「ギャング・オブ・ポップ」という言葉を引っ提げ、数々の名曲を生み出し、早耳リスナーを中心に注目を集める長野県伊那市発の4人組バンド、FAITH。4月28日に待望の2nd Full Album『Sweet Error』をリリースする。そこで彼らにインタビューを行い、楽曲制作時に感じたことや裏話を中心に話を聞いた。最後には彼らが作ったプレイリストも紹介。メンバーそれぞれがアルバムの中で想い入れのある曲なども紹介してもらっているので、是非アルバムを聴きながら、インタビューを読んでほしい。

 

バンドの幅が広がる作品になったし、ここからのいろんな可能性が見える一枚になったと思っています

 

――4月28日にアルバム『Sweet Error』をリリースしました。記念すべきデビューイヤーの2020年はコロナで思うように活動出来ない中、配信リリースや配信ライブとできる中での活動をしてきましたが。まず、2020年を振り返っていかがでしたか?

レイ:アルバム『Capture it』をリリースして、ここからってところでツアーができなくなって。「これからなのに!」って悔しい思いはありましたけど、その後の気持ちの切り替えも意外と早くて。「だったら、配信でリリースしよう!」って動き出したり、配信ライブについても考え始めたり。思ったほどは挫けなかったなと思っています。

 

ヤジマ:時間があったから、バンドの方向性を話すきっかけになりましたね。自分たちの好きな音楽も、一度立ち止まって見返すことができたというか。今回のレコーディングはやりたいことや方向性がわりと見えてる中、時間をかけてできたんです。

 

藤子:私も、時間ができたことで、心に余裕ができましたね。ステイホーム期間はいろんな音楽に触れて、ベースがカッコいい曲や音使いが面白い曲を勉強して、「こんな音楽を作りたいな」って気持ちも膨らんでいきました。そこで得た知識はすごく力になったと思うし、前向きな気持ちにもなれました。

 

Akari:私も、家にいられる時間に曲と向き合うことができました。今まで書いてきた歌詞と向き合いつつ、新しい曲にどう今の歌詞を入れていくかというのもじっくり考えられたので。今回は前作よりもう一歩深く、自分と対話するような歌詞になっていて。自粛期間があったからこそという部分は、あると思っています。あと、2ヶ月くらいメンバーと会わないというのが始めてで、リモートでは話すけど、会えないことに最初はすごい違和感があって。自粛が開けてスタジオに入った時、ちょっと緊張しちゃいました(笑)。

 

――Akariさんの「大好きなアーティストたちが音楽で励ましてくれた」というコメントを拝見しましたが、新しい音楽に触れる機会、吸収する機会も多かったですか?

Akari:はい。普段から新しい音楽はプレイリストでダウンロードして、シャッフルして聴いてるんですけど、そこで名前も曲も初めて聴くアーティストにたくさん触れて、新しく知ることができましたし、歌詞にも影響を受けました。自粛中は良かったアーティストをみんなで共有して、そこで新しい音楽を知って…ということもしていましたね。

 

――自粛期間中はミーティングなども、リモートも利用してだったんですか?

Akari:ミーティングだけじゃなくて、アルバムの曲作りもリモートメインでした。でも、逆にPCを使っての曲作りだったり、いままでやりたかったけどできなかったこともできて。リモートメインだったことで、新しい方向性が示せた部分もあると思います。

 

――2020年に配信リリースした「Headphones」「Irony」「Last will」も自粛期間中に作ったんですか?

レイ:「Headphones」の元になるデモが2020年2月に出来て、他の2曲はその後だったので、タタキはスタジオで作って、リモートで詰めていきました。それ以外のアルバムの曲は逆で、ほぼリモートでタタキを作って詰めていって、最後にスタジオで確認した感じです。

 

FAITH – Headphones (Official Music Video)

 

――配信リリースされた3曲をリアルタイムで聴かせてもらった時、「Headphones」は『Capture it』を推し進めた形で聴いたんだけど、「Irony」、「Last Will」って聴いた時にすごい進化・変化を感じて。決定的だったのが「Last Will」のRouno Remixを聴いた時、「FAITHは音楽性を大きく広げて、次のステージに行ってるんだ」と思ったんです。

ヤジマ:もう、おっしゃる通りです! あの3曲を作っていく中で、自分たちの方向性が定まっていったので。音楽的な幅を広げるための重要なステップだったし、バンドとエレクトロを混ぜてFAITHのポップスを作っていくってところで、すごく良い階段になりました。

 

FAITH – Irony (Official Music Video)

 

――アルバムを聴いても「Stand Up and Scream It」とか、歌詞やテーマはすごくロックだけど、バンドサウンドやロックにこだわっていない曲があったり。全体通してポップに振り切って、いろんな曲調があるけれど、配信リリースされていた楽曲を聴いていたからスッと入り込めました。

レイ:『Capture it』作り終えて、いきなり『Sweet Error』だったら、上手くできなかったかもしれないな、とも思っていて。3部作が良いグラデーションを描いてくれたんだと思います。「Last Will」ができた時には、「FAITHでこういう曲も出来るな!」って自信も生まれました。あの時期、ライブができないからこそのフラストレーションを楽曲制作に思い切りぶつけることもできたし。あの3曲のお陰もあって、自粛期間をプラスに捉えることができたかなと思います。

 

FAITH – Last Will (Official Music Video)

 

――そこでAkariさんが歌詞に専念できたのは、楽器隊がこの先のFAITHの在り方をしっかり考えて、サウンド面を任せることができたからっていうのもあると思うんですが?

