赤い公園 インタビュー
赤い公園

2010年結成の4人組バンド。作詞・作曲・プロデュースを務める津野の才能がアーティスト・クリエイターから注目を集めており、SMAP「Joy!!」の作詞・作曲、南波志帆「ばらばらバトル」の作詞・編曲等の楽曲提供を行うなど、活動の幅を広げている。

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Q:“KOIKI”が出来たきっかけは?
津野米咲(ギター)「今回の新曲“KOIKI”を作るきっかけとしましては、小さいことから大きいことまでいろんなピンチが訪れるなかで、喜ぶことを自粛しなきゃいけない空気になったりすることがあるな、近頃。と思ったんです。そんなときに大切な人が喜ぶことをこらえなきゃいけなくなるのはいやだ! 一緒におめでとうって笑ってあげられるときにそばにいるような曲が出来たらいいなと思って作りました。でも作っていくうちにライヴでやりたくなる曲調に変わってきましたよね?」
佐藤千明(ヴォーカル)「そうだね。最初デモの段階ではその(楽曲のテーマの)まま優しい感じだったもんね」
津野「私、自分のこと女神かと思った」
佐藤「私も思ってたよ、女神かなって」
藤本ひかり(ベース)・歌川菜穂(ドラムス)「いまは思ってないってこと?」
佐藤「いまは思ってないよ(笑)。女神っていうよりボスって感じだからね」
藤本・歌川「そうだね(笑)」
津野「実際ライヴでやっていくうちに、どんどんお客さんもついてきてくれるようになりましたね。そもそも〈新曲やります〉って言ってライヴでこういうノリのいい曲が出来たのは初めて」
佐藤「そうだね。お客さんの反応が良くてね」
歌川「笑顔だったね」
津野「“ひつじ屋さん”(2014年のシングル収録)という曲があるんですけど、〈プログレ的な〉って言われるよね」
佐藤「難しい言葉で言うとそうなのかな」
津野「〈新曲作りました、聴いてください〉って意気揚々と始めたらお客さんがポカーンってなってて(笑)」
歌川「口が開いてたよね(笑)。口の端っこがピクピクしてたね」
佐藤「〈ライヴかな?〉って思った。そりゃそうだよね、最後の歌詞〈メェーメェー〉だもんね(笑)」
藤本「ちーちゃん(佐藤)の今日の服装もメェーメェーみたいだね」
佐藤「そうだね、見えないんだけどね、ラジオですからね(笑)」
津野「“KOIKI”はライヴで演奏しているシーンを妄想……それこそお客さんが笑顔で聴いてくれるんじゃないかな、きっと(思いが)届くんじゃないかな、という妄想をしながらアレンジなどもどんどん詰めていったら本当にみんなが笑顔で聴いてくれた。みんな私たちのファンとはいえ、こういう曲は好きなのかなと思ったね」
佐藤「好きだろうね。いい曲だもん」
藤本「自分たちもホントやりやすいって思ったもんね」
佐藤「気持ちの持っていきどころがわかりやすい。ひつじにならなくていいんだもん(笑)。歌詞と相まってスーパーヒーローになった気持ちで歌えるね、これは」
藤本「空を飛べそうだよね、サビあたりで」
佐藤「そうだね。いつか飛びたいけどね」
Q:音作りをする際に、サウンドを赤い公園の色に染めていくプロセスを教えてください
津野「そもそも赤い公園のヴォーカルの佐藤さんは、基本的に楽器は弾かないじゃないですか。たまに弾くことはありますけど。そうなると、ギターとベース、ドラムという限られた音数になりますよね。レコーディングでは音を重ねることはできるとはいえ、バンドを始めたときはライヴをするところから始める人は多いと思うんですよ。そうなってくるとライヴで実際に演奏できるアレンジを考えて、ギター然としている、ドラム然としている、ベース然としているというところを意識して、何かが埋まらない。不安だったのかな、埋めたかったのかな……何かが埋まらないんだけども、でも各々ができることにも限りがあって、であれば自分を分解して散りばめようといった感じ(で曲が出来上がっているの)かもしれません。分解して散りばめると音がひとつに固まらずに分散して、隙間のある風通しのいいサウンドになるんじゃないかなと思ってアレンジしていたら素っ頓狂な感じになっちゃった」
歌川「〈素っ頓狂〉って言葉が合うね(笑)」
津野「なんか笑っちゃうのがいいよね。歌川さんはこれでもかっていうぐらいカウベルを叩くじゃん」
歌川「コンコンってやつね、ちょっと間抜けな音がする楽器。特徴的だなと思うのが、隙間を埋めようともするけど、たまにそれぞれが無茶しようとするじゃん。〈めっちゃ無理!〉というプレイに挑戦してみて、最初はできないんだけど、曲中でこうやりたいという気持ちがあるからすごく練習してできるようになる。難しいフレーズのおかげで上達することもあるなと思う」
津野「ワーッて叩く前と後にめっちゃ休むよね」
藤本「休みがち」
津野「私、イントロでギターをがっつり弾く曲だと、その後にギターがほとんどないものがすごく多い」
全員「あーーーー」
佐藤「そうかも」
藤本「わかる! だってライヴ中に涼しい顔してるときあるもん」
歌川「水飲んでたり」
佐藤「イントロで使い果たしちゃうのかね」
津野「体力がない人ならではのアレンジかもしれないね」
藤本「津野さん、しゃがんじゃったら手を取ってもらわないと立てないもんね」」
津野「力が抜けてるのが好きなんでしょうね。力抜けてると力を入れたときにちょっとおもしろくなっていい」
藤本「静かな人が急に動くとおもしろいもんね」
赤い公園
Q:そもそもこの4人でバンドをやっているのはどうして? 音楽の趣味や志向があっているから?
