現在放送中のTVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」OPテーマで話題沸騰中のシンガーソングライター・安月名莉子(あづな りこ)。20214月にはTVアニメ「幼なじみが絶対に負けないラブコメ」のOPテーマを務めることも決定しており、アニメファンを中心に注目が集まっている。

楽曲によって様々な色を見せてくれる彼女だが、今回WIZYでは『アヅナリコーヒー』と題して、生配信ライブを中心としたプロジェクトを実施。そこで、安月名莉子にインタビューを行い、彼女のルーツから昨今の活動について、さらに彼女の趣味や意外な一面まで語ってもらった。

 

 

私の歌を喜んでくれる人がいることに気づき、みなさんのために歌いたいと思うようになりました

 

 

――シンガーを目指すようになったきっかけを教えて下さい。

 

小さい頃から、母親によくミュージカルに連れてってもらっていて、それもあって、最初の夢は舞台役者でした。それから劇団に入り、いろんな舞台を経験させていただいて。そこで本当に自分がやりたいことを模索していくうちに、一番得意でもあった歌を中心に活動していきたいと思いました。それが高校を卒業した頃です。

 

――そのまま舞台でミュージカルを中心に続けていく道もあったと思うのですが…。

 

正直な話をすると、私は高校生になるまで、自分が一番歌もダンスも、お芝居も上手いと思っていました(笑)。

 

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――その自信は最高の武器ですよね。

 

はい。でも、たくさんのオーディションを受けていくうちに、それが大きな勘違いだと気づいて。さらに、自分が落ちたオーディションの舞台を見ていると、「こんなに上手い人たちがいるんだ」「これは敵わない」って思いました。その瞬間、私は自分が得意だと思えるものをちゃんと極めようと決心したんです。その時に、たまたま流れていた『ミュージックステーション』で歌う家入レオさんを見て、感銘を受けて。同世代でありながら、自身の叫びを歌詞にして歌っていた姿をみて、「私もこうなりたい」と思いました。その後、家入レオさんも通っていた音楽塾の門を叩きました。

初日の面談から、みなさんのレベルの高さに衝撃を受け、泣きました(笑)。そこで洋楽などもしっかり学び、あらためてシンガーソングライターになりたいと決意しました。

 

――音楽塾に通っていくうちに、どんな心境の変化がありましたか?

 

音楽塾で同じように夢を目指している人たちを見ていると、“私はこれを伝えたい”という熱い気持ちを持った方達がたくさんいて、圧倒されました。でも、私自身もミュージカルや舞台で与えられた台本をしっかりと届けたいと思いながら演じていたので、その芯は同じなのかなと思えました。デビューして、アニソンに出会ってからは、アニメに寄り添い、気持ちを届けることがすごく楽しくなってきて。そのなかで、自分のなかにある感情をしっかりと出していきたいと思うようになりました。

 

――ちなみに、安月名さんにピックアップしていただいたプレイリストには、KT タンストールやジョン・メイヤー、藤原さくらさんなどギターの音色が印象的な方が多いですね。

 

そうですね。私自身、歌に専念したときに、気持ちを伝えられる手段のひとつとしてギターを始めました。最初はものすごく難しくてかなり苦戦したのですが、どんどん好きになっていきました。なかでもKTタンストールさんは私のルーツです。彼女はルーパーでギターの音をどんどん重ねてリズムを刻んでいくんです。その手法を日本のアーティストであまり見たことがなかったのですごく衝撃的でしたね。私自身も、人と違うことをして“見つけてほしい”という気持ちが強かったので、ギターの弾き語りで路上ライブをしていましたし、こういう楽曲が好きだったのかな、って。

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――路上ライブではかなりメンタルが鍛えられたのではないでしょうか。

 

鍛えられましたね。それまでは役を頂いて、舞台の上で、お客さんもちゃんといるという恵まれた状況でしたが、路上ライブではお客さんがいないときもザラでした。毎回路上ライブを終えた後は反省しかなかったです。でもある時、必死になりすぎている自分に気づきました。でも、アニソンを歌うようになってからは、アニメのファンのみなさんに触れて、こんなにも私の歌を喜んでくれる人がいることに気づき、みなさんのために歌いたいと思うようになりました。

 

――それは大きな変化ですね。

 

はい。それこそ最新曲の「keep weaving your spider way」は、“強くなる”というテーマの曲なんです。私、涙腺がすごく弱くて、舞台やステージに上がった後も悔しくて泣くことがよくありましたでもそろそろ、聴いてくれるみなさんを引っ張っていく存在になりたいと思っていたので、このテーマを与えていただき、ターニングポイントにしなくちゃいけないなって思っていて。さらに、カップリング曲の「tear the score」では、逆に弱い私のことを歌っています。自分の意見を言えず、人の目を伺ったり、本当になりたい自分をちゃんと言語化できなくて悩んだり…。そんなときに、私って、手動のオルゴールボックスにすごく似ているなって思いました。どんなに着飾って、可愛らしくしてもらっても、回してもらえないと歌えない。私はみなさんに聴いてもらえないと、歌うことはできないんです。その想いを作詞家さんに伝えて、作っていただきました。タイトルは、“楽譜を引き裂く”という意味なのですが、与えられた楽譜をただ歌うだけではなく、自分からメロディをつくりだしてやるという意味が込められています。

 

 

安月名莉子 「tear the score」 Visualiser

 

 

――すごくストレートな想いと、決意が詰まったシングルになっているんですね。

 

はい。パッと聴くと正反対の曲に聴こえるかもしれませんが、「tear the score」があるからこそ、「keep weaving your spider way」を歌うことができたと思っています。

 

――すごく素敵ですね。

 

ありがとうございます。とはいえ、「keep weaving your spider way」は、TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」のオープニング曲として書き下ろされているので、歌詞はこの先のストーリーにもリンクするものになっています。原作ファンの方には熱くなってもらえる曲だと思いますし、初めて私がダークロックに挑戦しているので、楽しんで聴いてもらえたら嬉しいです。

 

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――MVは今までとは違う雰囲気でしたよね。

 

今回は“クモクモダンス”を踊っています(笑)。蜘蛛の女王をテーマにミステリアスに仕上げていただきました。でも、撮影現場はすごくほんわかして、監督さんもすごくおもしろくて楽しかったのが印象に残っています。

 

 

安月名莉子「keep weaving your spider way」MV(TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」OPテーマ)

 

 

 

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