Vo・Gtの塩塚モエカ、Baのゆりか、Drのフクダヒロアからなる3人組バンド「羊文学(ひつじぶんがく)」。2012年の結成から8年の時を経て、ついに、2020年12月9日にメジャーデビューが決定。今回のメジャーデビューに合わせて1stメジャー・フルアルバム『POWERS』をリリースする羊文学に話を聞いた。アルバムについてはもちろんのこと、バンドメンバーそれぞれでの他己紹介や、ここでしか読むことができないの意外な一面まで、今、注目の羊文学の読み応えのあるインタビューとなっているので、是非最後までチェックしてほしい。

 

 

 

ようやくできたという気持ちでいっぱいで、まだまだ振り返る段階にはないですね

 

 

 

――皆様それぞれ、他己紹介をお願い致します。

 

塩塚モエカ(Vo・Gt):フクダはしっかりもので、ゆりかちゃんは変わってておもしろい。2人とも安心な船みたいな感じです。

 

 ゆりか(Ba):塩塚は感受性豊かで、私が何とも思わないことも彼女には深く感じるものがあったり、それ故に気持ちの浮き沈みも激しい人ですが、そこに羊文学の楽曲の根源的な部分が生まれている感じがします。

フクダは本当に自分の好きなことに夢中になるタイプで、1つのことを深く深く掘り下げるタイプだと思います。それはドラムの音にもはっきり出ている部分だと思います。私はいろんなものに手を出してしまうので、尊敬です。

 

フクダヒロア(Dr):塩塚モエカとは、17才の頃に出会いました。場所は、新宿JAMのスタジオでした。僕が高校生の頃、リーガルリリーのサポートメンバーで演奏させてもらってた頃、そのライブ映像を見てくれて、誘ってくれたのがきっかけです。言葉の表現力が豊かで、、学力が高くて、映画にも詳しくて多才な人です。バンドでは趣味もシガーロスやthe xx、yuckが好みだったり、アンビエント〜エレクトロニカ、インディロックも好んでいたり聴く音楽の共通点もあります。唯一無二な歌声と彼女が書く、情景が浮かぶ様な楽曲が好きです。スタッフや関わる人への愛情もあって、人間味もあって、尊敬できる存在です。

ゆりかちゃんと出会ったのは、2017年頃です。場所は、ガードアイランドスタジオ下北沢WESTでした。前のベーシストわかこちゃんが居なくなり、新メンバーを探している頃にメンバー募集に応募してくれました。元々、羊文学のことを好きでいてくれていたそうなので、嬉しかったです。音楽の趣味は、ザ・ストーン・ローゼズやはっぴいえんど、サニーデイ・サービスなども好きだったり、フォークソングやオルタナなサウンドが好みです。共通点は、お互い上の兄妹がいる所。僕は、姉が二人いて姪っ子が3人いて、ゆりかちゃんは兄が二人いて。いつも一緒にいて、居心地が良いところがあるのと、和むというか、安心できる存在ですし、優しい人です。僕自身、同世代の友達が周りにあまりいないので、同い年なのが嬉しいですし、ゲームが好きだったりドラえもんが好きだったりと、カルチャーの掘り下げも深い人です。

 

――皆さんが音楽を始めたきっかけを教えて下さい。

 

塩塚:幼稚園のときにSPEEDさんをテレビで見て、歌手になろうと思いました。

 

ゆりか:音楽そのものを始めたのは小学一年生のときです。ピアノを習わせようとする親に逆らってやろうとしなかったのですが、どこかの素敵な神社に置いてあった和太鼓の譜面をみて、幼い私は何かを感じたようで急に「ピアノやりたい!」と言い出したそうです(笑)。結局ピアノではなくエレクトーンをずっと習ってました。高校に入ってギターを始め、バンドを鳴らし始め、大学に入って羊文学ではベースをやっています。いろんなものに手を出しがちです。

 

フクダ:父親がドラムをやっていて家にセットがあり、始めたのがきっかけです。

 

――皆様それぞれの「人生の1曲」がありましたら教えてください。

 

塩塚:鬼束ちひろ「We can go」です。父が好きで、昔、車で流れていた曲です。歌詞の意味がわからないままずっと歌っていて、今でもよく口ずさみます。カラオケではこれしか歌えません…(笑)。

 

