レコチョクでは、2023年4月より「NX開発推進部」を設立しました。当部署はレコチョクのビジョンである「人と音楽の新しい関係をデザインする。」を具体的なアクションとすべく、 “新しい音楽体験を創造する”ことをミッションに掲げ、ソフトウェアやハードウェアの開発を行う部署です。10月には、テクノロジーを活用したプロダクトの展示やデモンストレーションを行う国内最大規模の展示発表会「Maker Faire Tokyo 2023」にスポンサー出展します。
今回は当部署に所属する木村、河野、後藤、深沢の4名で座談会を実施。「NX開発推進部」立ち上げの背景や、「Maker Faire Tokyo 2023」に出展するプロダクトの魅力などを語ってもらいました。

木村拓也
NX開発推進部 Androidアプリ開発グループ エンジニアリングマネージャー
「音楽という好きな分野に関わりたい」という想いから2021年に中途入社。Androidアプリを中心にプロダクト開発を行いながら、エンジニアリングマネージャーとしてマネジメントにも従事。

河野穣
NX開発推進部 iOSアプリ開発グループ リーダー
2019年に新卒として入社。自由な服装で働けることや、音楽事業に特化した会社という面に魅力を感じ、プログラミングスキルを活かせると感じたことから入社を決意。現在はiOSアプリを中心に、リーダーとしてメンバーの中心となり、プロダクト開発を行う。

後藤新
NX開発推進部 iOSアプリ開発グループ
2021年に新卒として入社。「デジタルやプログラミングと音楽を掛け算して新しい音楽体験を提供したい」という想いからレコチョクに入社。iOSアプリを中心にプロダクト開発を行う。

