽ともう1度向き合うこと、聴いてくれる人とちゃんと向き合うことだと思います。今までもアレンジャーさんをお迎えして楽曲を制作することはあったんですけど、スタッフさん側からの提案だったんです。でも、「えっちなこと」の時は自分が好きなアーティストさんの名前をスタッフさんに伝えて、じゃあ奥田さんにお願いしたいね、ってなって、自分から奥田さんにアプローチしていきました。そこで、初めて誰かと一緒に音楽を作るということに向き合ったというか。だから、今回の「悪い友達」でも、自分と聴いてくれる人に対して向き合おうと思ったんだと思います。すごく大きな経験だったし、自分の中で大きな変化でした。

 

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──そんな経験と変化を経て、今回の「悪い友達」が完成したんですね。

 

最初は今回もアレンジャーさんを迎えて制作しようかという話もあったんですけど、最終的には自分で編曲をすることになりました。奥田さんが編曲した「えっちなこと」のアレンジがすごくいいという声も多かったので、その次の曲を自分で編曲することには、妙なプレッシャーがありました。でも、奥田さんから学んだことを生かして、どういう人が聴くか、自分はどういう音楽が好きか、どんな音が聴きやすいか、馴染みやすいか、そういうことを考えましたね。その上で、自分が好き勝手にやる部分は間奏に詰め込むとか、全体的なバランスを意識して作りました。

 

──「悪い友達」のポップさを聴くと、今の話が腑に落ちます。

 

今までは、音程が合ってて、なんとなくいい感じやったらいいかなと思ってたんですけど、今回は発音を気にしたり、サウンドと歌のバランス、楽器のバランスもすごく考えて。ここまでやるとちょっとアングラっぽすぎるんかなぁとか、でもメジャーすぎるのもちょっと嫌だなとか、そういうことをたくさん考えました。

 

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──以前から変化した部分はありますが、今はこれがやりたいことだし、好きな音楽なんですよね?

 

そうですね。そこを妥協しちゃうと、のちのち歌いたくなくなるんですよ。好きじゃなくなっちゃうというか。私は、それがすごく嫌で。だから、人に届けることは意識するけど、あくまで自分の好きな音で人に届けるということを意識しているのが、今の木下百花ですね。

 

──優れたポップミュージックって、そのバランスが絶妙ですからね。

 

昔は、まったく気にしてなかったんですよ。大衆にウケるとか、毛嫌いしてましたから(笑)。いや、そんなの知らんしって(笑)。でも、この1年で変わりました。

 

──「悪い友達」というタイトルも印象的です。

 

このタイトルになったきっかけは、対バンをしたことをきっかけに仲良くなった柴田聡子さんと、2人で釣り堀に行った時の何気ない会話なんです。その時に、“悪い友達”という言葉が出てきて、そこから膨らませていきました。なので、タイトル先行で、歌詞の内容は自分の中で想像して作っていった感じです。私は、基本的に自分の身の回りに起きたことや、それについて考えたことを歌詞にするんですけど、「悪い友達」は想像で書いた部分が多いですね。ここまで想像力を使って書いた歌詞は、今までで初めてかなと思います。

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──聴いた人は、自分にとっての「悪い友達」ってどんな人だろうと考えたりするんじゃないかと思います。

 

そんなふうに、自分に当てはめて聴いてくれたらうれしいです。私のファンの方は、私と同世代とかもう少し下の女の子が多いので、悪い友達に惹かれやすい時期なんじゃないかなと思うし(笑)。自分に当てはめて聴けば、いろいろと想像しやすいとも思いますから。

 

──MVでは、相手役の女性とのキスシーンがあったり、その女性を土で埋めていくシーンがあったり、百花さんならではの世界が展開されています。

 

MVでは、私自身が“悪い友達”で、確かにはたから見たら悪い友達なんですけど、相手からしたらどうなんだろう、っていうことを思いながら撮影しました。

 

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──確かに、相手役の女性の表情がすごく絶妙で、百花さん演じる“悪い友達”と一緒にいることが喜びなのか悲しみなのか、希望なのか絶望なのか、そのどちらにも取れる表情、その両方を揺れ動く表情をしています。

 

そうなんですよね。そこは、監督もすごく意識していました。

 

──ここで音楽以外の質問を1つさせていただきたいんですけど、「私は意外と●●なんです!」という部分を教えてもらえますか?

