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2008年の前スタジオ作『アクセラレイト』に引き続きジャックナイフ・リーをプロデューサーに起用。パティ・スミス、レニー・ケイ、エディ・ヴェダーら興味深いゲスト陣も迎え、ベルリン、ナッシュヴィル、ニューオーリンズという2ヵ国3都市にまたがって録音された15作目のスタジオ・アルバムだ。<br> オリジナル・ドラマーだったビル・ベリーの脱退後、後任メンバーを補充しなかったこともあり、R.E.M.は一時期バンドというよりユニット的なニュアンスを強めていた。以前に増して内省的な音作りにのめり込む傾向も見られた。もちろん、その時期の奥深い音の感触もじつに魅力的ではあったのだけれど。ここ数年の世界の惨状に業を煮やしたか、前作ではかつてカレッジ・ロック・シーンのヒーロー的な存在だったころの持ち味とシンクロするような激烈な個性を再燃させていて。胸が躍った。痛快だった。そんな流れを受けた待望の新作。今回は、激しい曲はより奔放に、美しいミディアム~スロウ曲はより深く……。動と静のR.E.M.、両極のおいしいとこ取りをしたかのようなバラエティ豊かな仕上がりになっている。メンバーそれぞれの幅広い音楽性を活かした多彩な世界観が印象的だ。歌詞的にも、社会のさまざまな出来事に触発されたものではあるのだろうが、それをきっちりと体内に取り込み、自らのパーソナルな物語へと昇華して吐き出している感じで。バンドでありながらシンガー・ソングライター的でもあるというR.E.M.の本領が存分に発揮されている。<br> 20年ほど前、マイケル・スタイプにインタビューした際、彼は「もしぼくたちの音楽が環を描いているんだとしたら、アルバムを1枚出すごとに、あるいはステージを1回1回重ねるごとにその環がどんどん大きく強く豊かになってきている感じさ」と語ってくれた。彼の20年前の言葉はその有効性を保ったままだ。そんな事実を今回の新作はあらためて思い知らせてくれる。(CDジャーナル)
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