 

Akari:そうだと思います。私の歌詞やメロディを聴いて、みんなが「こういう方向性ね」って汲んでくれやすくなった気もしています。今回、オケが先にできることが多かったんですけど、「こういう曲をやりたい」って話してたことがしっかり反映されていたので。演奏面に関しては信頼して歌詞を書くことができて、良い分業ができていたんだと思います。

 

藤子:うん、Akariのやりたいことを汲み取りやすくなったなっていうのは私も思うし。自粛期間にたくさん音楽を聴けていたこともあって、想像力も広がったんだと思います。

 

――なるほど。では改めてですが、『Sweet Error』完成しての感想はいかがですか?

レイ:満足です!すごくカッコいいものになったし、リモートで作るっていうのも特殊で挑戦的な一枚になったんですけど、挑戦する中でよい完成図が見つけられたので。バンドの幅が広がる作品になったし、ここからのいろんな可能性が見える一枚になったと思っています。自分たちでもここからどう変化していくかが楽しみに思える一枚になりました。

 

ヤジマ:僕もアルバムが完成した時はすごく嬉しかったし、作っているうちにどの曲もどんどん好きになっていきました。前はロックが大好きで、「ギターロック最高!」って感じだったけど、制作していく中でどんどんポップスが好きになっていくという心の変化もあって。「FAITHのポップスをやろう!」という方向性に直進出来たんです。そしたらフレーズひとつに対してもすごく気にするようになったし、そんな自分のギターが好きだし。ギターで表現していたところを違う音で表現するって作業もすごく楽しくて。個人的にもギタリストとして、ミュージシャンとしての幅がすごく広がったと思います。

 

藤子:私は最初の印象として、FAITHがやるポップスの中でもいろんなカラーが見えるアルバムになったなと思って。このアルバムを表すには、“レインボー”っていうのが一番ふさわしいな、と思いました。自分のパートの話だと、今まで以上にFAITHにいろんな人が関わってくれて、制作方法も変わっていく中で、いまの自分が持ってるスキル以上のことに挑戦出来たし。自分でたくさん考えて、練習して、挑戦して。その一つひとつが成長に繋がったし、自信になったと思っています。生ベースとシンセベースを使い分けたりする中で、ベースの在り方や自分の在り方も見えてきたし、FAITHのベーシストとしてだけでなく、人間的にも成長できたアルバムになりました。

 

Akari:私は今までのアルバムも“その時の自分たちのベスト”って形で出せていたし、お気に入りの曲もたくさんあるんですけど、今回はその気持ちが特に強くて。「一番のお気に入りです!」って自信持って言えるし、自分の表現したかったことを忠実に表現できたアルバムになったと思います。

 

FAITH_Sweet-Error_JK

FAITH『Sweet Error』ジャケット写真

 

――今作は「21Vibes」で映画のオープニングのように始まって、主人公の心象風景や心変わりをドラマチックに描いていく、映画やドラマみたいなアルバムでもあるなと思いました。

Akari:去年の配信ライブのコンセプトも「短編映画を見ているようなライブ」だったんですけど、私、映画やドラマの表現ってすごく好きなんです。映画の中で描く一人の人生っていうのは、私たち含め誰にでも当てはまることだと思うし。カメラでは撮られていないけど、みんなが人生というドラマを描いていると思っていて。それを音楽でドラマチックに表現できていると思ってもらえたら、すごく嬉しいです。今回のタイトルは「Sweet」と「Error」っていう違和感のある言葉の組み合わせなんですが、毎日の小さな失敗とか、すれ違いも丸ごと自分の人生の一部として愛せるようになれたらと思って、このタイトルをつけました。

 

――アルバムに先行して「Deep in the Heart」が配信リリース、MVも公開されたりと、アルバムを象徴する曲にもなってると思うのですが、この曲はどんな経緯でできた曲だったんですか?

ヤジマ:「Deep in the Heart」は僕がリフを考えて、レイ(キャスナー)と共有して。「作ろうよ!」ってその場でZoom を立ち上げて、Akariを呼んで歌メロを考えてもらって、サビのひと塊みたいなのがすぐにできたんです。

 

Akari:歌詞はずっと前からメモしていた言葉を「この曲にピッタリかも知れない」と思って、修正しながら組み立てていったんです。

 

レイ:今回いろんな曲を並行して作っていたので、楽器隊は別の曲を進めつつ、Akariはオケができてる曲に歌詞を付けていて。他の曲もできて、「やっと「Deep in the Heart」に触れるな」って時に歌詞ができていて。最初見たとき、「すげぇな!」と思いました。今までなかった感じで新鮮でもあって。

 

FAITH – Deep in the Heart (Official Music Video)

 

 

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