2016年に当時日本人力士として10年ぶりに優勝、幕内勝利数は781と歴代6位を誇る大相撲 元大関・琴奨菊の秀ノ山親方が、2022年10月1日(土)に東京・両国国技館で断髪式を開催する(https://hidenoyama.jp/)。この引退興行を、琴奨菊引退相撲事務局とともにレコチョクも協力。チケットは、レコチョクが提供するECソリューション「murket(ミューケット)」にオープンした「琴奨菊引退興行ストア」にて販売(WEBでのチケット販売は9月7日まで)。また、引退興行でのチケットの半券をNFTとしてプレゼントする企画やVR映像の撮影などをサポートしている。伝統を守りつつ、新しい試みにチャレンジする親方は、実は、音楽好きという一面も。今回、音楽との出会いや現役時代の音楽との向き合い方を相撲情報誌「TSUNA」編集長であり、ミュージシャンとしても活動する竹内一馬氏にインタビューいただいた。さらに、親方が作成したプレイリストも公開。ぜひ、最後まで読んでいただきたい。なお、本プレイリストでも楽曲を紹介している遊助さんとの対談も近日公開予定です。

 

現役の頃は音楽で気持ちを高めていくことで、取組前の不安を取り除いていました

 

──まず最初に、親方が音楽を聴くようになったキッカケを教えていただけますか?

 

初めてCDを買ったのがスピッツのアルバムだったんです。中学高校まで、高知・明徳義塾へ6年間相撲留学していましたが、そのアルバムとglobeのCDを持って行って、CDプレイヤーで擦り切れるくらい聴いていました。山の中にある学校だったので、他のCDを買いに行くこともなく、その2枚ばかり聴いて育って(笑)、音楽との出会いはそこがスタートラインでした。

 

──中学入学と同時に福岡の親元を離れて、新しい生活がスタートしたときに側にあったのが音楽で、そのときの淋しさなどを支えてくれたのが初めて聴き込んだ音楽だったんですね。

 

はい、自分が音楽で一番いいなと思うことは、記憶に残る出来事や風景の側にいつも音楽があるということなんです。そのときに流れていた音楽を聴くと、自分が苦しいときに流れていたなとか、いろいろな思い出とリンクしてフラッシュバックするんです。

 

──親方のプレイリストを拝見すると、音楽と共に辛い局面を乗り越えた現役生活でもあったんですね。

 

現役生活は音楽で自分を奮い立たせていたように思います。気に入った歌詞を思いながら、どんな状況でも「もうひと踏ん張り!」「目の前の壁をぶち破ろう!」とやってきました。振り返ると、よく聴いていた音楽はどうしても自分への応援ソングが多くなっていますね。

 

──2016年初場所で初優勝された直前に聴かれていた音楽は覚えていらっしゃいますか?

 

本場所中はいつも重低音の効いた洋楽のトレーニング音楽をiPodに入れて、爆音で聴いていました。重低音のリズムに乗って気持ちを高めていくことで、取組前の不安を取り除いていくということをよくやっていました。

 

──それは意外ですね。感情がたかぶる、歌詞のある音楽を聴いていると思っていました。

 

取組前は闘争本能を高めていかないといけないのに、歌詞があると、感情が入りすぎてメンタルが落ち着いてしまったり、相撲に集中できないんですよ。出稽古で、元横綱・稀勢の里関(現二所ノ関親方)、元横綱・日馬富士関、元横綱・白鵬関(現宮城野親方)らと稽古をするときは、生身のメンタルでいったら負けるような気がしたので、音楽を爆音で聴いてテンションを上げて稽古していました。それがないと不安だったので、本場所でも同じことをしていました。興奮を高めるのも、落ち着かせるのも、闘う気持ちのスイッチの切り替えも、音楽でしたね。

 

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──もし、親方が音楽で気持ちを切り替えることをしていなかったらどうなっていたと思いますか?

 

最終的に現在の結果は出ていなかったと思いますし、相撲でも馬力がそがれていたと思いますね。

 

──親方が勝つときの相撲は、立ち合い鋭く当たって、一気にがぶり寄って押していくのが一番の持ち味ですが、爆発力を土俵の中で出すには、音楽が一つのキーになっていたんですね。

 

そうですね。音楽が私の潜在能力を出してくれていましたね。

 

 

──親方がプレイリストで選曲された遊助さんの「がぶり街道」は現役のときに琴奨菊の応援歌としてプレゼントされた曲だそうですね。

 

はい。相撲界に入門して10年経ったころ、友達がビデオメッセージを作ってくれたんです。「人間が成長するのは10年刻みだよ。まだまだこれから成長できる!」といった励ましの内容で、そのBGMに使われていたのが遊助さんの「10年 遊turing 童子-T」だったんです。それがキッカケで曲がすごく好きになって、さらに遊助さん個人のファンになったんです。

