昨年、政府による緊急事態宣言を受けた営業自粛をきっかけに立ち上げた「新宿ロフト」発信の支援プロジェクト「Forever Shinjuku Loft」。5月にドネーショングッズ「オリジナルマスク」をWIZYで販売、多くの支援を受け、現在も感染拡大予防に徹した様々な取り組みを行い、有観客ライブや配信ライブを中心に営業を行っている。コロナ禍で苦戦を強いられる中、第2弾として広島の老舗コーヒー専門店「昴珈琲店」の「オリジナルブレンドコーヒー」を1月27日(水)まで販売(https://wizy.jp/project/553/)。今年45周年を迎える「音楽や出会いを育み、届ける場所」を守るスタッフの毎日、本プロジェクトに賛同いただいた方への感謝、また、ステージに立つアーティストの想いを浅岡雄也(ex.FIELD OF VIEW) に話を聞いた。

 

 

 

前回のドネーショングッズの反響はかなり大きかったですね。現在もライブハウス営業が出来ていることを大変感謝しています

 

 

 

――インタビューの直前、2度目となる緊急事態宣言が発令されましたが、現在、新宿ロフトの営業はどうなっているのでしょうか?

 

樋口寛子(「新宿ロフト」ブッキング担当):主催者さんに開催の意向をうかがって、新宿ロフトとしては無観客配信であれば対応できますよ、と伝えています。ただ、緊急事態宣言が出た後は開催を迷う方も多く、その気持ちは私たちもわかるので、無観客でもやりますという方はやっていただき、延期したい方は希望の時期を聞いて、なるべく延期するように話を進めています。中止もありますが、前回の緊急事態宣言と比べると、延期か無観客の二択が多いですね。延期公演の調整はだいぶ落ち着いてきたのですが、先が読めないので、この先のブッキングは、動きづらいところがありますね。

 

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――浅岡さんは毎年、誕生日のイベントを新宿ロフトで開催されているそうですが、今年1月24日(日)に行う予定だった「U-ya Asaoka 52nd BirthdayLive 2021」を3月28日(日)に延期されましたね。

 

浅岡雄也(ex.FIELD OF VIEW):強行実施することも考えたのですが、もしも万が一感染者が出た場合は、またライブハウスへの風当たりが強くなるかなと。だから、ただ中止にはしたくなかったので、3月28日に延期できて良かったなと思っています。こればかりはどうしようもないし、誕生日を2回祝ってもらえるからいいかなと(笑)。ただ1月24日当日、僕もメンバーも空いているので、無観客で配信ライブをすることにしました。ビデオ4台仕入れ、試行錯誤でなんとかしましたので、無観客配信Live開催します!

 

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【 www.uyax.jp 】https://note.com/uyax/n/n4d366f011d94

※配信ライブの設定も浅岡雄也自身が手掛けている

 

 

――新宿ロフトでの最近の出演アーティストやお客様の反応はいかがですか?

 

樋口:昨年から配信ライブも実施していますが、「楽しめました」というコメントをくれるお客さんもいましたし、配信ライブを観たことで「生のライブを観たくなった」という声もありました。最近は、皆さん配信ライブに見慣れてきたようで・・・言葉は悪いですが、飽きられないかなという怖さはありますね。ただ、今後、有観客で公演ができるようになっても、これからは配信ライブも当たり前になっていくと思うんです。もともと、ライブハウスは“生のライブを観てほしい”というプライドがあるので、コロナがなければ私たちも配信ライブには取り組まなかったと思うんです。ですから、すごくポジティブに言うと、いい機会だったなと思います。

 

浅岡:一年前は「配信ライブ?」みたいな空気があったじゃないですか。それがアーティスト側がきちんとしたものを提供すればいいというようにシフトチェンジしましたね。僕らは音楽家だから、“音をきちんと届けたい”という気持ちがまずありますから、それを大事にして、今は、ポジティブに考えなきゃいけないと思って、グチを言わずに頑張っています(笑)。でも、初めて配信ライブをやったときは、お客さんもいないし、シーンとしているから、「観ているか?」と言うと「888888・・・・・」ときて、もう、どこかで観ているんだろうなと思うしかない(笑)。お客さんがいないからってテンションを下げちゃいけないし、有観客と同じテンションでやっても滑稽に見えるだろうから。配信なりの魅せ方、演奏の仕方は絶対あると思うので、いかに面白がってできるかを考えてやっています。10年したらホログラムで映像も出てくるような時代になるかもしれませ
んしね(笑)。

 

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――新宿ロフトでは配信ライブに対してどのように取り組んで来られたのでしょうか?

