音楽×web3で、音楽市場の最大活性化に貢献する。「レコチョク web3プロジェクト」の狙いと展望 音楽×web3で、音楽市場の最大活性化に貢献する。「レコチョク web3プロジェクト」の狙いと展望

INTERVIEW

音楽×web3で、音楽市場の最大活性化に貢献する。「レコチョク web3プロジェクト」の狙いと展望

SHARE

  • FacebookFacebook
  • XX

レコチョクでは、2021年7月に「レコチョク web3プロジェクト」が発足。2022年1月には音楽業界向けワンストップECソリューション「murket(ミューケット)」にて自社基盤を使用したNFTの販売機能を追加し、これまで300種類以上の多様なNFTの販売をサポートしてきました。2023年には、NFTそのものをチケットにした「レコチョクチケット」(チケット型NFT)の提供を開始。NFTと音源やデジタルブックレットがセットになった商品パッケージなどをリリースしています。

今回は「レコチョク web3プロジェクト」に携わる川畑、小南、権藤の3名で座談会を実施。プロジェクト発足の経緯や音楽業界でNFTを活用することで広がる可能性、レコチョクで取り組んだNFTの事例などについて語ってもらいました。

川畑達嗣

川畑達嗣

次世代ビジネス推進部 次世代企画グループ

2020年新卒入社。社内にエンジニアがいるレコチョクで新しいファン体験ができるサービスを企画・開発したいと思い入社を決意。現在はNFT所有者専用サイトの企画や、NFTを活用した施策の企画・設計を行う。

小南勇介

小南勇介

次世代ビジネス推進部 次世代企画グループ リーダー

2017年に新卒として入社。好きな音楽を軸に、モノコトをカタチにしていきたい、とレコチョクに入社。現在は音楽×NFT商品の企画・開発に携わりながら、イベントに積極的に登壇するなど、音楽×web3についての考え方や、商品事例などを紹介・発信するなどの役割も担っている。

権藤洋一郎

権藤洋一郎

次世代ビジネス推進部 web3開発グループ マネージャー

2017年に中途入社。自分が熱量を持って取り組めると思った音楽と、自身の持っている開発スキルを掛け合わせられるレコチョクに魅力を感じ、入社を決意。エンジニアとしてNFTを活用した商材開発・設計の中心として関わりながら、プロダクトマネジメントにも従事。

新技術を音楽ビジネスで利活用するプロジェクトを発足

 

──「レコチョク web3プロジェクト」を立ち上げた背景を教えてください。

 

小南:「レコチョク web3プロジェクト」は、「今後web3の時代が来る」という考えのもと、2021年に発足しました。

 

当時は「音楽を含めたエンタテインメント分野で活用できるのではないか」という仮説のもと、ブロックチェーンを主軸にしつつ、新技術を音楽ビジネスで利活用するための専門部隊として立ち上げました。

 

──プロジェクト発足から2年の間で、web3はどのように変化したと感じていますか?

 

小南:プロジェクトがスタートしたときとは確実に状況が変わっています。ただ、人々の生活にブロックチェーンの仕組みや考え方を導入していく動きは国をあげて盛んに議論・検討されている状態なので、レコチョクとしてもそこに音楽文脈で存在感を出していきたいと思っています。

 

この数年でweb3に携わる人は増えましたが、未だに正解がない領域です。なので僕らは、社外に対しては繋がりを広げたりアンテナを広げたりしながら、社内ではメンバーと密に話し合いながら、常に「次の音楽ビジネスのあるべき姿」をチューニングしています。

 

web3は革新的な技術ではあるんですけど、活用の仕方を間違えると誰にもフィットしていないものになってしまうんですよね。今日を生きているアーティストも今日完成した楽曲も、いつか来るweb3時代を必ずしも見据えているわけではないと思うので、今は既存のデジタルビジネスの延長線上にweb3がある、というアプローチを主軸にするべきだと思っています。

 

 

NFTは所有した先にある体験に価値がある

 

──NFT はどんなものだと捉えていますか?

 

小南:NFTは、ファンを「瞬間」でセグメントできるツールであると捉えています。アーティストは手に取ってくれたファンが嬉しいと思う企画をしながら、そのファンと継続的なコミュニケーションを取ることができる。今はそういった活用方法をスタンダードにしていきたいと思っています。

 

現代ではストリーミングサービスやSNSが普及したことで、曲を聴いたりアーティストの言葉に触れたりすることが気軽にできるようになりましたよね。そこで広がった“間口”の奥行きを出すのがNFT、というイメージです。例えば、NFTによってライブに行った日や、応援し始めた時期が分かるというブロックチェーンの特徴は、ファンにとって特別なものになるのではないかなと考えています。

 

川畑:一時期はNFTアート作品が高額で売買された、というようなニュースが多く報じられたことで、「普通の画像をNFT化するだけですごく価値のあるものになるのではないか」という認識が広まった時期もあったと思うんですけど、NFTの本質的な魅力はやはりそこじゃない。NFTは所有した先にある体験にこそ価値があるものだと思っています。

 

権藤:NFTは、買って終わりの商品ではありません。川畑の言うように、NFTを買った後の体験が大事だと思うので、NFTの商品企画やプロダクト設計の際は、その魅力をしっかり理解・体感してもらえるような設計をしないといけないなと感じています。

 

 

──レコチョクではこれまで300種類以上の多様なNFTの販売をサポートしてきましたが、特に印象に残っている事例を教えてください。

 