それからプライベートでお付き合いをさせていただけるようになったんですけど、ある時、「自分はこういう相撲人生で、こんな気持ちで相手に向かっています」といった話をしていたら、「それ、曲にしてもいい?」って言われて出来上がった曲が「がぶり街道」 なんです。曲のイントロ部分で「’Coz you’re hero」という歌詞があるんですが、私の本名である「カズヒロ(一弘)」と「ヒーロー」をかけて「カズヒーロー」と聴こえるんです。本人からも「気持ち込めて歌ったからね」と言っていただき、今でも大好きな曲なんです。

 

──GReeeeN「Green boys」も大好きな曲だそうですね。

 

この曲は大関昇進のときの想い出の曲です。大関昇進がかかっていた2011年の名古屋場所ではすべてのマスコミをシャットアウトして、それが大関への近道なんだと考えていたんです。でも、目安である33勝に1勝足りない成績で終わってしまいました。

次の九月場所の前にNHKから密着取材のお話をいただき、今度は逆にオープンにして、自分自身にかけてみようと思ったんです。場所前の出稽古から密着してもらって、これだけカメラを向けられていたら、昇進できない姿を映させるわけにはいかない、絶対に大関を掴むぞ、という考えが良い方に転んで、昇進を決めることができました。その番組で使われていた曲がGReeeeNの「Green boys」で、私の相撲人生において大きな場面で何度も耳にした曲でした。「僕ら何度でも 何度でも 挑めばいいさ 明日も明後日も 自分で決めた道を逃げたりしないだろ?」という歌詞には本当に何度も助けられました。

 

 

──熱心な相撲ファンならわかる方も多いかと思いますが、馬場俊英さんの「スタートライン」はもう二所ノ関一門のアンセムとして受け継いでいった方がいい曲ではないでしょうか?

 

元横綱・稀勢の里関(現二所ノ関親方)ですよね(笑)。現役時代無口を貫き通した力士が聴いていた曲ですもんね。私もすごく好きな曲で、好きすぎて稀勢の里関、元関脇・豊ノ島関(現井筒親方)が引退したとき、この曲のCDをプレゼントしましたからね。

 

 

──エリック・クラプトンの「ワンダフル・トゥナイト」にはどんな思い入れがあるんですか?

 

嫁との想い出の曲で、出会ったときにこの曲が流れていたんです。それ以来ずっと聴いていて、携帯の着信音に設定しているぐらい好きな曲です。気持ちが完全にオフのときに聴いています。

 

──さて、ここで、10月1日に断髪式が控えている、現在の気持ちを聞かせていただいてよろしいでしょうか?

 

まず、ご来場いただいた皆さまの思い出になるような断髪式にしたいと思っています。今回は、レコチョクさんの力もお借りしながら、いろいろな試みをやっていますので楽しみにしてほしいです。

 

──NFTなども取り入れられるそうですね。

 

はい。伝統を重んじつつ、新しい取り組みを通して、全く新しい層の方にも相撲への興味をもっていただきたいという気持ちがすごくあります。今回は、断髪式に来場いただいた方全員に、スマホで手元に置いていただける「チケット半券特典NFT」としてプレゼントさせていただきます。他にも、初優勝を決めた2016年初場所での元大関・豪栄道関(現武隈親方)との取組を自分で再現した映像を撮影して、「VR映像」として断髪式当日に皆様にご覧いただけるような体験も用意しています。

 

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■秀ノ山OFFICIAL WEB SITE   https://hidenoyama.jp/

 

──それは楽しみですね。断髪式では、毎回、止め鋏の直前にある演出が楽しみなのですが、親方も特別な演出を考えていらっしゃいますか?私はあの演出で泣かなかったことはありません。

 

優勝した一番にするのか、大関昇進のときにするのか、今も悩んでいます。自分の相撲人生の代名詞と呼べるような一番を選ぼうとは思っています。期待してご来場ください。

 

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──2020年11月に現役を引退されてもうすぐ2年になろうとしています。親方としての今後の展望を話せる範囲でお聞かせください。

 

今、相撲をやってくれる子供たちが減っています。どういうアプローチで相撲に興味を持ってもらうかもすごく大切だと考えていて、これまで相撲とは距離のあった方たちにも相撲に触れてもらう機会を作っていったり、子供たちにももっと相撲へ興味を持ってもらいたいと考えています。

 

──行儀や挨拶だけでなく、社会に出た時にも通じる大切なことを学べるのが相撲界だと思っているので、これからどんな力士が育つか楽しみですね。ところで、豊ノ島関(現井筒親方)の断髪式では最後の取組相手が親方でしたが、本当に楽しそうに相撲を取られていたのが印象的でした。

 

中学一年生のときに二人が初めて対戦したときのような気持ちで最後の取組を取っていました。あの相撲は絶対勝ってやろうと思って取っていたんですけど、意外とお互い意地の張り合いみたいになってきて、最後はしっかり外掛けしてきましたからね(笑)。

 

──ご自身の断髪式では誰を最後の対戦相手にするか、もう決まっているんですか?