 

樋口:ロフトでは配信ライブを実施するときに、プロの撮影クルーは入れられないし、自分たちの手作りでやっています。去年までは、配信ライブを自分たちがやるなんて思ってもいなかったのですが、今は、ロフトの配信を観て良かったと思っていただくために、私自身も、アイドルからバンド、シンガーソングライターまでいろいろな配信ライブを観て勉強しています。自分だったらこうしてあげたいな、というアイデアも浮かびますからね。アーティストの楽曲を理解した上でカメラワークやスイッチングも考えなきゃいけないなということは、その中で感じました。最近はロフトスタッフも慣れてきましたし、みんなすごいなって思います。バンドさんも2,3回配信ライブをやるとちゃんとカメラに向かって歌ったり、話しかけたりと変わっていきます。一緒に成長するイメージですね。

 

――この1年で、ライブハウスという場所に対する考え方で変わった部分はありますか?

 

樋口:「ライブハウスは文化、カルチャーを発信する場所」だと思います。テレビ番組にもいろんなアーティストが出てますけど、そこにいき着くためのきっかけを作ってきた場所なんだなと。ライブハウスは小さな場所かもしれないけど、余計になくしちゃいけないと思うようになりました。雑多なところから、いろんなものが生まれているんだなと実感しましたね。

 

浅岡:僕は中学生の頃、新宿ロフトに行き、そこでBOφWYを観て音楽を本気でやろうと思ったので、ほんと、原点ですね。コロナ禍でライブハウスやリハーサルスタジオも結構なくなっちゃったので、貴重な存在です。僕はどんなことがあっても最終的にはライブハウスに戻っていくだろうな、と思っています。

 

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――その新宿ロフト支援のための「Forever Shinjuku Loft」では、ドネーション企画として昨年WIZYでマスクプロジェクトを実施されましたが、反響はいかがでしたか?

 

樋口:昨年の春頃、新型コロナの感染拡大予防の影響でライブの中止・延期があまりにも多くて、毎月の固定費は払わなければいけないし、いよいよやばいぞ、という状況になったんです。ちょうどその頃、マスク不足だったので、抗菌性のある布をつくって、何度も使えるマスクをドネーショングッズとして販売しようと。反響はかなり大きかったですね。現在もライブハウス営業が出来ていることを大変感謝しています。

 

――マスク製作というのは未知の分野で大変だったんじゃないですか?

 

樋口:はい。マスクの製造方法もわからなかったので、アパレル関係者の方に間に入ってもらい、新宿ロフトらしい市松模様のデザインで作っていただきました。マスクを作りながら、同時に配信ライブもやれと言われたので、どうしようたらいいんだろうって。

 

浅岡:ははははは。

 

樋口:アーティストの方に「ライブをやってください」とは言えない状況でしたし、みんなで悩んで、配信トークイベントをやろうと。浅岡さんにも出演いただき、「Forever Shinjuku Loft #stayhome」を実施しましたが、皆さんに大変お世話になりました。ライブハウス発の配信は新宿ロフトが一番早かったかと思います。配信の機材はすべて揃っていたので、新宿ロフトをつぶすわけにはいかないし、毎日スタッフとミーティングしながら試行錯誤してやっていました。

 

――浅岡さんは配信トークの出演依頼が来たときはどう思われましたか?

 

浅岡:攻めてるなと(笑)。さすが新宿ロフトと思いましたね。配信トークに関しては少しでも貢献できればいいなと。この状況は打破するしかないですからね。アーティストにとって、箱(ライブハウス)がないとできないし、箱もアーティストがいないとできない。持ちつ持たれつですからね。

 

樋口:トークライブ配信の後は、順序だててやっていこうと、ライブ配信、無観客ライブ、9月から有観客でのライブと進めていきました。

 

 

 

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