国内外問わず、音楽好きなリスナーから注目を集める全編英詞の4人組ギターロックバンド・DYGL。

7月7日(水)には3rd Album『A Daze In A Haze』をリリースし、レコチョクのアーティストピックアップ企画・Breakthroughにも選出された、今勢いのあるDYGLのボーカル・ギターを務める秋山信樹を中心に、インタビューを行った。

彼らの音楽に向き合う姿勢や音楽への愛が全面的に伝わるインタビューになっているので、是非インタビューをチェックしてほしい。

 

普遍的な一場面として捉えてもらえたら嬉しいです

 

──音楽に触れるきっかけ、音楽活動を始めたきっかけを教えてください。

 

秋山信樹(Vo./Gt.):小学生の頃、Bump of Chickenを好きになったのが大きなきっかけだったと思います。自分もギターが弾いてみたくなって。そのあとしばらくして、14歳の頃にThe Viewというスコットランドのバンドに出会って。彼らを発見したA&Rの人が、The StrokesやThe Libertinesを見つけた人っていう記述を見つけて、だんだんと、当時の海外のインディロックにのめり込んでいきましたね。

 

──「人生の中で影響を受けた1曲」がありましたら教えてください。

 

秋山:The View のアルバム『Hats Off to the Buskers』の二曲目 「Superstar Tradesman」 は特別です。ギターだけのイントロ、手触りのある投げやりな二発のギターカッティングと一発のスネア。こんなに簡単なのに、こんなに特別なのはなんでだろう。衝撃で動けなくなりました。自分でもこんな音楽がやりたい。いつもはBOOKOFFとかディスクユニオンで100円とか250円とかのCDばかり買ってましたが、その日はそのままDVD付きの特別版をレジに持っていって(笑)。 Kyleの声も特別だったけれど、ソングライティングも素晴らしくて。イギリスの景色、酒の匂い、パーティの喧騒、自分の知らない何かとてつもなく楽しそうな世界が聴こえてきた。そして何より、自分にもできそうだと思わせてくれた。ギターロックの魅力が全て詰まっていると思えた曲でした。当時OasisのNoelも彼らのファーストアルバムを誉めていたのが納得です。

 

──今回、レコチョクのアーティストピックアップ企画・Breakthroughの7月度アーティストに選ばれましたが、今のお気持ちをお聞かせ下さい。

 

秋山:Breakthroughアーティスト、選出ありがとうございます! 数年前まで、自分たちのような英語でインディーロックをやっているバンドの居場所を日本にはほとんど感じなかった。インプットの面でもアウトプットの面でも、海外に出ないと日本だけでは厳しいと感じることも多かったので、国内でも僕らの音楽を聴いて、楽しんでくれる方がいるのが嬉しいです。まだ目立たない所にいても、素晴らしい音楽を作っている人たちは水面下にたくさんいる。既に話題になっていたり、既に人やお金の動かせるバンドじゃなく、トレンドとは遠いけれど素晴らしい音楽を作っている、そういう音楽家たちも認められる社会になってほしいですね。そういう意味でも、僕らみたいな少し変わったところにいるアーティストにスポットを当てて頂けるのはとても嬉しいです。僕らも1リスナーとして、これから出てこようとしているチャレンジ精神に溢れたミュージシャンの登場が楽しみです。

 

──DYGLの3rd Album『A Daze In A Haze』が7月7日(水)にリリースされました。かなりバラエティに富んだ楽曲たちが集まっていますが、改めて、どんなアルバムになりましたでしょうか?