 

最後の相撲は息子と取ろうと思っています。今5歳で、相撲が大好きで、練習もしっかりやらせています。断髪式に出ることになってからは、ライバル意識が芽生えてきたようで、私が食事でご飯を3杯食べたら「僕も3杯食べる」と言って張り合ってくるようになったんですよ。

 

 

──将来は力士になってほしいという想いはありますか?

 

もちろんです!本人も「力士になりたい」と言っていますし、力士にはなってほしいですね。相撲で人生にとって大切なことは全て学べると思っていますので。

 

──僕も大相撲の世界は本当に人生の縮図だと思っているので、もっともっと相撲が普及していってほしいと思っています。それでは最後に、断髪式に来場される方に一言お願いします。

 

長い間、琴奨菊の応援をいただきありがとうございました。琴奨菊として最後の大銀杏姿となります。約20年間この大銀杏と共に相撲人生を歩んできましたけども、10月1日の断髪式でひとつの区切りとなります。コロナ対策も万全にして安心・安全の断髪式となるようつとめますので、ぜひ多くの方にお越しいただけると嬉しく思います。

 

 

文:竹内一馬

撮影:松永光希

 

 

【琴奨菊引退 秀ノ山襲名 披露大相撲】

▽WEBでの販売は9月7日(水)23:59まで お早めにお申込みください!
■日時:2022年10月1日(土)  開場10時30分/取組開始11時30分/打出(終了)16時(予定)
■概要:ふれ太鼓、相撲甚句、初切、十両全取組、髪結い実演、断髪式、櫓太鼓打ち分け実演、横綱綱締め実演、幕内全取組 他
■場所:両国国技館
■主催:琴奨菊後援会
■後援:佐渡ケ嶽部屋後援会
■各種チケット販売情報・座席表:「秀ノ山OFFICIAL WEB SITE」 をご覧ください。

※来場者全員に「チケット半券特典NFT」を無料でプレゼント!紙チケットとあわせて、「来場の証」としてぜひお受取りください。
※初優勝の取組を親方自身が再現したVR映像を制作、会場で無料でVR体験いただけます。
※本引退興行は、イベント開催における新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインに基づき開催します。

 

 

【秀ノ山親方(元大関・琴奨菊)選曲プレイリスト:その時聴きたい音楽が自分の心のバロメータ selected by 秀ノ山親方(元大関・琴奨菊)】

「現役時代は闘志を燃やすための音楽やリラックスのための音楽があり、その時の精神状態を最大限に引き出すために音楽を聴いていました」 

 

「Green boys」GReeeeN、「10年 遊turing 童子-T」遊助、「ひまわり」遊助、「雄叫び」遊助、「がぶり街道」遊助、「我が敵は我にあり」羞恥心、「正解(18FES ver.)」RADWIMPS、「もぐらの唄」EXPRESS、「闘うあなたへ」EXPRESS、「覚悟はいいか」ケツメイシ、「スタートライン」馬場俊英、「愛しい人へ」ET-KING、「ギフト」ET-KING、「我が人生に悔いなし」石原裕次郎、「海 その愛」加山雄三、「明日へ向かって」長渕剛、「HOLD YOUR LAST CHANCE」長渕剛、「人生の扉」竹内まりや、「The Rose」アマンダ・マクブルーム、「ワンダフル・トゥナイト」エリック・クラプトン、「悪魔の子」ヒグチアイ

 

こちらからお楽しみ下さい。

▼dヒッツ  https://dhits.docomo.ne.jp/program/10040779

▼TOWER RECORDS MUSIC   https://music.tower.jp/playlist/detail/2000130061

  • 琴奨菊

    琴奨菊

    福岡県柳川市出身、現在38歳。2002年に初土俵を踏み、2005年、1月場所で新入幕を果たし、2007年3月場所で新三役(関脇)に昇進。2011年9月場所後に大関に昇進し、2016年1月場所で初優勝、これは、日本出身力士としては10年ぶりとなる優勝でした。2020年11月場所で現役引退と年寄秀ノ山の襲名が承認され、初土俵から約19年、通算成績828勝676敗42休、幕内優勝1回、十両優勝1回という土俵人生に幕が引かれました。