ゆりか:バンドを始めるきっかけになったのは、ゴリゴリのロックンロールを聴いたのがきっかけです。オアシスやレッド・ツェッペリンを聴き始めるんですけど、特に影響を受けたのはThe Strypesというバンドです。歳がだいたい同じで、「こんなかっこいい人たち今でもいるんだ!」と衝撃を受けました。「Rolin’ And Tumblin’」はカバー曲ですが、本当にかっこいい。この頃からフジロックにも行き始めて、完全に音楽の虜になりました。彼らの演奏を見たときは感無量でしたね。まぁこの曲はやってくれなかったのですが(笑)。

 

フクダ:American football「The Summer Ends」です。高校生のころ、バンドをしたくても組めなかった時期が1年以上あって、下北沢ERAやBASEMENTBARに通っていて、その時期に教えてもらったのがUSインディーで、エモ、マスロック等に影響を受けたバンドAmerican footballでした。オルタナティブやポストロックなどの音楽も聴くようになり、自分が好きなジャンルやサウンドが分かったことがバンド人生で一番大きかったです。高校生の頃、リーガルリリーというバンドでサポートメンバーをしていたのですが、そのライブ映像を塩塚が観てくれていて、羊文学に誘ってくれました。その時期にもリーガルリリーでは、ライブのSEにしていたりと、思い出深い曲です。

 

――さて、今回レコチョクの新企画・Breakthroughの12月Breakthroughアーティストにピックアップされましたが、今のお気持ちをお聞かせ下さい。

 

ゆりか:レコチョクさんは昔から馴染みが深く、たくさん利用させていただいたということもあり、とても嬉しいです。レコチョクさんの特集は「家事がはかどるBGM」「フィギュアスケート使用曲」など、個性があって興味をそそるものが多く、気になります(笑)。

 

――ありがとうございます。1stMajor Full Album『POWERS』はメジャー1発目にふさわしい、とても満足感のあるアルバムだと感じました。ご自身たちにとってどんなアルバムになりましたでしょうか?

 

塩塚:本当のところ、ようやくできたという気持ちでいっぱいで、まだまだ振り返る段階にはないですね。アルバムを作るのは私たちにとってあまりやってこなかった作業なので。聴いてくれる人のお守りになれば良いと思います。

 

1stMajor Full Album『POWERS』

 

――「POWERS」というタイトルに込められた意味を教えてください。

 

ゆりか:POWERSは、元気とか活気あふれる力のpowerに複数形のsをつけることで、「権力」だったり「マジックパワー」の意味になります。今回のアルバムは一つ一つの楽曲がそれぞれ物語を持ち、様々な葛藤を抱えながらもしっかりとした目的があります。曲ごとに、いろんなパワーを感じられる作品になったと思います。

 

――アルバム制作時のエピソードや込めた想いなどを教えてください。

 

フクダ:「POWERS」という楽曲があるのですが、アレンジに時間をかけた曲なので、展開・コーラス・歌詞など、様々な箇所に注目して聴いて頂けたらと思います。そして今回のアルバムでは、「お守り」がテーマ、キーワードとなっていますので、近くで見守るような、寄り添うような、背中をそっと押してあげれるような存在の一枚になればという気持ちで制作しました。

 

――塩塚さんが普段、作詞/作曲をする上で大事にされていることはなんですか?

 

塩塚:自分の心に正直なことです。

 

 

 

羊文学「あいまいでいいよ」 Official Music Video

 

 

 

――私生活から意識されていることや、インスピレーションを受けていることなどがありましたら教えてください。

 

塩塚:心が動くのを我慢しないこと。わがままをいうこと。自分をよく見せようとしないこと。

 

――ASIAN KUNG-FU GENERATIONさんの楽曲への参加ということで、10月7日に「触れたい確かめたいfeat.塩塚モエカ」がリリースされました。塩塚さんが楽曲参加とグループでの活動、ソロでの活動で意識されていることがありましたら教えてください。

 

塩塚:参加する時は、パズルのピースみたいな感じで、上手く呼んでくれた方のイメージに沿うことが一番。バンドではわがままを言います(笑)。ソロでは一番いろいろ挑戦します。

 

 

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『触れたい 確かめたい(feat.塩塚モエカ)』Lyric Video

 

 

 

――羊文学ツアー2021”Hidden Place”を控えられておりますが、ファンの方に楽しみにしておいてほしいこと、準備されていることがありましたら教えて下さい。

 

フクダ:ツアータイトル「Hidden Place」とあるように、秘密基地のような場所になればと思います。3月14日に行われるツアーファイナル、オンライン公演では、演出の面でも面白いことをメンバーで考えていますので、是非楽しみにして待って頂けたら嬉しいです。

 

 

 

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