佐藤「まったく何も合致しない4人かもしれない、趣味も合わないもんね」
藤本「服装も合わないしね」
歌川「みんな漫画が好きというのはあるんじゃない? でも漫画の趣味は合わないか」
津野「そもそも赤い公園は津野以外のヴォーカル、ベース、ドラムの3人が同級生で、私はひとつ先輩なんです。軽音部でギターの子が抜けちゃったよって聞いて、私が後から入ったんだけど、そのときにすでにバラバラだったもんね。だって、ちーちゃんは最後まで入部してないでしょ」
佐藤「そうだ、仮入部のまま卒業しちゃったもんね」
歌川「軽音楽部の部費払ってないんだよね」
佐藤「そうだよ。このあいだ軽音部の先生に会ったとき、〈千明、部費払って〉って言われた(笑)」
全員「ハハハハハハ(笑)」
佐藤「卒業して5年経つのに」
藤本「えー、5年も経つのか。そんな私たちも講師になってしまいましたね」
佐藤「〈非常勤講師〉になってしまいましたよ」
津野「バトミントン部だったちーちゃんをひかりさんが誘ったのかな」
藤本「スカウトしたんです。歌の上手い女の子がいるっていう噂を聞いて。同じクラスだったんだよね。でもなかなかOKしてくれなかった」
佐藤「そうだね」
藤本「すごい口説いた気がする」
佐藤「人前は恥ずかしいからね」
藤本「最初、メンバーの前で歌うのすら躊躇してたもんね」
佐藤「当時、津野さんは一個上で違うバンドに所属してたんですけど、津野さんのバンドのライヴを見ていたら(津野が)完全にお客さんに背中向けて弾いてから(笑)」
藤本「向けてたー」
佐藤「こういうスタイルもあるんだ、って」
津野「たまにがんばって前を向くんだけど、ギター・ソロが近づいてくるにつれてお腹が痛くなってきて(笑)。後ろ向いちゃうんだよね」
佐藤「それを振り払ってやってるんですよね」
津野「ちーちゃんと私は誘われた身だけど、2人(藤本&歌川)は入部してすぐバンドを組んだの?」
歌川「入部当時は軽音部が人気で80人ぐらい部員がいたんだけど、そのなかでバンドを組めと言われたので〈じゃあやろっか〉、みたいな」
津野「ちょっとピリピリしてたよね」
藤本「最初ちょっとピリッとしてたよね。なんか余っちゃう子とか出てきて……〈どうするの?〉って(笑)」
佐藤「楽しそうに言ってんじゃねーよ(笑)」
Q:“KOIKI”の妄想ポイントは?
津野「“KOIKI”は妄想ポイントいっぱいあると思うんです」
佐藤「ありますね」
津野「さっき散々(人前に出ることが)恥ずかしいという話をしましたけど、(“KOIKI”では)イントロでピンスポットが当たるんじゃないかって怯えてるところがあるんです」
佐藤「カッコ良く弾き倒してるところね」
津野「最初にパーンってドラムにライトが当たって、それからギターに目が行くのがいいかなと、曲を作ってるときはすごいワクワクしてたんだけど、発売が近づくにつれてどんどんお腹痛くなってる(笑)」
歌川「照れ屋の津野が顔を出してきた」
津野「多幸感といいますか、たくさんの人と一緒に作り上げているイメージかな。原っぱとかで演奏したい」
全員「いいねー」
津野「シャボン玉が飛んでる感じ」
佐藤「私、すごい気になることがあって、それこそ妄想なんだけど、いつも歌うときにこの曲の主人公はこんな子で、みたいなドラマを自分のなかで作ったりするんだけど、楽器を弾くときにそういうことをするの? 例えば米咲先輩のギターを聴いてると、すごく感情を出すのが上手だなって思うの。この盛り上がるところが胸にくるなー、こういうこと言いたいんだろうなっていうのが伝わるんだけど」
津野「私は頭の中にひとり女の人がいて、その人がこのリズムではこういう顔をしていて、ここは踊っていて……というのはどの曲でもいつも(女の人が)いるかもしれない」
佐藤「それは自分ではないんだ」
津野「自分じゃない。すっごい美人の女性」
全員「ハハハハハハ(笑)」
藤本「妄想だからね」
津野「踊ってもらってる。その人に連れて行ってもらう感じ」
歌川「“KOIKI”に至っては、すごいマッチョでロン毛で鼻が高くて上裸で叩いてる人になってる。妄想して叩かないと最初のイントロが叩けない(笑)。ムッキムキなの」
佐藤「確かにそういう音してるよね。ひかりさん何かあるんですか?」
藤本「“KOIKI”は空高いところにいる感じ」
佐藤「(藤本は)いつも空高いところにいるよ〜」
津野「地に足着いたことないから(笑)」
藤本「ギター・ソロのときは一番津野さんが高いところにいる感じ」
佐藤「あ、そう」
津野「要は妄想は自由だってことだね」
佐藤「みんな違う誰かになりたいってことだね(笑)」
津野「みんな変身願望がある」
佐藤「誰かにならなきゃね、やってらんないよ! 11月25日発売、赤い公園の妄想がたっぷり詰まった新曲“KOIKI”を聴いてください」