 

秋山: 抜け感のある外に向かっていくエネルギーの曲もありながら、内向的で感情的な曲もある。いろいろな切り口で聴いてもらえたら嬉しいですね。音楽も言葉も同じように大切にしているので、作品につけている歌詞和訳もぜひ読んでほしいです。制作過程でよくテーマに挙げていたのは、サイバー感、「青空と芝生」を感じる感じ。あとは、2000年代初頭から中盤にかけての音楽的な空気をリファレンスしてました。とはいえ、特定の時代に制限されることなく、自分たちがこれまで聴いてきたいろいろな音楽やテーマが、あちこちに散りばめられていると思います。ミックスの面でもかなり丁寧に音を選んで作りました。

 

DYGL

3rd Album『A Daze In A Haze』ジャケット写真

 

──アルバムタイトル『A Daze In A Haze』は『霞の中の眩暈』という意味ですが、時代を捉えたアルバムタイトルだな、と感じました。改めて、アルバムタイトルをこれにした理由を教えてください。

 

秋山:『A Daze In A Haze』は、Sinkの歌詞から取りました。制作前後で感じていた世の中のムードや、生活の様子は反映されていると思います。霧がかった靄の中に1人で立っている感じ。ただそれは先行きの不安でありながら、逆に1人の時間に目を閉じて、霧の手触りを感じながら目を閉じるのは気持ちの良いことでもあったり。孤独の寂しさや安心感、この時期だからこそ見えることがあったり、それでもやはり追い詰められたり。複雑な世の中な分、この時期に感じることは人によって本当に違ったと思います。それぞれが自分の感覚や気持ち、人生について考える時期だったのかなと。この時期だからこそのタイトルではありますが、コロナに限った話ではなく、先が見えない状況で目を閉じて自分自身を感じる、普遍的な一場面として捉えてもらえたら嬉しいですね。

 

──アルバムの制作秘話がありましたら教えてください。

 

秋山:これまでは連続して海外でのアルバム制作が続いていたので、今回はレコーディングからビジュアルの制作に至るまで日本のチームとできたことは新しい挑戦でした。誰とやるにしても、誰かと一緒にモノを作るって大変なことですが、難しい場面はありながらも、相談できる人がいてくれたのは心強かったです。今回はhmcというスタジオの池田さんが音録りを担当してくださって、アートディレクションはMasako Hiranoさんという方と一緒に相談しながら全体のデザインを進めました。これからも国内にせよ海外にせよ、特にどこの国と拘ることなく、自分たちのやりたいことと共鳴したり、化学反応を起こすような人たちと、ものづくりを続けていきたいです。あまりビジネスライクじゃなく、単純に物作りが好きな子供心のある人と一緒に何かするのが楽しいですね。

 

──作詞・作曲の際に意識されていることがありましたら教えてください。

 

秋山:とにかく、自分自身がその音楽のファンになれること。自分が最高な気持ちになれる曲を書きたいです。自分が納得しないもの作ると飽きちゃうし、辛くなってきちゃうので。ある意味わがままなのかもしれませんが、物作る人には、良いわがままは必要だと思います。世間に合わせて、トレンドに合わせて何かを曲げたりするより、子供の頃砂遊びをしていた時みたいな、純粋な遊び心で物作る方が楽しいですね。瞬間的に売れても、自分自身がそこにいないような音楽は、自分は好かないですね、飽きちゃうので。とにかく作ってて楽しいもの、聴いて楽しい物を作ること。それだけ感じながらやっていきたいです。

 

──楽曲制作時に聴いていた楽曲、もしくは影響を受けた楽曲がありましたら教えて下さい。

 

秋山:たくさんあります!Blink-182や、Green Dayを聴いていた時の感情が、改めて戻ってきた感じはありました。2000年代によく聴いていたポップスの存在もけっこう大きかったですね。Ashlee Simpson、 Hilary Duff、 Avril Lavigneなど。最近だとClairoやMura Masa、 Soccer MommyやBeabadoobeeの音楽もよく聴いていました。Vijiもインスピレーションになったと思います。

 

──制作される際にインスピレーションを受けることがありましたら教えてください。

 

秋山:インスピレーションを受けることは製作中の出来事というより、これまでの体験の積み重ね、という感じが大きいですね。その時期に体験したことが反映されることももちろんありますが、感じ方や考え方、表現の仕方はそれまでの経験の集大成という感じがします。音楽からのインスピレーションはもちろん大きいのですが、友達との会話が僕の生活や人生の大きな割合を占めている気がするので、人との会話がそのまま音楽のインスピレーションになっている気もします。

 

──どの楽曲も印象的でしたが、お一人1曲ずつ、注目楽曲とポイントをご紹介頂けますでしょうか?