 

これはもう、「私は意外と怖くないんです!」ですよ(笑)。そりゃ、首にタトゥーが入っているし、普通は怖いと思います。むしろ、怖くないはずがない(笑)。でも、実際には全然怖い人ではないので!

 

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──「悪い友達」をリリースしたすぐあとには、2022年を迎えます。どんな1年にしたいと思っていますか?

 

怖い人ではないという話ともつながるんですけど、もっと楽しい私を見せて、今の自分をたくさんの人に知ってもらえる1年にしたいですね。2月には大阪と東京で生誕ワンマンライブ「生きるとは」が開催されるんですけど、そこでもみんなを巻き込む楽しいライブをしたいですね。今の私は、そういうライブが好きなので!

 

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文:大久保和則

写真:平野哲郎

 

 

▼ 「木下百花 生誕祭 -生きるとは-」

■2022年2月6日 大阪・梅田Shangri-La

日程:2022/02/06 (日)

開場 / 開演:OPEN 16:15 / START 17:00

チケット代:スタンディング ¥4,000 (税込/整理番号付)[D別]

 

■2022年2月13日 東京・恵比寿LIQIUDROOM

日程:2022/02/13 (日)

開場 / 開演:OPEN 16:15 / START 17:00

チケット代:スタンディング ¥4,000 (税込/整理番号付)[D別]

 

【チケット】

2021/12/18 (土) 10:00より一般販売開始

 

<プレイガイド>

ぴあ:https://bit.ly/3pYhoqM

e+:https://bit.ly/3yzqEWp

ローチケ:https://bit.ly/3yBSD7V

 

▼店舗用BGM「OTORAKU」にて木下百花が作ったプレイリストが公開中!

タイトル

空間の音楽 by 木下百花 ~ひとりの夜に聴く音楽~

 

ひとり、夜の部屋でボーッとしながら聴いたり、あるいは、静かな落ち着いた雰囲気のカフェで流れてきたり、「ひとりの時間」を贅沢なものにしてくれるプレイリストにしました。

https://otoraku.jp/playlist/curator.html?current=19#CATEGORY

 

1.Dayglow「Close To You」
2.サマー・ソルト「One Last Time」
3.フィッシュマンズ「BABY BLUE」
4.The Internet「Bravo」
5.ユール「Pretty Bones」
6.細川ふみえ「チェリー・ヴァニラ」
7.泉まくら「エンドロール」
8.TOKYO HEALTH CLUB「CITYGIRL」
9.坂本慎太郎「まともがわからない」
10.Chara「永遠の詩」
11.柴田聡子「東京メロンウィーク」
12.宇宙ネコ子「Like A Raspberry」
13.木下百花「ひかる」
14.木下百花「月が見える」
15.木下百花「悪い友達」
16.豊平区民TOYOHIRAKUMIN「LIFE」

 

▼関連インタビュー(encore)

木下百花「悪い友達」インタビュー――好きな音楽と向き合って

https://e.usen.com/feature/feature-unext/kinoshitamomoka-waruitomodachi.html

 

▼木下百花「悪い友達」はこちらから

レコチョク:https://recochoku.jp/artist/2001230011

TOWER RECORDS MUSIC:https://music.tower.jp/artist/detail/2001230011

dヒッツ:https://dhits.docomo.ne.jp/artist/2001230011

  • 木下百花

    木下百花

    2017年、異才のアイコンとして存在感を放っていたNMB48を卒業。
    自分の表現の場として、練習していたギターで楽曲制作を始め、
    シンガーソングライターとしてライブ活動をスタートし、
    2019年7月「わたしのはなし」でソロデビュー。
    アイドル界からも社会の常識からもハミ出した鋭利なキャラクターと、
    それとは裏腹に繰り出される繊細なメロディや言葉の数々は
    ライブでも強烈なインパクトを残す。
    2020年12月16日にリリースした自身初のフルアルバム「家出」では、
    自身でアレンジを行ない、“今の木下百花”のバンドサウンドを詰め込んだ。