小南:ヤングスキニーさんのフリーライブで、NFTが取得可能なチケット型カードを無料配布したことですね。彼らがメジャーデビューして、これからもっと活躍の幅を広げていくというタイミングでご一緒できたのは感慨深かったですし、そういった活動のタイミングにぴったりの企画に落とし込めたと思っています。また、5000枚のカードがすぐに配布終了したことへの嬉しさや驚きもありましたね。

 

権藤:レコチョクで開発し、提供している「レコチョクチケット」はチケットとしても利用できるNFTで、記載されているQRコードを読み込むことで電子チケットのように使用でき、紙チケットのようにお客様の手元にデジタル上で半永久的に半券が残る仕組みです。

 

その「レコチョクチケット」の事例として、2023年3月に開催されたライブ『SPEEDSTAR RECORDS 30th Anniversary「LIVE the SPEEDSTAR」』で参加特典NFTを配布したことが印象に残っています。会場内に出展されたコーヒー屋さんでNFTを見せると割引になる、という特典施策を実施したのも、NFTを身近に感じてもらえる新しい取り組みでしたね。このように、NFTはデジタルで完結するだけでなく、フィジカルの体験とも繋がった価値を提供できるのも魅力の一つだと思っています。

 

川畑:僕は「レコチョクチケット」の事例だとCAIKIさんのバースデーライブで採用していただいたことも印象に残っていますね。「レコチョクチケット」を持っている方だけが入れるDiscordサーバーを開設して、実際にライブに行った方や同じ熱量を持つファン同士で会話できる仕組みを作りました。そのサーバーではCAIKIさん本人とファンの方がコミュニケーションを取る機会も提供できたので、今後の取り組みにも活きるような事例が作れたのではないかなと思っています。

 

あと、バレエヴォーカルユニット のPOiNTさんの生い立ち画像を見られるNFTを販売したことも印象に残っています。もちろん生い立ち画像を見られるという体験自体も素晴らしいですが、このNFTのポイントは、同じブロックチェーンのインフラであれば他社のサイトでも利用できることです。彼女たちはすでにNFTの販売やNFTコミュニティサイト運営の実績があったので、レコチョクだけでなく、他社のNFTコミュニティサイトとも連携させた形態にしました。

 

レコチョクで購入したデジタルコンテンツはレコチョクでしか使えないのがweb2のスタンダードだったので、「web3の理想に近い形を実装できたのではないかな」と個人的には思っています。

 

 

小南:こういったテクノロジー活用が主な活動内容なので、僕らはずっと机に向かっているイメージを持たれがちなんですけど、実はけっこう現場に出ることが多いんです。実際に会場に足を運んだり、お客さんの反応を見たりすることで気づくことも多いので、僕らのチームはけっこう行動型かもしれないですね。

 

“音楽とweb3を組み合わせるならレコチョク”

 

──今後、レコチョクが提供するNFTをどのようなものにしていきたいと考えていますか?

 

小南:先ほど川畑が話したPOiNTさんの事例のように、当社がサポートしたNFTが別のサービスでも使える、といった連携施策ができたらいいなと思います。

 

「どっちが便利」という話ではなく、機能やビジネス面ですみ分けをした上でのコラボレーションが実現してこそ、NFTの良さがより発揮されるので、今後もやっていくべきだと思っています。

 

川畑:web3も音楽業界も変化が激しいので、ひとつのやり方に囚われずに、アーティストの状況やタイミング、そして世の中的なトレンドに合わせたものを作っていくことが大事だと考えています。そのために、当たり前ではありますが、常日頃からチーム内で情報収集や共有を積極的に行っています。

 

権藤:エンジニア目線で話すと、現状ではNFTを取得する前段階のUXがまだまだだと思うんですよね。ウォレットを作ったり認証してもらったりと、前準備としてやらなければならないことがすごく多いし、手順も少し複雑なので、どうしても扱いづらいものとして捉えられてしまうんですよね。それをいかに、より良い体験にするには技術的に、またUI的にどうしたらいいかを考え、NFTをもっと手軽で簡単なものに進化させていきたいなと思っています。

 

 

──では、音楽×web3の中で実現したいことなどを聞かせてください。

 

小南:今はweb3に対する見解を求められる、まだ答えのないフェーズだからこそ、我々が正しく応えられるポジションにいることが大事だと思っています。

 

実際に、お取引先様に「メタバースってどう活用すればいいかな」「AIの状況ってどんな感じ?」と相談を受けることもあります。それをすぐにビジネスに落とし込むというよりは、その信頼関係を大事にしながら、実現に向けて一緒に答えを作っていけるような、「音楽とweb3を組み合わせるならレコチョク」と思ってもらえるような存在になりたいと思っています。

 

音楽をお預かりして販売するという会社でありながらweb3にも明るい、といった会社はほとんどないので、レコチョクはすでにとても良いポジションにいさせてもらっていると思っています。今後、音楽を活用したNFTが無法地帯にならないように、しっかりと役割を果たしていきたいですね。あと、プロジェクト発足からの2年間はずっとダッシュに近い状態で走ってきていて、極端な話、ビジネスモデルを作る前にシステムができたこともありますから(笑)。今後も、この勢いを止めずに進んでいきたいです。

 

 

川畑:「こんなことできたらいいのに」と話題に出た企画が、次の月には施策として動いていることもあります(笑)。今後もweb3の技術を活用しつつ、アーティストやユーザーが求めているもの、求められるものを創造していきたいですね。

 

 

文:伊藤美咲

写真:平野哲郎

SHARE

  • FacebookFacebook
  • XX