 

秋山:「Alone in the Room」はとてもパーソナルで、情緒のあるメロディが好きです。歌詞の中でも、より具体的な場所のイメージを描きこんだりして。今回のアルバムの中でも個人的にお気に入りの一曲です。

 

嘉本康平(Dr.):「7624」です。1番最初にもってきた「7624」は特に今までとの変化が感じられる曲でもあると思うので、その変化を感じつつ、後に続く曲たちも楽しんで頂けたらと思います。

 

下中洋介(Gt.):「The Rhythm of the World」です。王道なかっこいい歪みからちょっと変わった音までいろいろなギターの音が聴こえてとても楽しいです。

 

加地洋太朗(Ba.):「Stereo Song」はレコーディング時期、体調不良で欠席した翌日にこの曲のギターが入ったバージョンを聴きました。デカめの音量で流してもらったのですが、イントロで体がふっ飛ばされるようなイメージが脳内に起こったことを覚えています。

 

──「Half of Me」のMVが公開されました。また、撮影時のエピソードがありましたら教えてください。

 

秋山:この曲のビデオはアルバム全体で表現したいと言っていたサイバー感、グラフィック感が多分に表現できました。撮影自体は隅田川沿いのスタジオで、1日がかりでの撮影でした。撮影自体はけっこうストイックに、何度か演奏を繰り返しながらって感じで、素材自体はとてもシンプルだったので、編集が入って僕らもびっくりしましたね。ジャケデザインのすり合わせ作業などはリモートでのやり取りも多かったので、ディレクターのMasakoちゃんやカメラで入ってくれたTaigaくん、naïveくんと現場でお喋りしながら撮影できたのは楽しかったです。帰りはもう早朝になっていて、川沿いでおしゃべりしたり体操したりしている人を見ながら帰れたのは気持ちよかったですね。

 

♪DYGL – Half of Me (Official Video)

 

 

──全国19ヶ所を巡る「A Daze In A Haze Tour」も決定しました。意気込みを教えてください。

 

秋山:こんな時代だからこそ、対面で何かをするって大切なのかなと思ってます。人間関係にしてもそうだし、表現の場も全てリモートってわけにはいかない。そういうコンセプトのものがあっても面白いかもしれないけど、僕らは人が集まったところにあるエネルギーも好きだし、ツアーに出れるのはやはり楽しみですね。いろんな空気を吸って、逆に僕らもいく先々に何か新鮮な風を持ち込めたら嬉しいです。

 

──秋山さんにとって、ロックとは何だと思いますか?

 

秋山:ロックは音楽です。それで、音楽は楽しい物。ジャンルに拘らず、楽しいと思うことをやっていきたいです。ロックという枠組みに拘らないことが、今一番ロックなことかなと思います。

 

──DYGLは”Dayglo” (デイグロー)という”蛍光色”また”安っぽくて派手”という単語から付けられたとのことで、名前も何回か変わっているようですが、次に変える予定はありますか?