深沢雛子
NX開発推進部 Androidアプリ開発グループ
2022年に新卒として入社。自身が学んでいたプログラミング分野と好きな音楽を掛け合わせられることに魅力を感じ、レコチョク入社を決意。新卒2年目ながら持ち前のチャレンジングな姿勢で、Androidアプリを中心に、プロダクト開発に従事。
新しい音楽体験を生み出す「NX開発推進部」
──まずは「NX開発推進部」立ち上げのきっかけや目的を教えてください。
木村:今年度からAndroidやiOSのアプリを開発するメンバーを中心に「NX開発推進部」という組織を立ち上げました。
NXとは「New eXperience」の略称で、ただアプリ開発をするだけでなく、新しい音楽体験を生み出すことをミッションとしています。「X」には「eXperimental」(=実験的な)という意味もあるので、さまざまな実験をしながら新しい体験を模索していく意味を込めて、NX開発推進部と名付けました。
また、音楽の「楽」は「楽しい」という意味もあるので、遊び心を持ちながら楽しく開発を進めていくこともスローガンとして掲げています。現在はソフトウェアだけでなく、ハードウェアの開発にも取り組んでいます。
──それぞれが担当している業務を教えてください。
深沢:私は主にAndroidのアプリ開発をしていて、現在は「PlayPASS Music Player」を担当しています。また「Maker Faire Tokyo 2023」の出展に向けて、音に反応して動いて喋る小型ロボットの制作も担当しています。
後藤:僕はiOSアプリの開発担当で、現在はレコチョクとタワーレコード社が協業で運営している音楽サブスクリプションサービス「TOWER RECORDS MUSIC」に携わっています。「Maker Faire Tokyo 2023」では、手の動きを使って演奏するテルミンのような電子楽器を開発しています。
河野:僕も後藤くんと同じくiOSアプリを開発していて、リーダーとして、若手メンバーのメンタリングや開発時のファシリテーションなども担当しています。「Maker Faire Tokyo 2023」の出展に向けてはサイリウムを振って楽しむ体験型音楽ゲームを開発しています。
木村:私はAndroidアプリ開発グループのエンジニアリングマネージャーとして、メンバーのマネジメントやフォローをしています。あとは子会社である株式会社エッグス に出向して、システム開発の窓口を担当しています。「Maker Faire Tokyo 2023」ではAndroidチームとiOSチームの合同でのPoC開発プロジェクトを立ち上げて、全体管理も行っています。
──NX開発推進部で新しい音楽体験を作ることにチャレンジする中で、気づいたことや感じたことはありますか?
後藤:僕が実際に手に取って体験ができるハードウェアの開発に携わるのは、NX開発推進部が立ち上がってからの試みです。ハードウェアとソフトウェアが連携したときのワクワク感は、これまでにない面白さだと感じています。
木村:これまで使うことのなかった3Dプリンターなども活用するようになりました。開発の選択肢が増えたことで、これからの可能性をすごく感じています。
国内最大規模で開催される展示発表会「Maker Faire Tokyo 2023」に出展
──「Maker Faire Tokyo 2023」(以下MFT)に出展することになったきっかけを聞かせてください。
木村:NX開発推進部で何にチャレンジするかを考えていたとき、前職時代にMFTにスポンサー出展したことを思い出したんです。ソフトウェアだとお客さんからの反応は基本的にアプリストアのレビューがメインなのですが、イベント等でお客さんにプロダクトを直接触ってもらえる機会があると、その反応を見ることもできるので、すごくいい機会なんですよね。これまでの技術やアイデアを活用する良いチャンスでもあると思ったので、今回スポンサー出展することを決めました。
──MFTでは3つのプロダクトを出展します。まずは「PsyRhythm/サイリズム 」について、どんなプロダクトなのか聞かせてください。
河野:僕が開発を担当している「PsyRhythm/サイリズム」は体験型の音楽ゲームで、サイリウムライト を振った振動で結果が変わる仕組みになっています。
これまでの音楽ゲームは譜面に沿ってどれだけ正確に操作できるかでスコアが出る仕様のものが多かったと思いますが、「PsyRhythm/サイリズム」ではサイリウムライト を振ることで、そのプレイヤーにしか出せないジェネラティブアートが出来上がり、完成した作品を持って帰れるような遊び方ができます。
譜面などが分からなくても楽しめるので、小さなお子さんも従来の音ゲーが好きな人でも楽しめるゲームになったと思います。
──開発を進める上で苦労した点はありますか?
河野:スマホアプリではなかなか使わない技術領域かつ複雑なシステムなので、技術面を勉強する必要があったのは大変でした。
ただ、普段とは違う技術領域にチャレンジすることにより、チーム内で「大学で物理を勉強していたから、振りを検出するための知識はあるよ」「卒研でハードウェアの研究をしていたんだよね」など、アプリ開発では生まれないような会話もできました。みんなのバックグランドを知れたり、お互いの知見を活かせたりできたのはすごく面白かったです。
──では次に、「レコチョクマミン」について教えてください。
後藤:「レコチョクマミン」は、手をかざすと音が鳴る「テルミン」という電子楽器と、会社のマスコットキャラクターである「レコチョクマ」を掛け合わせたプロダクトです。手をかざす距離によって音や音量が変わる仕組みになっているので、手軽に音楽を楽しめます。
3Dプリンターを用いたモデリングは初の試みで苦戦した場面もありましたが、それがやりがいや面白さにも繋がったかなと思います。
──3つ目の、音に反応して動いて喋る小型ロボット「おしゃべりぱくちゃんず」はどんなプロダクトでしょうか?
深沢:「ぱくちゃんず」は周りの音に反応して口をパクパクしながら声を発する、球体型のロボットです。イベント会場ではぱくちゃん複数個と通信機1つを並べる予定です。通信機のマイクが音を拾うと、ぱくちゃん達がおしゃべりするようにしたいと考えています。「ぱくちゃんず」が発する声も可愛くしているので、ぜひ注目してもらいたいです。
木村:内部設計もゼロから行っているので、かなりこだわりのあるプロダクトになっていますね。今回出展するプロダクトは、通信トラブルのリスクを回避するために、すべてWi-Fi通信を使わない技術を模索して辿り着いたプロダクトになっています。
──MFTを通して実現したかったことはどんなことでしょうか?
MFTをきっかけに、レコード会社さんとも良い相乗効果が生まれたり、やはり「新しい音楽体験といえばレコチョクだよね」というイメージの定着に繋げたりできればいいなと思っています。
河野:そのためにも新しい技術の情報のキャッチアップを徹底して、何かやりたいことが出てきたとき、すぐに「この技術が使えそうですよ」と言える体制を作っておきたいですし、今回「Maker Faire」出展によってまた一歩前進できたかなと思っています。
木村:今はソフトウェアもハードウェアも開発の引き出しを増やしているところなので、面白そうなアイデアや提案があったら、気軽にレコチョクへ相談してもらいたいです。
さまざまなチャレンジで音楽×〇〇の可能性を広げていく
──今後、NX開発推進部で挑戦していきたいと思っていることはありますか?
木村:NX開発推進部では、「新しい音楽体験といえばレコチョクだよね」と言われるようなビジョンを目指しています。ソフトウェアだけでなくハードウェア開発にもチャレンジしているように、いろんな選択肢を広げていけたら良いなと。
今社内で「with AI」と題して、生成AIの積極的な活用に向けても取り組んでいるので、今後はAI技術を取り込んだコンテンツなども出してきたいと考えています。
後藤:僕もAIに注目しています。ChatGPTやGitHub Copilotなどを活用し、日常業務の効率化を図っています。同時に、これらの技術を音楽事業にどのように応用できるかを模索しています。僕がレコチョクに入社したきっかけは、音楽とデジタルを組み合わせて新しい音楽体験を創出したいという想いからでした。そのため、今後も新しい価値を生み出し、お客様により良い音楽体験を提供できるように努力していきたいです。
深沢:私は「ぱくちゃんず」の開発を通じて、ハードウェアと音楽のドッキングがすごく楽しいなと感じています。レコチョクでは新しい音楽体験を作る環境が整っているので、これからも音楽と何かを組み合わせたものづくりにチャレンジしていきたいですね。また、楽しめるだけではなく、生活に溶け込むような、実用性のあるものも作っていければと考えています。
河野:今はMFTに向けてハードウェアの開発に力を入れていますが、ソフトウェアでももっとできることがあるのではないかと考えています。
特に最近は好きなアーティストを応援する「推し活」も当たり前になっている時代なので、ファンの方たちの熱量を上手く昇華できるような体験をソフトウェアの中で提供できたら良いなと考えています。レコチョクのビジョンである「人と音楽の新しい関係をデザインする。」にも繋がると思いますし、これからも多角的に新しい音楽体験を追求していきたいですね。
文:伊藤美咲
写真:平野哲郎