 

秋山:次は “高そうなのに地味”という意味合いのバンド名にしようと思ってますが、まだちょうど良い言葉が見つかっておりません。良さげな単語見つけた方いたらこっそり教えて下さい。

 

──DYGLさんの楽曲を聴いたことがない方に1曲おすすめするとしたら、どの楽曲をおすすめしますか?その理由も教えてください。

 

秋山:そうですね、あえて選ぶなら「Sink」を聴いて欲しいです。これまでの自分たちのバンド像と今鳴らしたい音、どちらも内包している感じがあって。バンドの外に向かうエネルギーと、内向きのエモーション、どちらも感じる作品に仕上がったので気に入っています。ただ、曲によってかなり振れ幅があるバンドだとも思うので、欲を言えば全部とは言わなくても、満遍なく聴いてみてほしいですね(笑)。

 

──DYGLメンバーの皆さんの「意外と●●なんです」という部分を教えてください。

 

秋山:意外かもしれませんが、けっこう真面目です。でも、みんな社会的なルールとか枠組みにハマれないところもあるので、そういう意味では不真面目です。

 

──今回、オリジナルプレイリストを作成頂きました。プレイリスト名、楽曲のセレクト理由を教えて下さい。

 

秋山:今回レコチョクの企画ということで、着信音で聴きたい曲に絞って選んでみました。どの曲も着信が来た瞬間にテンション上がる曲ばかりで、もはや着信来ても電話取るか悩みそうですね。良い曲が始まったらずっと聴いていたい、着信のたびにそんな気持ちとのジレンマを生じそうなプレイリストになりました。

 

──今後、歌ってみたい楽曲のイメージがありましたらお聞かせください。

 

秋山:個人的にはR&B的に歌い込む曲もやってみたいですが、バンドとしてはよりカテゴライズが難しいような、実験的な曲も挑戦したいですね。でも芯には、これまで自分たちが培ってきたロックやポップスの歌える力があってほしいなとも思っています。

 

──これから挑戦してみたいことがありましたら教えて下さい。

 

秋山:個人でもバンドでも音楽的、活動的に挑戦したいことはたくさんありますが、何はともあれ曲を書くこと。良い曲、変わった曲、不思議な曲、悲しい曲。たくさん書きたいですね。これに尽きます。曲が僕らをどこにでも連れてってくれるので、他にやりたいことは全てそこから繋がっていくと思っています。

 

──今後、ファンの方とやってみたいことがありましたら教えてください。

 

秋山:みんな同じ目線で、音楽をやっている人も、音楽好きな人もごっちゃごちゃに集まって、めちゃ大きなパーティーやりたいですね!

 

──ありがとうございました。最後に、応援してくれる方へのメッセージをお願いします。

 

秋山:再び2年ぶりのアルバム、完成できて嬉しいです。ツアーでお会いできるのを楽しみにしています!

 

文:レコログ編集部

 

▼『A Daze In A Haze』はこちらから
レコチョク:https://recochoku.jp/album/A2002276144
RecMusic:https://recmusic.jp/artist/?id=1000498501
dヒッツ:https://selection.music.dmkt-sp.jp/artist/1000498501

 

▼DYGLが選んだプレイリスト「着うたで聞きたい曲 selected by DYGL」はこちら
RecMusic:https://recmusic.jp/playlist/?id=7003
dヒッツ:https://selection.music.dmkt-sp.jp/program/10022772

 

  • DYGL

    DYGL

    DYGLは2012年に大学のサークルで結成され、アメリカやイギリスに長期滞在をしながら活動を続ける全編英詞のギターロックバンド。
    2017年にリリースした1stアルバム『Say Goodbye to Memory Den』はAlbert Hammond Jr.(The Strokes)とGus Obergがプロデュースをし、期待のインディロックバンドとしてNMEで紹介されるなど、高い評価を受ける。
    イギリスに拠点を移し、国内外での活動を続ける中、2019年2nd アルバム『Songs of Innocence & Experience』をリリース。
    2020年にはアルバムに向け制作を行いながら、米・配信メディアNoonChorusで収録ライブを公開。同年11月、英国ラジオ局Absolute RadioにてSpit It Outがオンエアされ約25万人の視聴を記録した。
    2021年3月3日に配信リリースされた「Sink」は、ダイハツ『タント・カスタム』のCM楽曲に抜擢された。